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修了生論文

自社分析と経営戦略

東京校 (T-college) 柳原 博文 (株式会社常栄技巧 )

第1章 動機

 

1-1 スクール入学動機

今回ビジネススクールに入学したきっかけは、エフアンドエムの小畑さんに進めて頂いたのが始まりでした。

学生時代は勉強が苦手で、スポーツなどの体を動かすことが得意でした。社会人になり、自営業をしてからは学ぶことが多く、今まで避けてきた勉強の大切さに気付かされました。当社は防水工事会社であり、職人気質な私は、勉強と聞くと乗り気ではなかったのですが、大阪校での体験スクールを聞き、参加しました。授業を受けてみて「学びたい」と強く思い、入学を決めました。

 

1-2 研究動機

私が創業してからもうすぐで20年目になり、法人にして3年目になります。当社には、明確な経営理念・ビジョン・経営戦略がなく、就業規則・経営計画も表記していません。

以前からこのままでは駄目だとは思っていましたが、忙しいことを理由に先延ばしにしてきました。売上は徐々に増加しているものの、粗利率が悪くとっても良いとは言えない状況が続いています。この先、当社が防水業界で生き抜くために、当社を把握し、業界を把握し、当社の経営戦略を考えます。

 

 

第2章 企業概要

会社名  株式会社常栄技巧

所在地  富山県中新川郡上市町久金43-1

創業   1998年9月

設立   2015年3月

従業員数 6名

資本金  500万円

事業内容 シート防水・FRP防水・アスファルト防水・塗膜防水・その他防水

 

当社は1998年9月に常栄技巧で創業しました。創業当初は防水工事会社からの手間請けで倉庫もなく、自宅の一室を借りての始まりでした。売上は、良い仕事をすれば売上が増加し、人材も増減を繰り返してきました。徐々に手間請けから材工で請ける仕事が増えきて2008年に事務所と倉庫を新設しました。2015年に株式会社常栄技巧を設立し現在に至ります。

 

 

第3章 問い

今後やってくるだろう厳しい時代を、乗り越える準備をしなければいけない。当社従業員が安心して働ける会社、魅力のある会社を作るために当社を分析し、経営戦略を考えます。

 

 

第4章 研究手段

ファイブ・フォース・モデルによる防水工事業界分析とSWOTによる当社分析を行う。

 

 

第5章 研究結果

 

5-1 ファイブ・フォース・モデルによる防水工事業界分析

【業界内の脅威】

建設業界全体ですが、現状としては、防水工事業界も人手不足に悩まされています。しかし防水工事は、天候に左右される為、人材を多く抱える事もリスクと考える会社も少なくないのが現状です。そして近年の異常気象は、防水工事業界としても、脅威と考えます。今後、更なる工事物件の減少により価格競争・顧客争奪が起きると考えます。そして競争の激化による受注価格の低下等により、人材の育成等に取り組んでいる優良企業ほど苦しくなっていると考えます。また近年は、防水工事業界に若者が減少し、技能・技術の承継が困難になっていると考えます。

【新規参入の脅威】

近年は、防水工事業界は厳しい状況で独立開業を目指す人材も少なく、建設業界全体に魅力を感じられないと考えます。しかし、類似業種や大手企業からの新規参入また企業買収や企業合併等が行われると考えます。

【代替品・サービスの脅威】

近年は、ホームセンター等で防水材料を販売されているところも多くなっています。しかし販売価格も高く、施工には、知識と経験が必要なため、今は脅威ではないと考えます。今後は、インターネット等からの防水施工方法や防水施工単価などの情報の流出が脅威になると考えます。

【売り手 供給者の交渉力】

近年は、防水材料メーカーからの直接販売ではなく、商社が間に入る販売ルートが増え、悪く言えば誰でも仕入れ出来る防水材料が多くなっています。防水材料に差別化が無く、営業が行いにくくなり、価格競争になると考えます。また原材料費や輸送費の高騰により防水材料費や消耗品の値上げが起きると考えます。そして、社員の勤続年数や技術向上により、給与の値上げにつながると考えます。

【買い手 顧客の交渉力】

近年は、工事物件の減少や受注価格の低下、そしてインターネットの普及により、情報収集や比較が容易になり、防水業者や施工単価・施工手順等も詳しく調べることが出来る時代になっているため、顧客からの厳しい値下げを求められることが増えたと考えます。

【分析結果からの考察】

ファイブ・フォース・モデルによる防水工事業界分析結果を考察すると、当社も高齢化が進み、人手不足であり労働力の問題があることが分かる。防水は、建築物に要求される「漏水を防止する」という基本的な機能を担っているが、万全な防水はそう簡単ではないのが実状である。防水の仕事は、建築物がある限りなくなることはないが、工事物件の減少により、防水施工業者が選ばれる時代になっていると考えます。この厳しい時代を生き残るために、当社にできる工夫や努力を行い、そしてお客様に選ばれる会社になるために現在の当社をSWOTによる分析を行う。

 

5-2 SWOTによる分析

現在 強み Strength 弱み Weakness
.全ての社員が、一級防水施工技能士を取得している。 A’人材不足により、仕事が増えて重なると社員に負担がかかる。
.社員が、一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士(仕上げ)を取得している。 B’仕事の業種や業務内容がわかりにくく、知名度が低い。
.社員が20代から50代と幅広く在籍し、平均年齢が41才と若く、行動力・機動力がある C’自然の雨・風・雪などの影響が受けやすく、仕事の段取りが変わりやすい。
.大規模工事から小規模工事まで対応可能で、責任感のある高品質な施工を実現できる. D’ネットワーク力がない。
.塩ビシート業界でトップシェアのロンプルーフ防水事業協同組合員である
将来 機会 Opportunity 脅威 Threat
.新規雇用した社員に有資格者が指導・教育をして技能士を増やす。AB a’工事物件の減少により価格競争・顧客争奪A’
.社員が増えても、豊富な経験・確かな技術や知識をマニュアル化して統一化を図る。ABC b’社員の減少A’
.防水工事の種類も多くあり、個々の得意分野を伸ばして役割分担をする。ABC c’企業の多角化により新規参入B’
.リフォーム市場の拡大を視野に、提案力や関連事業の強化を目指す。BD d’材料費の値上げ、元請けからの値下げD’
.ロンプルーフ防水事業協同組合の営業研修・技術研修などに積極的に参加する。

 

 

【強み】を活かして【機会】をどのようにとらえるか 

1.新規雇用した社員に有資格者が指導・教育をして技能士を増やす。

活かせる当社の【強み】AB

有資格者を増やすことは、お客様からの信頼につながり、社員の自信につながる。

 

2.社員が増えても、豊富な経験・確かな技術や知識をマニュアル化して統一化を図る。

活かせる当社の【強み】ABC

防水工事の種類も多く、防水施工手順の統一化を図るために、施工手順マニュアルを作成することにより、施工時間の短縮や失敗の少ない施工につながる。

 

3.防水工事の種類も多くあり、個々の得意分野を伸ばして役割分担をする。

活かせる当社の【強み】ABC

社員を増やし、有資格者を増やし、防水工事の種類によって担当を役割分担することにより、社員の負担が減り、技術の向上につながる。

 

4.リフォーム市場の拡大を視野に、提案力や関連事業の強化を目指す。

活かせる当社の【強み】BD

建設業許可の範囲を増やし、建築物の改修工事(リフォーム)を中心に受注の拡大を目指す。価格競争ではなく、提案力を磨き、技能や技術を磨き、施工力のある企業を目指す。

 

5.ロンプルーフ防水事業協同組合の営業研修・技術研修などに積極的に参加する。

活かせる当社の【強み】E

ロンプルーフ防水事業協同組合から、不具合発生の要因分析と、「不具合をなくす」にレベルアップするための取り組み、当社から、不具合の実態と対策について報告するとともに、深刻な技能者不足への対応と技能者育成の取り組みを行う。

 

【弱み】をどのように克服するか

A’人材不足により、仕事が増えて重なると社員に負担がかかる。

防水業界の横のつながりを持つことで、仕事が忙しいときに、応援や下請けをしてもらえる関係性を築く。当社のホームページを作成して、当社や仕事内容に興味を持ってもらい求人募集を行う。

 

B’仕事の業種や業務内容がわかりにくく、知名度が低い。

防水業界だけではなく、様々な勉強会や研修会等に積極的に参加してネットワークの幅を広げる。当社のホームページを作成して、当社や仕事内容に興味を持ってもらい、知名度のアップを行う。

 

C’自然の雨・風・雪などの影響が受けやすく、仕事の段取りが変わりやすい。

様々な気象状況での施工工程や施工手順を分析して、無駄が無いように見直す。見積内容や見積価格も季節などによって見直しを行う。

 

D’ネットワーク力がない。

防水業界だけではなく、様々な勉強会や研修会等に積極的に参加してネットワークの幅を広げる。当社のホームページを作成して、当社や仕事内容に興味を持ってもらい、知名度のアップを行う。

 

【脅威】をどのように回避するか

a’工事物件の減少により価格競争・顧客争奪

提案力や技術を磨き、責任感のある高品質な施工を目指す。

 

b’社員の減少

働きやすい会社でやりがいのある仕事を目指す。

 

c’企業の多角化により新規参入

豊富な経験と確かな技術や知識で最適な工法の提案を目指す。

 

d’材料費の値上げ、元請けからの値下げ

特定の元請けや仕入れ先に依存しないよう、取引先の分散を目指す。

 

【分析結果からの考察】

SWOTによる分析を考察すると防水工事業界では、当社は人材に恵まれた環境であることが分かる。しかしながら現状のままでは高齢化が進み、防水工事業界で生き抜くことは困難だと考えます。まずは、ホームページを作成し、様々な勉強会や研修会等に積極的に参加してネットワークの幅を広げ、知名度アップを図りながら、求人募集にも力を注ぎたいと考えます。また様々な情報収集や分析を行い、豊富な経験と確かな技術や知識で最適な工法の提案と責任感のある高品質な施工力を付けることが、防水工事業界で生き抜くために必要なことだと考えます。

 

 

第6章 今後の取り組み

1, 施工方法・見積内容・仕入れ材料の分析と見直し

施工方法の統一化を図ることにより、無駄をなくし、施工時間の短縮が望める。

見積内容を顧客や施工時期によって変わるのは、手間が伴うが管理の質が高まる。

仕入れ材料は、安く、使い易い材料であれば、工事金額を抑えられる。

 

2. ホームページ・マニュアルの作成

ホームページを作成することで、当社や仕事内容に興味を持ってもらい、知名度アップにつながる。

施工マニュアルを作成することで、施工時間の短縮や失敗の少ない施工につながる。

 

3. 人材の育成

人材こそが当社の宝であり、人材を増やし、育てることが魅力のある会社と考えます。

 

4. 経営理念・ビジョン・経営戦略・就業規則・経営計画の作成

目標を明確にして、社員全員で共有することで組織力を高める。

 

 

第7章 監査方法

これまで述べた事を次のように監査する事とした。

①1月・6月に施工方法・見積内容・仕入れ材料の分析と見直しを行う。

②3月・9月にホームページとマニュアルの見直しを行う。

③奇数月に技能・技術勉強会を実施する。

④偶数月に経営会議を実施する

 

 

第8章 まとめ

私は、今まで感覚だけで仕事をしてきました。現場を完成させることを第一に考え、良い仕事をする事により、達成感と自己満足をしてきました。入学前の体験スクールで経営者として、失格だと気づきました。私自身がもっと学び、成長しなければ決して当社の発展もないだろうと思いました。今後、経営者として何が必要で何をどうしていけば飛躍できるかを考え、学び、何事にも積極的に参加して、自己の成長と商売繁盛を目指したいと思います。今回のビジネススクールでは、やるべきことが多く、逃げ出したいとか、恥ずかしいなど疲れがたまる毎日でした。しかしあっという間の6ヶ月間でした。受講を受けるたびに、当社にかけていること、私に足りないものなどに数多く気づくことが出来ました。本当にビジネススクールに入学して良かったと感じました。そして、当社の社員と私の家族に感謝します。

最後に、今回のビジネススクールで、教わったことをきっかけに今後更なる高みを目指し、当社の発展のために頑張りたいと思います。

 

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