お問い合わせ・資料請求

修了生論文

『強い組織を目指して』 ~組織風土と業務の改善~

東京校 (T-college) 小田井 里水 (湘南機工株式会社 )

動機:

今回私がこの「組織風土と業務の改善」を論文のテーマにしようと思ったきっかけは、3年前に実家である湘南機工株式会社に入社して『外からの人間』として当社を見たときになんとなく、元気がないな、仕事をしていて楽しいのかな?と感じたことでした。たびたび、父親である社長も「みんな元気がないんだよな」とこぼしていました。私自身当社に入社する前はメキシコにあるアジアの食品、雑貨を輸入する企業に勤めていました。メキシコという国柄もあってか職場の雰囲気もとても明るく、全体的に会社の成功に貢献しようというモチベーションも高く持っていると感じていました。日本で就職をしたことのなかった私はあまりにも違う雰囲気に戸惑いながらも日々の業務に従事していました。

 

 

1. 会社概要:

会社名 湘南機工株式会社
代表取締役社長 小田井 博
所在地 千葉県山武市
設立 1971年(昭和46年)6月
主な事業内容 金属加工
従業員数 13人(2018年2月末現在)
(男:20代2名、30代5名、40代3名、50代1名女:30代2名) 内派遣1名、アルバイト2名

 

当社は47年前に神奈川県で湘南機工株式会社として設立して以来、自動車部品の治具(※)や、治具を使用する専門機の部品などの製造をメインに事業を営んできました。自動車部品の中でも当社が取り扱っている部品は、軸受(じくうけ:ベアリング)と呼ばれる部品で、ものを動かすときに発生する摩擦を軽減するための重要な部品です。自動車ではトランスミッションやステアリング、足回りなどで使用されており、軸受が自動車の性能の進化を支えているといっても過言ではありません。そのため、品質や精度に関しては他の部品よりも求められる基準が高く、それに応える高度な製造ノウハウが必要となります。また、軸受は自動車だけでなく、医療機器や食品製造機器など幅広く使用されており、当社も自動車業界以外に医療業界や化粧品業界の取引先があります。業界別の売り上げ比率は、自動車業界が8割程度、その他の業界が2割程度となっております。

治具・・・工作物を固定するとともに切削工具などの制御、案内をする装置。

 

 

2. 問い:

最初は両親の薦めでスクールに通うことになりましたが、通って行くうちに業種は違うけれど同じような状況に置かれている人々に出会い、どうすればより良い、強い組織を作ることができるのだろうと思いはじめました。そして、みんなが気持ちよく働ける環境なら仕事の効率もアップするはず!と考えるようになりました。

 

 

3. 良い組織、強い組織とは…

当社が考える『良い組織、強い組織』とは、共通のビジョンを持ち、高い目標を常に追いかけている組織です。社員ひとりひとりが高い心意気を持ち、仕事をやり遂げることこそが強い組織を作り上げることに繋がっていくと考えます。

 

 

4. 会社の現状:

アンケートなど何種類かのツールを使い、当社の置かれている状況を分析してみました。

【社内アンケート】

現時点での従業員数は13名ですが、内2名のアルバイトは必要な場合のみ出勤しています。

3年未満 3年以上 3年未満 3年以上
20代 2名(アルバイト1名)
30代 1名(派遣) 4名 1名(自分) 1名(アルバイト)
40代 3名
50代 1名
60代 1名

 

コミュニケーションが足りない、連絡不足など日常的な問題のある中で、当社では部署ごとのコミュニケーションは作業上欠かせないため、約3年前から全員が報・連・相研修に参加しています。現在の従業員の研修が自分、アルバイト、派遣、先月入った新入社員を除き、全員終わったところで8名にアンケートを取りました。

 

A) 報・連・相研修を終えて、学んだことがどう生かされているか?

・納期などの対応に生かされている

・情報を共有することで仕事がスムーズにできるようになった

・研修前と変わらない

・自己確認レベルでは大変勉強になったが、日々の業務などの行動レベルになると難しい

・自分だけの判断で行動しなくなった

・話しかけ方のコツが解り、仕事しやすくなった

・作業内容や加工の相談の打ち合わせを積極的にしている      など

B) 達成度(%で)と理由

・100%:1名

・81%以上:2名

・70%以上80%以下:3名

・0%:1名 (取引先との報連相が全くできていない)

・無記入:1名

C) 報・連・相研修のような講習にもっと参加してみたいと思う
はい:3名

いいえ:5名

D) どういった研修に参加したいか?( C)にてはい、と答えた人のみ。)

・技術力を上げる研修

・指導の仕方や伝え方

・生産管理

・5S       など

E) どうすれば湘南機工はもっと良い会社/働きやすい会社になれると思うか?

・ひとりひとりが会社を良くするぞ!という気持ちを持つ

・納期に余裕を持つと心にも余裕が持てる

・大至急品を振り分けて入れるようにしてほしい

・道具などの整理整頓をしてほしい

・全社員が同じ目標や目的に向かって行動できる(会社の方針をはっきりして欲しい)

・5S活動の実行

・社内だけではなく、取引先との緻密なコミュニケーション     など

 

【アンケートからわかった点】

アンケートを元にわかった、当社で抱える問題点は次の通りです。

・社長と工場長以外社外と連絡を取っていない

・一体感がない

・整理整頓ができていない

・会社の方針が浸透していない、もしくは方針がない

ひとりひとり考えていることがあるのにもかかわらず、それが社長、工場長などの管理者に伝わっていないことがとても残念に思いました。もう少し時間に余裕があれば仕事の余裕につながり、焦って失敗してしまうことが減っていくのでは?と考えました。

では、メンバーひとりひとりのいいところを間違ったリーダーシップにより生かしきれていないのではないでしょうか?

 

【SL理論による各従業員の評価】

SL理論を元に各従業員を評価し、今後どのようなリーダーシップが必要とされるか調べてみました。リーダーが部下の状況に応じてリーダーシップのスタイルを変化させることで、組織メンバーのモチベーションは上がります。その結果、業務が効率的になるので、組織の目的を達成することができます。工場長に協力してもらい、毎年3月末に行っている厚生労働省の経験能力評価基準『自己診断シート』(※)の過去2年分のデータと日頃の業務態度を元に各従業員を評価しました。

 

【従業員 ①】K島    勤続年数:19年     部署:フライス

来年定年退職だが、引き続き当社で就労予定。幅広く機械加工ができる。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ②】Y田部    勤続年数:4年     部署:平面研磨

仕事がとても速く正確。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ③】K野    勤続年数:8年     部署:NC旋盤

仕事に対してとても丁寧。こだわりが強く、妥協しない。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ④】I井    勤続年数:4年     部署:ワイヤーカット

スピーディーな対応ができる。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ⑤】H林    勤続年数:4年     部署:検査

検査に対して妥協がない。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ⑥】E波戸    勤続年数:6年     部署:マシニングセンタ

受けた仕事に対して柔軟に対応できる。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ⑦】I毛    勤続年数:2年     部署:穴あけ

未経験で入社したが最近自信を持って一人で判断、行動ができる。

診断結果:R4

必要とされるスタイル:S4 委任的リーダーシップ

【従業員 ⑧】K山    勤続年数:1ヶ月     部署:穴あけ

他社でマシニングの経験があるが現在は試用期間中。

診断結果:R3

必要とされるスタイル:S3 参加的リーダーシップ

【従業員 ⑨】S久間    勤続年数:3ヶ月     部署:検査/NC旋盤

派遣社員、全くの未経験から始めたので現在もトレーニング中。

診断結果:R2

必要とされるスタイル:S2 説得的リーダーシップ

 

【リーダー ①】O川    勤続年数:8年     部署:工場長/丸型研磨

診断結果:S3 参加的リーダーシップに偏りがち

 

現在、工場長はひとりで9名の従業員を管理しているのですが、SL理論による診断から以下のことがわかりました。9名中、勤務年数3年以上かつR4の「仕事を理解しやる気がある、一人で加工ができる」社員が7名いるので、彼らには円滑なコミュニケーションを取りつつ、各従業員に責任を持たせてしまって良いと考えます。その他R3とR2の2名には仕事内容を明確にして、少しずつ考えを出し合い、決定を促すリーダーシップが必要だと考えます。今までは、参加的リーダーシップのみでしたが、これからは委任的リーダーシップをどんどん実行し、各従業員の責任と意識向上を図っていきたいと思います。

※厚生労働省の経験能力評価基準『自己診断シート』

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/syokunou/keiken/keiken02.html

 

【現場の現状】

アンケートにもコメントがあったように現場では整理整頓がされていません。実際に製造現場へ行ってみると、材料屋から入った品物がそのまま床に置かれていたり、工具置き場も決められていないのか作業テーブルの横にまとめて置かれていたり、前の日の切り子がそのまま機械に残っていると製品に傷がついたりと、このままではミスが発生するだけではなく人と機械のパフォーマンスが落ちたり、怪我や取り返しのつかない事故に発展する可能性もあります。整理整頓ができていれば「安全管理」と「作業効率アップ」に繋がると考えます。実際に起こっている問題としては、

・加工材料の在庫があるのにもかかわらずまた注文してしまった

・工具を探すのに時間がかかってしまう

・作業テーブルが指示書や整理されていない工具であふれていて十分な作業スペースがない

などが上げられます。

整理整頓を通じて作業効率・生産効率を上げることが必要です。徹底して無駄をなくすことによって必然的に生産スピードが上がります。解決策として、当社では「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5S活動を行う予定です。

・整理:必要なものと不要なものを分けて、不要なものを処分すること。

整頓:必要なもの(工具や指示書)を取り出しやすい位置に置く。また、誰でも取り出しやすいように明記すること。

・清掃:掃除をして、キレイな状態を保つこと。その日のうちに持ち場の切り子を片付けること。

・清潔:上の3つ(整理・整頓・清掃)を継続すること。計画を立てて実行すること。

・しつけ:決められたことを、いつも正しく守る習慣をつけること。

5S活動の「しつけ」の一環として、帰宅の10分前に作業をやめ、5S活動の時間と定めます。一時的なことで終わってしまわないように、会社のルールとして社員全員で継続できるように取り組んでいきたいと考えます。

 

 

5. 今後の取組と監査

「コミュニケーションについて」は毎朝8時15分から始まる朝礼時にあいさつを徹底し、声を掛け合うようにしていきます。恥ずかしいことですが、当社では基本のあいさつさえも出来ていませんでした。経営者など上の立場の人から日々あいさつをするよう習慣づけていれば、部下も必然とあいさつのマナーを身につけ、自然と自発的に笑顔で挨拶できるようになるはずです。

「会社の方針について」は、しっかりと熟慮した上で明確に決め、それに従って会社の戦略を練り、それが従業員全員に浸透するようにしっかりと伝えていくことを継続的に行っていく予定です。4月が年度初めなので、4月2日の初めのあいさつまでに「会社の方針」のベースとなるフレーズを考えたいと思います。

「5S活動について」は、5S活動をすることが目的になってしまわないように心がけます。会社で「帰宅時間の10分前」などの具体的な活動の場を作り、スケジュールを立てながら実践していく予定です。月初めには工場長が各エリアの担当者を回り、注意するのではなく、声をかけて一緒に実践します。

例:

【4月の活動内容】

自分の持ち場を見直し(第三者の意見も取り入れる)、必要なものと不要なものを分けて、不要なものを処分すること。    など

 

 

6. まとめ

論文を書き始めるにあたって、社長、取締役、工場長にインタビューを行いました。今まで何気なく過ごしていたことが今回のアンケートや診断によって改めて会社を見直す機会になりました。今まで色々取り組んできましたが、継続することができていなかったため従業員にも「また新しいことか。どうせ続かない。」と思われていた部分もありました。これからは、月次計画、年次計画を立て、継続して取り組んでいきたいと考えます。そして、みんなが意見を出せあえるような職場作りを目指します。

pagetop