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修了生論文

海上コンテナ業界の問題点と解決策

東京校 (T-college) アドヴァンス 吉田孝美吉田運送株式会社 代表取締役)

1.動機

 

我々の物流業界ではドライバー不足が社会問題となっている。

しかし業界で本気で取り組んでいるかと言ったらまだまだ十分ではない。確実に人口は減っていくし、今いる50~60歳代のドライバーは全体の約40%近くを占めており、10年後には辞めているかもしれない。

2006年にピークの92万人に達して以来、ドライバー人口は下降し続けている。その中でも当社が多いに関わりのある海上コンテナ業界には様々な問題点があり、数ある運送業界の中でもあまり人気のない業種といったことでドライバー不足が顕著にあらわれている業界と言う事は自負している。最近の状況ではその影響が多数出てきており、『輸送されずに滞留してしまう貨物が全体の4割残っていて仕事にならない』といった荷主様の声が聞こえたりしている。

以上のことから時代背景に求められる物流を今から考え、経営の根幹となる『経営戦略』の策定こそが、当社の発展に大きく必要な要素であると考えたため、今回のテーマとした。

 

 

2-1. 海上コンテナ業界の問題点

東京港では取扱量が大変増えており、海上コンテナを扱うターミナル能力が追い付かず、受付を待つ渋滞が激化している。いわゆる容量不足や機能不足の状態になっている。この渋滞で起こす拘束時間が問題点になる。

東京港が渋滞⇒待機時間が長くなる(拘束時間の問題)⇒運賃に時間は反映されない⇒売上が上がらない⇒給料が安い⇒海上コンテナドライバーをやめてしまう⇒海上コンテナドライバーを辞める⇒海上コンテナドライバー不足が激化⇒海上コンテナが運ばれない⇒商品が届かない(衣類、家具、家電、自転車、ペットフード等)⇒大幅な運賃上昇(20,000円が70,000円)⇒長続きしないといった負の連鎖が起こると考えている。(図1参照)

 

図1 大井埠頭の混雑で都道に受付のために列をなすトラック(海上コンテナ)

 

2-2. 東京オリンピック・東京パラリンピック開催でさらに懸念

さらに2020年7月24日(金)~8月9日(日)に開かれる東京オリンピック、2020年8月25日(火)~9月6日(日)に開かれる東京パラリンピックの会場が東京のベイエリア地域で開催される。

『東京の首都高速をはじめ、都内の道路交通網は完全に麻痺し、さらに渋滞が激しくなるのでは』と懸念する声が上がっている。(図2参照)

 

図2 大井コンテナふ頭と周辺のオリンピック会場

 

東京オリンピックが開催される2020年に予想されるドライバーの需要総数は約92万4000人だが、このまま人数が下降を続けた場合には10万6000人ものドライバー不足が予想されている。このままでは都市の整備や建物の建設に遅れが出、オリンピックの開催にも影響を及ぼしかねない。

スーパー・コンビニの陳列棚から商品が消えてしまったり、大安売りの広告の品がお店に届かなかったりといった未来が確実に押し寄せている。スピーディーで高度に発達した物流システムが社会基盤を支えている日本社会ではドライバー不足が経済の発展や国民の基本的生活を揺るがしかねない。

ある食品メーカーなどは鉄道コンテナ輸送や海上輸送へのモーダルシフトを推進する一方、トラック運賃の大幅な値上げを容認し、安定的な輸送を確保している。今後こう言った企業はますます増えていく。

 

 

3-1. 企業概要

会社名:吉田運送株式会社

所在地:茨城県坂東市沓掛2529-1

代表者:吉田孝美

設立日:昭和48年8月24日 資本金:1000万円 社員数:54名

本社営業所:茨城県坂東市半谷198-17

佐野インランドポート:栃木県佐野市戸奈良町2500-3

真岡出張所:栃木県真岡市鬼怒ヶ丘1-10-4

事業内容:一般貨物運送事業(海上コンテナドレージ)/インランドデポ運営/倉庫業/中古コンテナ販売/飼料製造請負

配送範囲:東京都/茨城県/栃木県/千葉県/埼玉県/群馬県/福島県

取引先:丸紅ロジスティクス株式会社/ケービーエスクボタ株式会社/日立建機ロジテック株式会社/名港海運株式会社/日通NECロジスティクス株式会社/株式会社近鉄エクスプレス/コマツ物流株式会社/日本通運株式会社/郵船ロジスティクス株式会社/DHLグローバルフォワーディングジャパン株式会社/濃飛倉庫運輸株式会社/いすゞライネックス株式会社/JUKI株式会社/ダムコジャパン株式会社/三井倉庫株式会社

契約船社:OOCL/WAN HAI/EVERGREEN/CMA CGM/NAMSUNG/ONE/MAERSK/COSCO/MSC/SITC/HAPAQLLOYD/HASCO/SINOTRANS

 

図4 吉田運送株式会社 坂東デポ

 

 

図5 吉田運送株式会社 佐野インランドポート

 

 

図6 リーチスタッカー

 

 

3-2. ビジネスモデル(コンテナラウンドユース)

※コンテナラウンドユースとは『輸入の空コンテナを港に回送せずに、インランドデポに一時保管し、輸出業者向けのコンテナとして使用すること。』※図7参照

 

図7 ラウンドユースのイメージ

 

3-3. コンテナラウンドユースの実績

当社は2008年にオー・オー・シー・エル(ジャパン)株式会社〔船会社〕(以下、OOCLという)とインランドデポ契約以降、契約初年の2008年には実績はないが、コンテナラウンドユース第1号は2009年の月間1本の時から始まり、2010年には1年間100本の実績を作っている。さらに2013年には年間1200本を達成している。

この実績により、2013年12月12日(木)第12回グリーン物流パートナーシップ会議にて経済産業大臣表彰(最高賞)を受賞する。受賞を期に新規顧客様からのコンテナラウンドユース等の受注が増えたことにより、着実に実績を伸ばしている。(図5参照)

 

図8 コンテナラウンドユース実績表

 

 

4. 対策として考える

 

東京港の渋滞による海上コンテナ業界の非効率さが一番の原因である。しかし全く改善されない東京港がある中、今後も良い改善対策が見いだせていない。であればインランドデポでできることを提案したい。

当社が今、取り組みで工夫していることが輸送の分業になるが、これにより女性ドライバーや高齢者ドライバーに繋がり、働き方改革を現実にしている。時間の有効的な物流に繋がるインランドデポ活用をステークホルダーに展開する。

 

 

5. 確認

 

当社の運営主体となるインランドデポ運営を中心とした『経営戦略』を策定し、今後の輸送提案等の活動指針となる何かを明確にしたいと考えている。

 

 

6.自社分析

 

ファイブフォースモデルによる業界分析と『SWOT分析』による当社の強み弱みの分析を行い、分析後、経営の根幹となる『経営戦略』の策定をする。

 

6-1. ファイブフォースモデル

下記のファイブフォースモデルは当業界として考えました、結果は次の通りである。

 

業界内の脅威

  • 京浜港埠頭の混雑
  • 交通渋滞
  • 拘束時間問題
  • ドライバー不足
  • ドライバーの高齢化
  • 輸送力の低下
  • 免許制度

 

新規参入

  • 大手港湾業者等のインランドデポ運営へ進出
  • 大手輸送会社の参入

 

代替品・サービス

  • 列車や内航船を使ったモーダルシフト
  • AIの発達による自動運転
  • ドローンを用いた輸送

 

売り手の交渉力

  • 燃料の高騰
  • 車両価格の高騰

 

買い手の交渉力

  • 運賃の値下げ
  • 配送先の減少

 

6-2. SWOT分析

下記のSWOT分析は当業界として考えました、結果は次の通りである。

 

強み

  • ネットワークが充実(海上コンテナ輸送業者)
  • インランドデポを2か所運営
  • リーチスタッカーが各所に1台ずつ設置
  • 実入り保管スペースが内陸デポとしては最大規模(全体で800TEU保管可能)
  • 契約船社数が国内最多数(13船社)
  • 保税蔵置場の認可
  • 当社オペレーターの熱意が高い

 

弱み

  • 自社便の輸送力不足
  • 京浜港に拠点がない
  • インランドデポのシステム化が不完全

 

機会

  • 当社インランドデポ周辺に大手輸出企業が多い
  • 当社インランドデポ周辺に大手輸入企業が多い
  • 圏央道沿線は新しい物流拠点エリアとして評価が高い
  • 大型顧客の関心度が高い

 

脅威

  • ドライバー不足
  • 近隣のリーチスタッカー所有者が多い

 

 

7. まとめと今後の取り組み

 

ファイブフォースモデルを使い当業界内の脅威についてまとめ、SWOT分析を使い当社の強みと弱みを明確化させた。

これらの結果を踏まえて、当社の強みであるインランドデポ運営を強化して、海上コンテナ業界の問題点を吸収し、北関東はもちろん東北地方の各企業との連携をとれるような企業になると考えてる。

今後の企業戦略をアンゾフのマトリックスに示す。

コンテナラウンドユースが希少性あるものとして他荷主への開拓に努める。同時に、新商品の獲得にも努めていく。

 

新規市場 保税輸送(消費税がかからない)

通関業務

内陸デポまでの船荷証券の発行

内陸デポからの船荷証券の発行

既存市場 コンテナラウンドユース 荷物の仮保管場所
既存商品 新規商品

 

図9 アンゾフの成長マトリックス

 

 

8. 今後の対応

 

今回、ファイブフォースモデル、SWOT分析を用いて当社の『経営戦略』を策定し、アンゾフのマトリックスとしてまとめることができ、今後の輸送提案等の活動指針を明確になった。経営の根幹にかかわる『経営戦略』を考えてきたが、2008年デポ契約してからの10年でコンテナラウンドユースに携わり、感じたことは、まさにこの事業が国や自治体がやるべきインフラ整備と同じだということだ。

今後必要不可欠なものとして、あらゆる外部を巻き込みながら内陸に港をつくるという夢を実現すべく邁進していく。

 

 

9. まとめ

 

今回の修了論文として『経営戦略』を策定することで、現状の課題と、今後の活動方針が明確となった。必ず実行する強い気持ちと目標を達成するためにこの1年間で学んだことを活用していきたいと思います。

また、ここで学べたこと、新しい仲間との出会いに感謝します。

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