お問い合わせ・資料請求

修了生論文

『新規事業に向けて自社分析と経営戦略』

名古屋校(N-college) 渥美 欣也 (東宏工業株式会社 代表取締役 社長)

1. 動機

私が代表になって3年が経過します。代表になった頃は業績が悪く、赤字が大きく膨らんでいましたが、今期は4期ぶりに黒字になる見込みです。この2~3年にかけて作業効率、人件費削減と努力してきた結果が出てきています。しかし、今後自動車はガソリン車から電気自動車(EV)化が進み当社の製品はガソリン車のエンジン、ミッション部品が多い為、数年後には仕事量が減少する事が予想されます。

売上構成〈図表1〉の92%が自動車部品の当社は、事業を縮小せざる負えない状況になるのは目に見えており、最悪倒産となる事が予想されます。売上の推移〈図表2〉についても年々減少してきています。その為、自動車部品以外の分野での新規事業を模索していました。

そんな中、昨年に知り合いの造園業者から「竹チップを利用し雑草対策をする事業を展開したい」と相談がありいろいろ話をしていたところ、当社として既存の設備を活用して事業に協力できる部分があるということが分かりました。また、竹は日本全国に生息し身近な植物ですが、時には「竹林被害※」を引き起こすなど、問題視されています。ですが、この竹チップの事業はその竹を上手く活用し環境対策をしながら、問題事案を解決できるというとても魅力的な事業であり、将来性の高さをとても強く感じました。

これを新規事業として活用出来ないかを考えることにしました。

このことから今回のテーマを選びました。

 

※『竹林被害』:孟宗竹の放置林は、温室効果ガスの一つであるCo2の吸着に必要な森林を侵食し、農耕地への侵略などの影響を引き起こしています。また根の浅い竹林は地すべりや表土の流失の原因ともなり山林の荒廃や土砂崩れなどの災害の原因にもなります。

 

竹チップを利用した雑草対策とは

竹をチップ化し敷くことにより雑草の種が飛んできても根が付きにくいという竹の特性(繊維が粗い)を生かした雑草対策です。効果は場所にもよるが3~5年は継続します。多少雑草が生えるが簡単に根から抜くことが出来ます。雑草を抜くもしくは刈る作業は重労働ですが、竹チップを敷くことにより軽減できます。

 

 

2. 会社概要

設立:昭和33年(1958年)7月

資本金:1,200万円

創業者:祖父

代表取締役会長:叔父

代表取締役社長:渥美欣也

従業員数:25名

事業内容:金属プレス加工、溶接加工、金型製作

 

 

3.  製造業で出来る事を考える為、SWOTによる自社分析と造園業での竹チップ製造工程の問題点把握

〈SWOTによる自社分析〉

〈造園業での問題点…竹チップ製造工程(聞き取り調査)〉

①使用している粉砕機の刃物寿命が短い

②刃物を交換するタイミングが分からない

③刃物交換後の調整が難しい

④粉砕した竹の回収に時間が掛かる

 

 

4. SWOT分析、問題点からの今後の戦略

①強みである、金型・治具の加工が出来る事を生かし、粉砕機の刃物の製造

(金型加工技術を生かした刃物製造)

②金属加工ならではの材質の選定(刃物寿命の長期化)

③生産管理で培った刃物交換時期の管理方法の標準化

(IOTを取り入れた刃物の交換時期管理とデリバリー方法)

以上の①②③を3本柱とし新規事業の戦略とします。

 

自然資源を大切にしつつ、大地や地中生物にも影響の無いクリーン・アプローチです。

2025年問題の一つの解決策としての提案でもあります。

自然環境の視点に寄り添い、社会課題を解決する重要性を伝える分かりやすい事例ともなると考えます。

事業を実施する事により直接発生する成果物、また効果は下記になります。

 

 

5. 新規事業導入前後の業績予想

ここでは新規事業導入前後の業績を比較します。

新規事業導入せず、既存事業のみで推移した場合売上&経常利益共に下降していくことが予想されます。新規事業導入する事により売上、経常利益共に伸びる見込みです。

投資額は1,000万円を上限として計画しています。投資をしても経常利益について来期は前年比130%UPが予想されます。

 

 

6. 監査方法

以下の方法で監査をしていきます。

①より良い製品つくりの為にプルマーケティングを行い、最終ユーザーにはインタビューによる情報収集を行います。

②来期の月度決算書を毎月分析しどれほどの収益が出ているかを監査します。

③刃物製造後顧客に対し使用時の問題点の調査をします。

 

 

7. まとめ

今までの雑草対策は除草剤を散布するといったものが多く、環境的には決して良いと言えるものではありません。今回の新規事業『竹チップを利用した雑草対策』は人口減少や雇用悪化、コミュニティーの衰退といった社会的課題が深刻になる中で、休耕地や中山間部などで発生している竹林被害※を現代的なビジネスモデルとして活かすことで、社会課題の解決(雇用の創造、地方自治体の地域環境管理費用の減少、高齢者の健康増進による健康寿命の拡大)に貢献しようというものです。

これはまさにイノベーションだと言えます。

来期より新規事業を本格的にスタートしますが、スクールで学んできたことを有効的に活用し、ニッチャーになるべくニッチ戦略・ニッチマーケットを築きあげ、他社が追随出来ない付加価値を見出すことが当社の進むべき道だと考えます。

 

pagetop