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修了生論文

当社におけるマネジメント体制の確立について

名古屋校(N-college) 西川 友絵株式会社shanti 代表取締役)

【序章】

当社“shanti”は遊技機の企画開発デザイン業を営む会社である。今期5期目となる。ここでは当社の業態について説明する。

デザイン業という職種は個々がフルに手を動かした工数が売上になるため、ロイヤリティを上乗せしても、現状では人数に対する売上が上限に達している状態である。また、当社の商品である、アイデア・デザインを受け渡せば顧客のものとなり当社には残らない。そこで、数年前より企画からデザインが一括で出来る強みを生かして、独自にアパレルや雑貨のブランディングを行っている。優れたアイデア・デザインを生み出して、ヒットを得られればクライアントの意向に左右されない売上が見込めるのではないか-そんな仕組みを作っていきたいと考えたのだ。

ところが新しい業界を0から開拓することは想像以上に大変だった。遊技機のデザイン業は“マーケットイン”で、既にデザイン外注に仕事が回る仕組みが出来上がっている。そこに運良く居合わせたから、続けてこられた経緯がある。その反面、新規事業は“プロダクトアウト”である。自分の作りたいものを作って、やる気・情熱で打って出ても市場には受け入れられない事が分かってきた。今必要なものは当社が持ち合わせていない、戦略分析やトータルマネジメント力だった。しかしながら、私はここまで感覚だけでやってきた。そう言ったロジカルな内容が非常に苦手だ。まさに苦手な内容だったからこそ、今回のマネジメントスクールの受講を決意した。

 

 

【第1章】会社概要

会社名  :株式会社shanti(シャンティ)

代表者  :髙木 友絵

創業   :平成22年7月

設立   :平成25年7月

資本金  :100万円

社員数  :正社員4名.パート1名

事業内容 :遊技機の企画開発デザイン、工業デザイン、アパレル・雑貨の企画開発・デザイン、量産販売

 

 

【第2章】課題の選択動機

 序章で述べた問題の早期解決に向け、計画的にマネジメント体制を確立させ利益を伸ばせるかどうかである。マネジメントスクール修了論文作成にあたり、「根っからの感覚人間であるオーナーの私が計画的なマネジメントが出来るようになるのか」を研究課題とした。

この課題の研究内容は、二つの方向性を用いて行いたい。

一つめは、現在の会社状況の分析を行い、その結果からどうマネジメントしていくのかを考察する。

二つめは、自分の周囲の経営者もしくは社長就任予定の方達にアンケートを取り、その方達がどのような気質で何を考えどの様に経営をしているのか、その内容の結果が利益に影響するのかを数値的なデータで調査する。

 

 

【第3章】戦略分析・考察

 

・3-1 事業分析

<各事業の分析と考察>

①遊技機デザインのファイブ・フォース・モデルによる分析

 

②遊技機業界と当社のSWOT分析

 

《①、②分析結果からの考察》

 

遊技機業界の一番の問題点は、衰退産業である。よって、当社目標は将来に向けて多角的な業務ができる体制を整えることである。だが現時点では、仕事数が減ったとは言え他業種で請け負うデザイン業務と比べると高い収入を見込める。また、これまで業界で培ったスキルもあるので、業界と当社のバランスが良い形で保ち続けられる間は、提案のクオリティを上げる工夫を行い続けていく事とする。

そのために今後工夫していく内容を以下の3点にまとめる。

新しいソフトウェアの習得

技術の進化により、デザインの見せ方も多様化している。より良く見せられる様に3Dソフト、動画ソフト、レンダリングソフトなどを学び取り入れていく。

→③『2Dデザインだけではなく動画、設計、他にも対応可能に。』に対する対応

ブレーン業者との連携強化

当社はデザインの作成には強みを持つが、3Dや動画技術は不得意である。しかし、顧客への提案の仕方も多様化しており、「デザインの提出しか出来ない」では今後生き残りにくい。デザインから設計、3D、モデリング、動画と、どんな組合せでも提案できるように、それぞれの専門会社との連携を深めていく。

→②『2Dのデザインだけでの提案が減少。』に対する対応

⑶当社の人員強化

女性主体の少数精鋭だが、今後の幾つかの懸念を払拭するために、デザイン業界第二新卒の男性スタッフを募り、今ある遊技機業界のデザイン技術の継承を行う取り組みを行う。

これらの取り組みを今後、1年〜2年の間に行わなくてはならない。

 

③アパレル・雑貨のファイブ・フォース・モデルによる分析

 

④アパレル・雑貨業界と当社のSWOT分析

 

《③、④分析結果からの考察》

遊技機業界の分析・考察で述べた“将来に向けて多角的な業務ができる体制を整える”という「多角的」の部分をこのアパレル・雑貨事業を開発することにする。しかし、日本の少子高齢化問題や安価なものを使い捨てする消費スタイルが主流となってきている事から、この業界も縮小していく産業であるといえる。

そのため、業界の大手ですら売上の減少、店舗の縮小を余儀なくされている。そんな中で当社は異業種からの参入となる。ただでさえ厳しく感じるが、百貨店などの大手が手をこまねいている、ネット販売ビジネスの拡大がある。これは当社の様な小さな会社でも、ネット上の店舗であれば同等に渡り合える。このチャンスをまずは足掛かりとて、異業種からの参入=既成概念が無い部分を強みに、これまで考えられなかった様なアイデアの商品、販売方法によるイノベーションを起こして行きたい。

 

今後、当社が取り組む内容を以下3点にまとめた。

 

⑴業務の整理と絞り込み

開発スピードを上げる為、業務の整理絞り込みを行う。これまで新規参入する上で拡げられるだけ拡げた業務内の整理を行う。整理した中から、今後続けていく業務の優先順位を立てて、中止させる業務の洗い出しを行う事によって絞り込む。

→⑤『開発の種類を増やし過ぎると、どれも散漫になってしまう。』に対する対応

 

⑵主力業務の効率化

新しい視点からの商品開発のため、商品化まで開発の道のりが長い。力を入れる業務を優先的に進める事で、余分な開発費の削減を行う。主力商品開発に必要な生産方法を、協力会社と連携をはかり、取り組んで行く。

→②『開発の先行投資がかさみ継続が難しくなる』

③『開発に時間がかかり、達成するまでに息が切れてしまう。』に対する対応

 

⑶販路の確立

商品のコンテンツさえ決定すれば卸売してもらえる販路は既にあるものの、卸売では当社のような小ロットで原価のかかるものは利益率が落ちる。よって、宣伝効果のある卸売の販路は残して、自社で直接販売できるようにネット上の販売環境を整えていく。同時にSNSを使った広告が出来る様にも取り組んで行く。

→⑥『ネット上で大手の企業と同じラインで商品を売る事が可能になる。』に対する対応

 

 

【第4章】他経営者へのアンケート調査

 

・4-1 調査内容

今回の課題を整理するために掲げた研究課題の一つ目である、自分の周囲の経営者もしくは社長予定者や代表をしている方達にアンケートを取った。私の周りの多くの経営者は、祖父や父親が会社経営をしている姿を見ながら育ってきているように見受けられるが、私自身は生い立ちの過程で人が経営している姿を近くで見ずに来た。その為、自分の事しか分からず、単に周りがどうしているのか“興味があった”という事がこのアンケートを行った正直な理由かもしれない。他の経営者がどんな気質で何を考え経営をしているのか、それらを集計すれば、内容が利益に影響するのかが数値的なデータで得られるのではないかと考えた。

 

<アンケートの内容>*27名にアンケート記入の依頼 > うち回答24名

① あなたの会社は創業何年ですか?
② あなたは会社社長(社長就任予定を含む)何代目になりますか?
③ 感謝の社員数は何名ですか?
④ 会社の年収はいくらですか?
また、純利益はそのうちの何パーセントですか?
(この回答に関しては、できる方のみで構いません!)
⑤ あなたは自分自身が“感覚的”“理論的”どちらのタイプの人間だと思いますか?
⑥ 会社の業務計画は立てていますか?

 

図3

 

・4-2  A〜X社:24社の業種

A_飲食、生肉販売業 B_建設業 C_製造業 D_製造業 E_卸売業 F_電気工事業

G_建築業 H_警備業 I_ビルメンテナンス業 J_電気通信工事業 K_事務機販売/保守

L_業務請負、人材派遣 M_青果仲卸業 N_飲食・不動産 O_金融保険業 P_建設業

Q_訪問美容業 R_ビルメンテナンス業 S_不動産業 T_広告・その他 U_企画・デザイン業 V_人材派遣業 W_飲食業 X_自動車部品販売業

 

・4-3 調査結果まとめ

集計した全社のデータを元に、俯瞰して見比べ、感じ取りたかったので図3のようなグラフを用いてみることにした。自分の先入観に、「歴史の長い会社は素晴らしい」それに伴い、売上も高くあるものだと考えていたが、実際グラフを見るとそうとは言い切れない。当たり前の事なのかもしれないが、数字から苦労が想像できた。

また、今回のアンケートで興味を持っていた、経営者の気質が“感覚的”か“理論的”かの質問に関して、各主観での回答ではあるが意外にも24名中11名の方が“感覚的”と答えており、その度合いや業務への向き合い方での差異があるにしろ、多かったという印象だった。“感覚的”でも経営者は務まる。よって、ある意味私の“感覚的人間だから○○”という言い訳は通用しないという事なのか。今後そういった発言、考えを改めようと思う。

しかしながら興味深かった結果は、大きな売上を扱うB、E、H、M社の経営者は、“理論的”な考えか“どちらでもない”に偏っている。(O社の金融保険業はライフプランナーの個々が個人事業主という観点から、対象と考えない)

B、E、H、M社をグラフから読み解いてみると、創業は50年以上、経営者としての継承が6代〜3代、売上も30億以上、社員数も多い。他者のグラフと比べても4社は飛び抜けている。この結果はただの偶然なのだろうか。アンケートを取っている際、この中の一人の経営者が、始めは“感覚的”だったが経営を進めるにつれて“理論的”になって行った、と言っていた。企業を長らく継続・発展させるには、どこかのタイミングで“感覚的”から“理論的”に移行する必要性があることが分かった。

今回の私の課題である、“今後計画的にマネジメント出来るか”に近い質問である、⑥の事業計画を立てているかの結果では、面白いデータが得られた。A社〜J社で見てみると、(業態の分母が違うが)事業計画を立てていない会社よりも、立てている会社の方が遥かに売上が高い結果となっていた。少ない比較での統計なので、どこまで正確にデータが得られているかは分からないが、今回取得したデータで、リアルに事業計画の必要性が感じ取れた。

もう一つアンケートを実施する中で気づいた事がある。業績の良い経営者は、アンケート依頼の連絡を受けたのが外出先だったとしても、すぐに返事をくれる方が多かった。これは程度の差はあれ、ある程度の数字が頭に入っている証拠であり、事業計画を立てる事で数字を暗記出来、結果として常に数字を意識出来ている事も分かった。

返信、返答があるまでの時間は結果のデータと概ね相関があった。

この結果を参考に今後の行動に繋げようと思う。

 

 

【第5章】まとめ

戦略分析とアンケート調査で、考えに整理がつくにつれて“感覚的人間”だとか単に言い訳に過ぎなかったことが分かった。本当の課題はそこでは無く「社内の問題にどこから手をつけたら良いのか分からない」この部分だった。そこに気づかず、感覚的な自分の気質が問題で、計画的なマネジメントは出来ないと勘違いしていた。学びを得て、順序立てて戦略分析を行えば、私にも計画的なマネジメント体制は確立出来る。研究課題を終える今、そう感じられる。その先、利益を伸ばすためには戦略分析の結果を年間事業計画にうまく落とし込んで実行していく事になる。事業計画の重要性はアンケートを行う事で良く理解できた。目標や数値を持って、日々の業務を励む事によりその先の数字が大きく変化するという事だ。今回の研究課題の成果は今後、当社の利益が伸びるかにかかってくる。

利益を伸ばすために、私が今後実行していくことを以下にまとめる。

 

⑴四半期に一度、ファイブ・フォース・モデルとSWOTを用いた戦略分析を行う。これは、社員と共に考え、向かうべき目標を確認し合う。

 

⑵第3章のように、戦略分析から明らかになる取り組むべき内容を、いつまでに解決させるか目標値を掲げる。社内で担当を付けて進める。

 

⑶年度頭に、1年間の事業計画を立てる。また、合わせて3年後の目標も立てる。

社員にも各々の事業計画の提出を義務づけていく。

 

⑷問題が発生した時点、新たに大きな案件が発生した時点で戦略分析を行い、事業計画と照らし合わせる。

これら4点の実施を徹底する事で、『計画的なマネジメント体制の確立』を目指す。

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