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修了生論文

データー分析による財務戦略

東京校 (T-college) 坂巻 敦子株式会社ミッション 役員)

1. 会社案内

株式会社ミッションは平成10年2月10日設立  資本金1,000万円

事業内容は建設業を営み、エクステリア業を主とし、造園、設計、施工を行っている。またわずかではあるが住宅のリフォーム業も請け負っている。

事業所は埼玉県川口市に位置し、展示場兼資材置き場も同市に所在する。

社員数は役員8名、社員5名、パート2名の計15名の小さな会社である。

業務形態は営業兼現場監督が、私の主人でもある創業社長と社員2名の計3名で行い、置場管理兼現場管理者が1名、工事部が2名、事務所内ではCADオペレーター2名(その内1名は展示場勤務)パート1名は原価管理の入力、もう1名は清掃を主としている。そして経理兼総務と雑務が私の仕事である。

工事は社員2名と外注職人だが、ほとんどが当社の仕事を主にしている人で30人前後である。

≪経営理念≫

楽しい家 愉しめる庭づくり

新しい住空間と心豊かな暮らしづくり

地域づくり 景観づくりへの貢献

地域の皆様にプレゼンテーションを通じてより良いものを推奨し夢と感動を共有できる暮らしづくりを推進する

2. 動機

私がデーター分析による財務戦略を選んだ理由は、現状のままでは今後の経営は難しいと気がついていながら、現実には財務分析もしていない、経営診断も相談していない状態であった。また後継者は息子か社長の従兄弟と勝手に決めていたが、債務超過がある為なのか本人たちの自覚は薄く真剣に取り組む姿勢も感じられない。どう対処していいのか頭を抱えている状況だった。このままでは後継者もいなくなり、社長と私の二人で、減らない借金を返済しながら年をとっていくのかと思うと気が滅入る毎日を送っていた。以上のことを解決したいと思い本課題に取り組むことにした。

 

 

3. 現状分析

平成16年7月から平成28年5月までの12期分の財務分析を行った。(途中決算月の変更有り)別表参照

ここ数年の売上目標は380,000,000円だが前期、前々期は特に伸び悩んでいる状況だ。まずは1期ずつの詳しい分析をする。

 

14期(平成16年8月から平成17年7月)

この表には表記して無いが13期の売上が330,000,000円近くあったのに対し、今期は307,115,264円とダウンしてしまった。しかし純利益が11,054,616円としっかり出ている。利益率に関しては26パーセント近く有る。この時の従業員数は8名なので人件費は3,300,000円とやや少なめである。固定長期適合率は19.78パーセントと当社にしては低めである。この期の概要書を読み返してみると利益率の低い建物建築を減少させて外構工事に執着し原材料費と外注費の管理に努力したと記されている。販売管理費の徹底的な見直しは大切である。

 

15期(平成17年8月から平成18年7月)

売上は前期に比べ27,421,774円増加したため総利益率も28パーセントとなる。そのため、当期純利益が25,161,756円と飛躍的な増加をした。マイナスの純資産もかなり減少する事が出来た。これは外注費が129,557,150円に抑えられたことも大きな要因である。またインタレストカバレッジレシオも11.46パーセントと高めである。固定長期適合率も22.67パーセントである。よって比較的安定した期である。

 

16期(平成18年8月から平成19年7月)

この期は営業職の従業員1名と期の終わり近くではあるが工事部の社員1名が増員し、さらに売上総利益は順調に伸びて367,225,526円となる。しかし当期純利益は1,516,690円で大幅に減ってしまった。それは先に述べた従業員が2名増えたことと、昇給による給与手当てが前期に比べ10,000,000円の増加、それに伴い販売管理費も増加したためである。外注費も3,000,000円前期に比べて多い。

以上の理由から売上に対する総利益率は下がったものの長期借入金を増やしたことにより固定長期適合率はやや上がった。だがインタレストカバレッジレシオ、自己資本率、ROA、ROE、どれを比較しても前期より悪い数字である。やはり従業員が増員してもすぐに売上の貢献にはつながらず販売管理費だけ増加すると言う事であろう。

 

17期(平成19年8月から平成20年7月)

建築物を手がけた事により順調に売上が増加して411,146,888円となる。しかし、2月よりさらに営業職の従業員が1名増えた事に伴い販売管理費と、売上を確保するために接待交際費が増加した。そのため当期純利益は前期に比べて約446,000円減ってしまった。外注費は若干ではあるが減少ぎみである。売上に対する総利益率は若干ではあるものの営業利益率、インタレストカバレッジレシオは大幅に上がった。しかし経常利益率は下がってしまった。ここで一つ経費の見直しが必要であった。期が終わる度に細かく分析していく必要があるのにこの段階ではまだ気がついていなかった。残念な事にそれを怠ってしまった為に20期におきるアクシデントで大打撃を受けてしまう事になる。

 

18期(平成20年8月より平成21年7月)

前期より売上が323,113,543円と大幅にダウンし当期純利益は112,903円に減少してしまった。理由としては主要得意先のハウスメーカーの工事体制が変わり当社の着工件数が減った事によるものである。その為に減りつつあった借入金の増額を余儀なくされる事態になった。10月よりさらに工事部の従業員が1名増えて給与手当ても増加した。ここ数年、販売管理費が増加して圧迫し始めていることにもっと早く気がつくべきであった。インタレストカバレッジレシオ、固定長期適合率、ROA、ROEの全てが大幅に減少した。

 

19期(平成21年8月より平成22年7月)

売上は330,105,676円まで巻き返したため当期純利益も710,590円までになった。前期の反省として経費削減に努め販売管理費が2,300,000円の節減ができた。その為、総利益率も29.3パーセントとなる。営業利益率、経常利益率、インタレストカバレッジレシオも前期とほぼ変わらない状態である。ただ、残念なことに新車で購入したバンが盗難にあい4,500,000円の損失が出てしまった。キャッシュフローも厳しく、借り入れをさらに増やしたので固定負債が増加した。これからは、BtoBよりBtoCの顧客を安定させる為にホームページの見直しと、地域密着である当社独自の展示会を定期的に開催していかねばならない。加えて窓口を広くするためにハウスメーカーの取引先も増やすことだ。

 

20期(平成22年8月から平成23年7月)

この期は私が当社の仕事を始めてから一番辛かったと言っても過言ではない期である。主要得意先のハウスメーカーが当社との取引停止処分を決めた事だ。そのことで前期の売上330,105,676円から287,718,081円に一気に減少した。42,387,595円の減収はそう簡単には埋められるものではない。よって営業利益も、経常利益も大幅に赤字となり純利益はマイナス65,759,601円となった。マイナスの純資産も今までで一番の最悪となりマイナス68,184,681円という数字になってしまった。その為に営業利益率はマイナス11.66パーセント、経常利益率もマイナス12.98パーセント、インタレストカバレッジレシオもマイナス7.73パーセントで自己資本比率に関してはなんとマイナス50.76パーセントになってしまった。ROAもマイナス0.48パーセントと最悪な数字になった。また以前から未収の売掛金が回収見込みの目処が立たずに28,335,000円を貸し倒れ損失とした。

前期に高校を卒業し新卒で入社した現場従業員が1名退社した。そして年に2回、定期的に行うイベントの「お庭祭り」は地元の方々に認知されてきた。その際の折り込みチラシも経費がかかるため広告料が増えたが先行投資と考えた。

 

21期(平成23年8月から平成24年7月)

売上が前期より100,373,942円の増収となり飛躍的に伸びた。これは営業努力で新規得意先が開拓できた事、ホームページと定期的な展示会の開催によるBtoCの増加によるものである。BtoCの顧客が増えた事で経常利益は29,063,026円、当期純利益が28,107,520円で過去最高となった。総利益率33.25パーセント、営業利益率8.3パーセント、経常利益率7.48パーセントと全て大幅にアップしている。これはBtoBよりBtoCの顧客が増えた事による利益率の向上である。今後はさらにBtoCへの対応を中心に考えるべきだろう。

 

22期(平成24年8月より平成25年5月)

この年より私事の都合により決算月を7月から5月に変更する。その為に10ヶ月という短い期間で決算となり売上が296,965,854円と落ちてしまった。特にそれに影響されたのは営業利益と経常利益である。が、当期純利益は1,354,957円である。

期間が10ヶ月ということと、営業職の従業員が1名退職したので、この期は販売管理費がやや抑えることが出来た。固定資産の増加は営業用の車輌入れ替えと、工事用車両の購入である。総利益率は27.14パーセントであった。

 

23期(平成25年6月より平成26年5月)

売上は398,087,292円で増額できた。これは2月の豪雪によるものと消費税の増税による駆け込み需要で年度末に集中した。さらに地元密着型の展示会が定着しつつBtoCが増加した。売上総利益122,059,449円、営業利益21,789,191円、経常利益24,947,359円、当期純利益に関しては16,593,054円と過去最高である。

川口市からの要請で置場の移転があり保証料として5,700,000円が支払われたので雑収入として計上されている。また、それまでは各自で国民健康保険、国民年金であったが社会保険、厚生年金に加入になり法定福利費の増加が負担となった。

 

24期(平成26年6月から平成27年5月)

売上は361,650,766円と前期よりは減少したものの例年から比べると決して悪い数字ではない。これは前期の豪雪被害の影響が引き続いている事による。売上総利益も87,242,773円である。しかし営業利益はマイナス9,525,929円、経常利益もマイナス16,629,332円、当期純利益においてはマイナス16,299,332円となってしまった。その為に営業利益率マイナス2.63パーセント、経常利益率マイナス4.6パーセント、インタレストカバレッジレシオはマイナス2.66パーセントとすべてマイナスだが総利益率だけが24.12パーセントと黒字である。それは前々期の売上の不良債権放棄4,520,000円が関係する。現場従業員も1名増員したので販売管理費も上昇した。

さらに置き場移転のこのタイミングで、当社の展示場を作るという、以前からの計画を実行し、それが資金繰りをますます圧迫させることになった。一番の反省は展示場作成の収支が簡単なものしか無く綿密な計画の下で行われなかったことだ。また展示場を完成させるのは手間暇がかかり、外注費も膨れ上がり、定期的に行われていた地域密着の「お庭祭り」も工事途中で中止せざる終えない状況であった。また前期から加入した法定福利費が圧迫している。

 

25期(平成27年6月から平成28年5月)

売上368,471,065円、総利益96,177,917円だが営業利益がマイナス7,756,789円となってしまった。経常利益は2,632,251円で当期純利益は1,365,339円でプラスとなっている。

BtoCが33パーセントまでに増加したが営業利益は減収となっている。営業利益率もマイナス2.10パーセントになってしまった。以前から負担であると感じていた長期積み立て型保険料の解約をして約10,000,000円が現金化となりキャッシュフローは楽になった。展示場も完全に工事は終わっては無いが「お庭祭り」ができるほどになり再開した。また役員が1名増員されたので経費が上がった。

 

 

4. 分析を終えて今後の取り組み

私が株式会社ミッションの仕事をして13年になるが今までに、こんなに当社を見つめ直すことは無かった。経理の仕事もパソコンに入力し毎日の業務に終われ本気で財務を見たことは無かったと痛切に思う。1つの期が終わり税金を払い『ああ、終わった~』と感じ検証することも反省する事も無く、また次の期の数字の入力をする。それはただのオペレーターだった。会社も生き物である。健康管理をきちんとすれば体調も良いだろう。しかし、暴飲暴食をして健康診断もしなければ直ぐに具合は悪くなってしまう。まさにその状態であった。お金をかけてホームページを作っても隅々まで見ない事や、新しい情報の更新をしないので古い情報が平気で掲載されている。展示場もあればいい事は確かではあるが財務状況をきちんと考えて作るべきだった。

12期分の分析を終えて、まだまだ経費節減できるはずだと気が付いた。定期預金も多すぎる。授業でも習ったがその事で借入金が増えるのでは意味が無い。また一人で幾つもの業務をこなすのも効率が悪い。沢山のことが見えてきた。まさにリアルタイムで数字を出す事も必要だ。全ては数字なのだ。社長である夫に意見を聞いて貰えず家族の会話になっていた自分が恥ずかしい。ここは会社、戦場である。物事を理論立てて考え、数字で立証して伝えよう。後継者問題解決のはずであったが、論文の別表を作っている内にその前にするべき事が見えた。それが私への分析である。

 

 

5. 最後に

私に成長の場を、チャンスを下さった原田校長先生に感謝の気持ちをお伝え致します。この年齢ではもう他人から叱られる事は無くなっていた。でも先生はよく叱って下さいました。そしてビジネスに対する本気の姿勢を見せて頂きました。本当にありがとうございました。もう一人、私をこのビジネススクールに導いてくれた友人でもあり企業人である恩人に感謝致します。

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