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業界分析
不動産事業の動向調査
はじめに、2018年4月、株式会社木立は沖縄県那覇市を拠点に不動産事業登録を完了し、第二の事業 を開始した。当面は仲介業ではなく、物件の購入・戸建の企画(デザイン)開発と売却を行う予定と している。
2017年10月からの準備段階において、既にリゾート収益物件(旅館業が取得できる土地)を2筆、那 覇空港から近く都市の発展が著しい豊見城市豊崎に4筆購入した。
沖縄県は名護市を除き、ほぼ全域において地価が上昇しており、豊崎では2017年4月に造成区画の最 終分譲が終了した時点で、坪単価23万(当初売出価格)が45万円に上昇、10月には坪単価55万円で 取引され、240%の上昇、さらに2018年5月は坪単価60万円となった。
これらは、実需要(土地を購入して住居とする)と、国内外からの投資目的購入(高値で転売や賃貸 収入を得る目的)が同時に高まっているため、さらには、人気地域(ビーチや商業施設などのランド マークが近く、県外・国外の投資が集中していることも認知されており、那覇市への通勤アクセスも 良い。)に買い希望が集中し、売却不動産が希少であることが原因である。
今回、サンフランシスコ(以下、SF)での不動産動向調査を目的とした理由は、全米でも最も不動 産平均価格(中央値)の上昇が見られていることなどから、その原因や現在の課題・利点などの情報 を得ることで、沖縄県の不動産動向と比較し、将来予測や現状の判断材料へと繋げたいと考えてい る。
サンフランシスコの人種について
SF不動産動向を知る上で、多民族地域の特徴を調査した。以下、住民人種統計
ノンヒスパニック(スペイン人ではなく、スペイン語を話さない。)が最も多く41% 次にアジア系33%(中国人が最も多く21%、日本人は1.3%)、次にヒスパニック系15%であった。 人種別の年収の統計は信頼できるデータが見当たらなかったため、現地で確認したい。
なお、カリフォルニア州 (以下、CA州)のGDPは世界第6位、全米では第1位であり、年収 の高さは伺える。(日本のGDP は世界第3位)
引用/ 在サンフランシスコ日本国総領事館
世界企業と雇用について
シリコンバレーには、世界上場企業が集積し、アップル・グーグル・フェィスブック・ウー バー・エアビなど、収益性の高い企業によってIT雇用の集中的増加や年収の高額化が起こ り、そのプレイヤーの生活を支える不動産需要が高まり続けることで、価格や家賃の上昇の 起因となっていると考えられる。
indeedの求人情報を見ると、SFのIT求人で年収1,000万円以上では、260件以上が該当し た。公開されていた求人全体(約5万件)の18%が年収1,000万を超えるものだった。
出所/ アメリカ労働省(縦軸:IT雇用者数、単位:千人 横軸:年月)
生活コスト「家賃(1ベッドルームの月額)」について
サンフランシスコは、全米で最も家賃上昇している地域でも知られいる。過去10年間で 144%の上昇率、家賃は月2,326ドル(25万円)から3,370ドル(37万円)となった。 居住者は、CA州平均年収629万円から見て、医師やIT 従事者など、職業が限定される。
売買不動産(2ベッドルームの価格中央値)について
2018年SFの戸建不動産の価格中央値は166万ドル、日本円にして1.8億円
10年前の2008年が80万ドルであったため、207%の上昇をしている。
但し、不動産物件の調査を進めると、上記の統計は参考程度で、不動産の将来価値・暮らし 易さ・眺望やデザインなど物件の魅力を求めれば、中心地のマンションで2億、戸建で4億 程度だと考えられる。これらは、現地で実際の物件を見学して確認したい。
まとめ
多様な人種と価値観による新たなサービスの誕生・企業の成長と社会経済の発展・職業と年 収、そして生活コストへの影響が強く表面化しているSFの動向は、今後の沖縄の発展の可 能性について様々なヒントを得られると考えられる。
効率と合理性の中から誕生したITサービスの発展と共に、不動産の価値が高まるという関連 性を現地で確認しつつ、今後の事業展開アイデアから具体的な販売手法まで参考としたい。
参考 アメリカ労働省
アメリカ労働省・年収の統計
https://www.bls.gov/oes/current/oes_ca.htm
PARAGON(大手不動産会社による市場動向調査)
https://www.paragon-re.com/market_updates
Zillow Research(不動産会社による市場動向調査)
https://www.zillow.com/research/ Zillow
物件情報
https://www.zillow.com/san-francisco-ca/
サンフランシスコ現地調査結果
研究テーマ「不動産事業の動向」
現地で調査できたこと
・ライムバイクを活用することで、徒歩と比較してより多くの戸建や街並み(サンフランシスコ)を視察できた。 ・外壁塗装や工事中のガレージ内などを複数視察できた。
・日本では見かけないビクトリア朝(様式)住宅や傾斜地建築の工夫が参考となった。
・事前調査で得ていた情報を、初日視察したジェトロ等で実情が確認できた。
現地で調査できなかったこと
現地不動産会社に飛び込み取材を試みたが、日本人スタッフが不在で諦めた。
戸建の特徴「パロアルト市」
Hewlett Packard Garageを視察したパロアルト市の高級住宅街では、1筆あたり150坪平均であった。 現在売りに出されている戸建は約50件、大学に近い物件ほど高額になる傾向で、最も高額で10億(二階建て・プール付き) で、低価格で2億(平屋)である。
ゆとりある敷地だが、区画によっては駐車場を持たずに接道に駐車しているようであった。建物前に庭を取り、セットバック している。縦長の土地では裏に庭を配置している。また、緑が多く、手入れが行き届いている。人工芝生も多く見られた。
戸建の特徴「SFカウ・ホロー Cow Hollow」
ゴールデン・ゲート・ブリッジ付近に集中する高級住宅街では、約80件が売り出されている。最も高額な物件は14億だが、多 くは3億程度である。最安値で1.5億だが、築年数は94年である。特徴としては、1筆あたり100坪未満で一階はシャッター付き ガレージで3階建て、裏庭がある。植樹を含めてどの家も非常に手入れがよい。
付近は、サンフランシスコ湾・ビーチ・マリーナ・フィッシャーマンズワーフ・ゴールデンゲートブリッジなどのランドマー クが存在しており、資産価値は低下しにくい土地であることが分かる。
パロアルトの物件と大きく異なるのは、隣家とのスペースがなく0cmの物件が多いことである。販売当時、不動産開発会社が テラスハウス型として企画建築したものと考えれるが、当該地域のほぼ全てが同様であることから、他の理由はまた調査した い。左右に接着している家は、光と風を取り入れる対策が施されている模様
サンフランシスコ小規模宿泊施設の相場(帰国後ネット調査)
弊社で宿泊業を計画していることから、カウ・ホロー地域でのホテル宿泊料金を確認した。多くが1室2名1泊の利用で2〜3万 円程度(2万円以下はドミトリータイプのホステル)である。やや古い印象で不衛生にも見える。 民泊物件は市庁舎付近で少数存在しているようだが、1棟2名1泊で1.5万円で非常に清潔で広い。ロングステイなどに活用で き、「暮らしながら旅ができる」という印象がある。
その他の可能性
シェアリングビジネス「ライムバイク(スクーター)」の機動性、使いやすさ、手頃な価格、GPSを用いたゲーム感覚の探索 など、その魅力とビジネスモデルを体感した。一度使用すると、毎日のように乗りたくなるほどだった。
従来のシェア自転車の欠点であった「ドッグに戻す」という手間がなく、「乗り捨てできる手軽さ」が特に利便性を高めてい た。法的な問題によって2018年6月6日現在、使用停止処置をしているようだが、日本での導入実現は困難に思える。
しかし、ライムは2018年2月に「自転車」もサービスインしており、その特徴がスクーター同様の「ドッグレス」である。 沖縄ではドコモがシェアサイクルを実証実験しているが「ドッグレス」ではないため、利便性は低い。
http://docomo-cycle.jp/okinawa/
ライムバイクのビジネスモデルの強みを模倣し、「ドッグレス」のシャアバイク(サイクル)の導入について、可能性を調査 したい。中国では過剰供給によって破棄状態のシェアサイクルが多いため、ライムバイクの調達ルートに習い、これらの再活 用によって導入コストも抑えられるのではないだろうか。
参考記事
中国のシェアサイクル
https://www.businessinsider.jp/post-163538
ライムバイク
以上