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修了生論文

ネットショップで価格競争に巻き込まれずに成長を続けるには

大阪校 (O-college)アドヴァンス 赤尾 征樹株式会社ヘルシーライフ 代表取締役)

1、動機

 

当社は人口減少が著しい地方に店舗があり、商圏を全国へと広げるため、2005年よりネットショップ事業を開始しました。開始当初は自社サイトとヤフーショッピングモールへ出店し、インターネットコマース(EC)市場の成長と共に徐々に売上を伸ばし、2012年にはアマゾンに出店し、2017年には楽天へ出店しています。しかし、現在のEC市場は新規参入企業が増加し、容易に価格が比較でき、価格の安さによって来店者数が増えるため価格競争による消費者の奪い合いで利益率は下がり続けています。

当社では消費者に当店を選んでもらえるように、露出度を上げる検索対策を行うと共に、購入されたお客様がリピーターとなってもらえるように相談できる仕組みやフォローメール配信などリピート購入に繋げる対策を行ってきましたが、十分とは言えない状態です。

ネットショップの売り上げは単純計算では

 

売上=来店者数×転換率×平均客単価の数式で計算できます。

 

来店者数の中には新規顧客とリピーターが含まれ、当然リピーターが多いほど経営が安定し、会社としても成長していくことができます。

当社の現状リピート購入率は約20~40%であり、ECの平均リピート率30~40%という数値から見ても平均より少し低く決して高くありません。

また、実店舗のリピート購入率は約80%であり、当社の強みをネットショップでも活かすことができれば、ネットショップのリピート率を上げることができ、価格競争にまきこまれずに成長することができるのではないかと考えます。

 

 

2、分析

 

①モール別ネットショップ売上(2018年3月)

 

②購入回数別分析(楽天市場店2017年4月~2018年3月)

 

 

③新規・リピート購入別平均客単価(楽天市場店)

 

 

平均客単価はリピート購入者の方が1000円前後高くなっています。

 

④新規・リピート顧客売上構成(楽天市場店)

 

 

売上構成比率は約40~50%がリピート購入者となっています。

 

2017年6月より出店した楽天市場店を取り上げ分析しました。多少の差はありますが、ヤフーショッピング店も同様の傾向があります

 

⑤SWOT分析

 

プラス要因 マイナス要因
内部環境 自社の強み

a、 明治42年に創業して以来、漢方薬を専門として扱ってきたため、漢方の専門的な知識がある。

b、 電話相談、スカイプ、FaceTimeによるビデオ通話相談ができる。

c、  薬局製剤製造許可証と薬局製剤製造販売業許可証を有するため煎じ製剤も作れることができ、市販では売っていない漢方薬を販売することができる。

d、 当店舗は築140年の町屋で、中庭が眺められる薬膳カフェを併設している。

自社の弱み

a、 専門相談員が2名しかいない。

b、 ネットショップの初回リピート率が、実店舗に比べて低い。

外部環境
(将来環境)
機会

a、 YouTubeに各漢方薬の説明動画をアップし、文書では伝えきれない、各漢方薬の性質、特徴等を説明しサイト、発送メールに貼り付け伝えることができる。

b、 自社サイトアプリを作成し、ビデオ通話相談が簡単にできる機能を付けることで、相談しやすくなり、優良顧客化することができる。

c、  各煎じ漢方薬に対して検索対策を行い、比較、自己判断しやすいサイトを作成することで購入者を増やすことができる。

d、 女性向けのカフェメニューを増やすことで、漢方薬に馴染みのないお客に来店してもらうことができる。

脅威

a、 来店数が増えた場合、対応が難しくなる。

b、 ネットショップの継続的な売上アップが難しい。

 

自社の弱みに対する対策

a、漢方の勉強会等を行い、そこで従業員を募集します。

漢方薬説明YouTube動画に従業員募集の宣伝を入れます。

b、ネットによる購入はお試し購入の方が多く、また、薬剤師からの説明などがないため、服薬コンプライアンスが実店舗購入者に比べて低いと考えられます。実際に服薬し効果が実感できなければリピート購入へは繋がりません。

服薬コンプライアンスを上げるために、購入商品をお届けする際、商品の特徴、使用方法、店舗の特徴を発送完了メールや同梱物でしっかりと伝えます。

また、動画コンテンツを作ることでより適した漢方薬を選べるようにし、「安心感」と「信頼感」を構築することでリピート購入に繋げます。

 

⑥3C分析

煎じ製剤取扱い店比較、煎じ薬で検索

顧客のニーズ 自社 皇漢堂薬局 はくすい堂 オリーブ薬局 一心堂
A,安さ 2位 1位 5位 3位 4位
B,検索結果順位 1位 2位 5位 3位 4位
C,品揃え 1位 2位 5位 3位 4位

 

・皇漢堂薬局:創業84年の漢方薬専門店。相談販売をされています。

・はくすい堂:パッケージ商品が主であり、煎じ製剤の取扱いは少ないです。

・オリーブ薬局:保険調剤を主に営業されています。

・一心堂薬局:漢方薬専門の薬局。煎じ製剤の取扱いは少ないがオリジナルの健康茶などを販売されています。

 

A、安さ

インターネット通販は同一商品であれば、簡単に他店と比較ができ購入要因となり、他店よりも価格が高いと自社サイトへの来店者数も少なります。

 

B、検索結果順位

商品名だけでなく、疾患名、症状など様々なキーワードで検索対策しており、他店に比べると検索されやすい。

検索結果は1ページ目に表示されないと、来店確率が極端に下がります。

 

C、品揃え

商品数が多いことは、検索のひっかかりやすさに繋がるため、来店数にも繋がる。当店の場合、煎じ薬では、日本薬局法で販売が認められているもののほとんどがネットショップにアップされおり、他店ではアップされていない漢方煎じ薬もネットで購入することができます。

既成の商品では、漢方専門メーカーの漢方薬に関しては揃えられているが、クラシエやツムラなどのドラッグストアでも扱われている漢方薬に関しては扱っていない。

 

まとめ

客観的に順位がつけられる判断基準を取り上げました。漢方薬は医薬品であり、西洋薬のように症状、疾患だけで選ぶのではなく、それらにプラス体質が加わるため自己判断が難しい商材です。しかし、実際にはネット購入されるお客様はお店に相談されずに購入される方がほとんどであり、適した漢方薬を服用できていない可能性が高いため、効果が実感できず、止められる方が多いのではないかと考えられます。

商品(医薬品)の説明は、薬事法の規制もあるため、実際に商品に記載されていること以上の説明は難しく、認められた効能、効果以外の記載は認められず分かりやすさは競合店のどこも大差はないように感じます。また、ネットショップでは商品の説明には文字制限が設けられており、文章で説明することが難しいのが現状です。

しかし、上記にも記載したように漢方薬は同じ疾患、症状でも体質によって異なり、適した漢方薬を服用しないと効果がないため、漢方薬がどのような体質の方に使用されるのか、詳しく説明される必要があります。動画による商品説明の場合、文字制限がなく、より分かりやすく説明することができます。また、説明の仕方、話し声などで薬剤師の雰囲気が伝わり、消費者の安心感の向上に繋がり、信頼関係が構築され、リピート購入率が高まると考えます。

 

 

3、計画

 

①バランスト・スコアカード

戦略目標 重要成功要因(KSF) KGI

(ゴール)

アクション
財務 売上アップ 売上 ヤフー

1,750,000

楽天

3,150,000

来店者数 ヤフー

5000人/月

楽天

6000人/月

転換率 15%
平均注文単価 3500円
顧客 顧客ロイヤリティの拡大 リピーター比率 50%
レビュー数

(安心感)

1000件
内部プロセス 顧客管理のプロセス 動画の作成 1日1件 H30年4月1日~
商品の説明文書の見直し 5月末日 H30年5月1日~
業務管理のプロセス メルマガ配信 5回/月

(イベント毎)

H30年4月1日~
海外配送設定 4月末日 H30年4月20日
学習と成長 モチベーションの向上 文書作成能力の向上 1回/月

(実施日:10日)

H30年4月1日~
動画作成能力の向上 1回/月

(実施日:20日)

H30年4月1日~
バナー・チラシ作成能力の向上 1回/月

(実施日:30日)

H30年4月1日~

 

 

4、結論

 

競争が激化するEC業界において、成長していくためには当社が競合店よりも優位に立てるサービスを作らなくてはいけないと感じ、「ネットショップで価格競争に巻き込まれずに成長を続けるには」を論文のテーマとしました。

今回の論文作成を機に改めて購入者分析をするとネットショップでは初回購入者の離脱率が特に高いことが分かり、それに対する対策をすることが急務であることがわかりました。検索対策や転換率の向上、平均客単価のアップなど様々な対策が考えられる中で、各々に対策を講じなければいけませんが、特にリピート購入率アップの対策を行うことが持続的な成長に繋がるのだと考えます。

リピート購入率アップのためのバランスト・スコアカードをストーリーを持って作成したことで、確実に実施していけば売上アップに繋がると確信しております。一つずつアクションを起こし成長させたいと思います。

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