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修了生論文

当社の分析(砂利採取業、材木販売)

東京校 (T-college) 菊池 和博 (丸山物産株式会社 )

1 企業概要

社名          :丸山物産株式会社

代表者        :菊池和博

創業          :昭和17年 砂利採取業、材木販売業

設立          :昭和27年 丸山物産有限会社

所在地        :本社(茨城県常陸大宮市山方)、第二工場(茨城県常陸大宮市西野内)

従業員数      :正社員14名、アルバイト6名

事業内容      :道路用・コンクリート用砕石生産販売、コンクリートリサイクル業

工場敷地面積  :60ヘクタール(東京ドーム約15個)

 

1-2 砕石の写真

 

 

2 背景

当社は創業75年を迎え地域では老舗の企業です、戦後の会社状況は高度成長に乗り何度かの経営ピンチを切り抜けながらも右肩上がりに成長し、バブル時代になると一時売り上げが10億円に迫ろうとしました。

その後バブル期は過ぎて景気は下降し始め、平成15年に私は2代目社長に就任します。その当時の経営は先代社長のやり方を踏襲することが最も重要で、それを維持することが最優先だと考えていました。まだ記憶には景気のいい時代が残っていて、真面目に仕事をしていれば景気がそのうち回復するという考えで経営に取り組んでいました。

就任してからは事業を伸ばす好機がおとずれましたが、それに対処できずチャンスを逃した事もありました。それは自社の正確な現状分析もしたこともなくそれに基づく決断能力もできなかったからです。当然付いてくる社員も現状維持だけをしていれば十分と考えていたでしょう。

その後さらに景気が悪くなり、平成20年には3年連続赤字になり、打開するために会長の個人資産を投入し、会長夫妻の給与削除と役員の賞与削除をし、さらに役員給与を半分にして運営資金に充当しました。経営のセオリーからすれば銀行から融資を受けるのが当然であります、会社の設立当初に銀行との付き合いで厳しい対応をされており、銀行借り入れなどはしたくなく暗黙の社訓である「無借金経営」を貫いたのです、借り入れは経営の悪でありそれは当社の「経路依存性」でした。

東日本を襲った大震災で、建設の復興需要が起こり、経営も赤字脱却できました。現在7年を経過し需要は震災前に戻りつつあります。

会社の現状を分析して、社員と考えを共有しながら近い将来会社理念を策定し、理念に基づき戦略を作れる会社になることをめざします。これが当社の目標である「戦略の中の組織」を目指す事につながり、会社の発展につながると考え、Tcollegeで学んだ事を実践いたします。

 

 

3 現状の課題

会社の現状を正確に把握し考える必要があります。

フレームを利用して多視点で現状を分析しそれを全社員に「見える化」を目指します。自社の現状をPEST分析、VRIO分析、ファイブフォース分析、SWOT分析など多視点分析で検証し、社員とそれを共有するのが当社の最初の目標です。

 

3-1 PEST分析(外部環境)

PEST分析の目的は砕石業を取り巻く環境を、外部から見て分析することです。

≪政治環境≫

・環境に対する法規制がますます厳しくなり新規参入はむずかしく、茨城県では35年以上新規参入業者はゼロである。

・立地環境として当社は工場周辺に民家がほとんどなく恵まれている。

・業界の大きな問題であるダンプカーの過積載問題が行政との連携で改善しつつあるので、困窮しているダンプカー運転手の環境改善が見込まれる。

≪経済環境≫

・7年前の東日本大震災の復興事業も収束し、今後の需要の削減が懸念される。

・ダンプカーの過積載問題が改善すると、運賃の上昇が見込まれ経営に寄与する。

≪社会環境≫

・当社は茨城県の北半分が商圏であり、公共事業の減少に影響して建設業者の受注減が懸念される。

≪技術環境≫

・ライバル業者である県内の砂利販売業者は資源の枯渇により減少する。砕石業者に砂利に代わる製品出荷要求が高まるが、砂利生産にくらべると砕石生産はコスト高なので、ローコストな砕石プラント作成が望まれる。

※ペスト分析の考察

厳しい法規制のなか新規参入業者が存在しないので、外部環境は恵まれていますが、需要が少なく製品出荷減少が見込まれます。立地条件の良さをさらに高めること、砕石生産コストを下げる事が必要と考えます。

当社にとって特に過積載問題解決は、シェア回復に大きく貢献すると考えます。

 

3-2 VRIO分析(内部環境)

顧客である建設関連業者は工事時間の短縮が最も最優先課題で砕石の価格よりも重要項目です。当社の工場は山に囲まれていますので、社有地の一部を開削して社内バイパス道路を作り、輸送時間の短縮を計画します。このバイパス道路作成についてVRIO分析します。

≪Value(経済価値)≫

社有している山の一部を採掘して社内バイパス道路を作る、道路作成の為に採掘した石はすべて販売することができ、当社の社員と自社の重機だけで作る事が出来るので、一石二鳥である。

社内バイパスが完成すると、ダンプカーで一回当たり配達する時間が片道で約5分短縮できる、一日に換算すると30分から50分以上の運送時間短縮で、輸送コストが15%以上削減したのに等しくなる。

≪Rarity(希少性) ≫

当社の工場所在地は茨城県の県北に位置し、この地域には同業他社は2社しかなく、その中でも当社はいちばん立地条件に恵まれている。

社内バイパスが出来ることにより、さらに他社より運送コスト面でリードできる。

≪Inimitability(模倣困難性)≫

当社周辺の地区では砕石場になる硬質砂岩の山は他にはなく希少で、近隣の山は柔らかい石である泥岩なので砕石場には適さない。

≪Organization(組織)≫

自社にある社員と重機だけで、最少コストでバイパス道路を作る事が出来る。

Vaiue

(経済価値)

Rarity

(希少性)

Inimitability

(模倣困難性)

Organization

(組織)

※社内バイパス道路のVRIO分析の考察として、現在は当社の国道まで出る時の道路は狭くてこれが大きな弱みです。この道路を社内バイパス道路を作り改善すれば、弱みが縮小し大きな強みとなります。

 

3-3 ファイブフォース分析(外部環境5つの脅威)

ファイブフォース分析を、一度目は15名の社員と、二度目は幹部7名で分析しました。

≪新規参入者の脅威≫

・特に現在なし

採掘する山を新規に確保することがむずかしく、厳しいコンプライアンスの問題もあり、新規参入は現実にはありえない。

≪売り手の脅威≫

・特に現在なし

特に重機や機械の大幅な値上げもなく、将来とも急な変化はないと考えられる。

≪代替品・サービスの脅威≫

・特に現在なし

砕石そのものが価格が高額ではないので、代替品の参入はむづかしい。

代替品もあるにはあるが、当社の商圏では発生しにくい。

≪買い手の脅威≫

・特に現在なし

取引相手は、BtoBが全取引の95%以上で、顧客件数は少なく、固定していて買い手の変動は少ない。

≪業界内の脅威≫(砕石・再生骨材・砂利業者などの競争業者)

1: 茨城県のリサイクル材販売システムにより、道路用砕石の出荷が減る

2: 慢性的な競争とダンプの過積載問題で低価格から抜け出せない

3: 公共工事の減少で、砕石出荷減

4: 労働者の確保が困難で、社員やダンプ運転手が高齢化する

5: 免税軽油の廃止による燃料費の高騰

6: コンクリート用砕石を取引している会社が数社しかなく、特定の業者に偏っている

※考察として「5つの脅威」の中では、業界内の脅威以外は特に差し迫って影響がでるものがないと考えられるので「業界内の脅威」だけに絞り以下に個別にまとめました。

1:・茨城県土木部のリサイクル材販売システムの稼働により道路用砕石の出荷量が減少する可能性が有る、この砕石は全体販売量の約30%を占めているので影響が著しい。リサイクル材販売システムの緩和策を茨城県砕石組合として訴え影響の軽減を図ることを検討する。

・道路用砕石の出荷量が減少すると、山の採掘計画にも影響するので十分対策を考える必要がある。

2:・当社から20キロ圏内シェアは約40%なのでかろうじて価格リーダーを維持している。30キロ圏内のシェアを拡大する為に、コンクリート用砕石を増産する。

・ダンプ過積載問題が解決すると商圏が安定し砕石販売量も安定する。

3:・復興需要の終了で出荷減が見込まれる。一年を通し安定出荷できる販売先を検討する。

4:・労働者の確保が難しくなりつつあり、Tカレッジで学んだCM作りをや、ホームページを作成して求人を向上させる。

5:・重機の多い当社では、取り沙汰されている免税軽油の廃止になると年間約1,000万円の燃料費増につながる、直近の平成30年からから3年間は免税軽油延長が決定した。

6:・当社の顧客はコンクリート用砕石を納入している生コン業者が少ないので一社でも納入中止になると影響が大きい。コンクリート用砕石を増産し納入会社を増やす検討をする

 

3-4 SWOT分析

 

強 み 弱 み どのように克服するか
現 在 A社有地の原石の賦存量(鉱量)が現在40年以上ある

B 地域で一番の立地を生かし有利な販売をしている

a土地の購入には色々な障害がある

b工場への搬入路が狭く交通の障害になる

c  砕石業は大きな機械や重機を多く使うので、修繕費が突出して費用が掛かる

Aa 原石山を拡大し将来に備える。

b道路の交換場所を増やし、交通の便をよくする

c 重機保険やプラントに丸ごと保険を掛ける

強 み 弱 み どのように克服するか
近い将来 ①  A+B  原石の量を40年以上を目標に確保する

②  工場内バイパス道路を開設し、国道とのアクセスをよくする

1+2 砕石会社が土地を購入する場合は、土地は割高になりやすい

 

1+2 景気の後退で土地の値段が下がってきたのでこの機会を利用する

 

※ SWOTで分析した強みの考察を以下にまとめます。

①・原石の量を40年以上砕石生産できる目標で確保する。原石の量が多いと常に安定した製品製造と大量出荷にも対応でき、建設会社の要求にこたえる必要な要素になる。商圏のリーダーとしても大事なポイントになる。

・砕石場の構内が広くなると砕石製品在庫も大量にストックでき、重機などの大型機械も作業しやすくなる。常に変化しやすい自然の山を相手に作業するので、余裕ある安全作業をすることは最優先であり、いつも広大な敷地を必ず必要とする。

②・商圏リーダーとしては一番の顧客である建設会社と生コン会社のシェアを増やす為に、配送時間を短縮する方法がある。社有地に工場内バイパス道路(高低差70メートルほどの山を掘削撤去し専用道路を作る)を作り、ダンプカーがスムーズに国道までアクセスでき安全に運搬できるようにする、他社より配送時間が有利になり大きな強みになる。

C  ・修繕費が特に多いのが砕石会社の特徴で、対策としては重機と砕石工場全体に専用の保険を掛ける、昨年から始めたこの保険の実績は、600万円の年間保険料に対して1,100万円の保険金を受け取り大きな効果を上げた。

 

 

4 今回の分析の考察

今回は現状を分析しただけでした、理念を策定し戦略を作るのが順番でありますが、理念を作る状況分析もまだまだ足りないと考えます。社員とも数多くデスカッションをする必要があります、社内ではまだまだ危機感も少ないです。

当社から20㌔圏内はリーダーで、30㌔圏内はチャレンジャーです。30㌔圏内をターゲットにする場合は、輸送効率を上げることを検討する必要が有り。ターゲットの近くにストック場をもうけ輸送時間を短縮しないと競争には勝ちにくいですが、そうするとコストアップにもつながります。

 

 

5 まとめとこれから

当社の今回の分析では、PEST分析において会社の状況が一番よく見えたと考えられます。

県内での業者数は、資源の枯渇で撤退することはありますが増えることはありません。

ファイブフォース分析でもありましたが、外部の問題や脅威は少ないです、内部の問題がほとんどという事です、その中でも運搬道路が狭くダンプ走行に支障が有る事や、砕石を効率よく生産できない問題があることが分かってきました、中途半端に改革するのではなく大規模に対処しなければ改善がむづかしい場合も考えられます。

まだ当社の理念やビジョン、それに基づく戦略は出来ていませんが、今回の分析で方向が徐々に見えてきました、これを基に方向を社員と共有し、200年以上続く会社にすることを考えます。

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