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修了生論文

自社分析と経営戦略

東京校 (T-college) 成伯 仁志 (株式会社パトロード富山 )

1. 動機

当社は平成元年に私の父が創業し、今年で29年です。私は平成7年に入社し、警備員の一員から始まり、現場管理、教育担当、営業、経理、総務など、現行の業務を行うために必要なポジションをすべて経験させてもらった後、平成23年に社長に就任しました。社長に就任してからは7年がたとうとしています。創業から30年近くも経過すると、当然、環境の変化がありますが、当社のビジネススタイルは創業当時からほとんど変わっていません。ただ変わればいいということではなく、何を根拠にどう変われば良いかが重要であるはずですが、実際にどうするということが見いだせていないまま進んでいると強く感じていました。また、ここ数年は売上減少がつづいているにもかかわらず、効果的な対策ができていません。今までは自分が自社で身につけた経験だけを頼りに事業運営を行ってきたと感じます。この度、T-College4で学ばせていただいた手法を用いて自社を分析し、戦略を考えていくことにします。

 

 

2. 企業概要

会社名 株式会社パトロード富山
本社所在地 富山県富山市西公文名町10-28
資本金 1000万円
創業 1989年(平成元年)4月
設立 1991年(平成3年)4月
業種 警備業

 

2-1 業務内容

警備業務は警備業法で、次の4つに区分されています。

1号:施設警備

2号:交通誘導警備、雑踏警備

3号:運搬警備

4号:身辺警備(ボディガード)

上記のうち当社売上の構成は上記の2号業務が9割を占めています。残り1割は1号業務で、3号業務と4号業務は行っていません。また警備のほかは行っていません。

2号業務は、道路工事現場付近の交通誘導業務、スーパーマーケットなど店舗の駐車場案内業務、イベント会場の案内誘導業務などがあります。

当社の行う2号業務には社員にとって以下の大変さがあります。

・屋外での仕事であるため天候や気温、風や日差し、紫外線などの影響を強く受ける。

・勤務時間は、すべての時間に立ちっぱなしになることが多く常時警戒を続けなければならないので気が抜けない。

・現場の状況により急な変化への対応が求められることが頻繁である

 

1号警備は警備対象施設の守衛室での警戒や施錠管理などを行う常駐警備や、複数の対象施設を見て回り監視を行う巡回警備などがあります。

 

2-2 営業の範囲

富山県内を営業の範囲としています。

現在、全国の警備業者は9,000社以上あり、警備員数は約54万人といわれる中、富山県内の警備業者は約60社、警備員数は約3,500人とかなり小さい市場であるといえます。

 

2-3 社員構成

正社員:24.3% アルバイト:75.7%

 

女性:6.3% 男性:93.7%

 

社員割合 5.33% 10.00% 17.00% 15.00% 52.67%
年齢帯 30以下 31-40 41-50 51-60 61以上

 

正社員は5年前の2012年までは比率が20%を下回っていました。以前は年間を通しての仕事量が安定していないことや正社員はアルバイトの社員に比べて労務費が高いことから正社員の数を制限していました。2013年からは、人手が不足していることから一人当たりの労働時間を増やすことや社員の労働条件の改善、提供するサービスの質の向上、国の政策から建設工事に関わる人員の社会保険加入率を上げるよう要請があることから、当社では今年までに正社員を40%に増加させることを目標に進めてきました。今は24.3%になっています。

女性の割合を増やそうと求人募集は女性向けにアピールしていますが応募者数が少ないままです。

広い年齢層に向けての求人募集をした際、応募者が多いのは定年退職後や早期退職後に仕事を求めている人です。

 

2-4 売上推移

10年前の2008年度を基準(100%)として過去10年間の推移を次のグラフに示しました。

 

2013年度と2014年度は受注単価を上げることができ警備員の労務単価を上げることにつなげることができました。そのうえ売上を約10%増加させることができましたが、その後3年間(2015年度~2017年度)は仕事の依頼を人員が不足しているため受注することができずに断ることが多く、それが主な原因で売上が減少しています。

 

 

3. 自社分析

 

3-1 ファイブフォースモデルによる業界分析

警備業1号2号、富山県内

 

 

多額の資金が必要なく参入しやすい業界であるということは常に意識しておく必要があります。特に現在は人手が不足していることから供給が足りていない市場になっているので、買い手との関係性のない新規参入者であってもシェアを大きくしていくことができやすい状況にあると考えます。進歩がめまぐるしい人工知能(AI)機器などを使う新しいサービスの形を提供できる競合が現れると大きな脅威になります。

現在は人手が不足していることが深刻ですが、約8年前までは人手が不足していることよりも市場全体の請負価格の下落が深刻でした。当時から見ると請負単価を上昇させることができていますが、これは行政の政策状況から受ける影響が大きく、今後はどうなるかは不透明であるということも注意する必要があると考えます。

顧客については年間約300社との取引をさせていただいていますが、売上の上位10社で全体の8割を占めています。売上上位顧客の発注状況から大きく影響を受ける状況にあります。

 

 

3-2 SWOTによる自社分析

人手が不足していることが深刻でありますが、高齢の社員が多いことから今後さらに人手が足りなくなることが進むものと推測されます。最近は依頼された仕事を断ることがとても多くなっています。2017年度は依頼いただいた仕事のうち人工量で約3割を断っています。もしすべて断らずに受注できていたならば4割以上の売上増加させることができました。そしてこれは現在の需要に応えられていないことに加え、今まで取引していただいた顧客が競合に奪われることにもつながっています。

より良いサービスを提供しようと社員の教育を改良することや、管理の仕組みを強化することやシステムを改良することはとても重要なことで継続的に行っていくことは当然のことでありますが、人手が不足していることから仕事を断ることが、これらを無駄にしてしまうこともあります。

人手が不足している状態からの克服、回避が最も重要だと考えます。

 

 

3-3 社員の増減に関する調査

2017年1年間に入社した人数と退職した人数

 

2017年1年間の新入社員年齢帯別人員数 割合

 

2017年1年間の退職社員年齢帯別人員数 割合

 

2017年1年間の退職社員在籍期間帯別人員数 割合

 

2017年の入社人数と退職人数を集計してみると、47人と49人で2名の差で、約4%退職の人数が上回る結果でした。また新入社員、退職者それぞれの年齢構成を調べると、どちらも30歳以下と60歳以上の割合が多く、年の始まりと終わりで年齢帯の割合はあまり変化が見られませんでした。また、退職者の当社で働いていた期間を調べると、短い期間帯ほど人数の割合が多く、退職者のうち入社から在職期間が1年未満の期間帯は43%になりました。

 

 

4. 分析結果からの考察と戦略

 

4-1 既存顧客との関係(強み)を生かす。

これまで当社ではサービスの質を向上させるために、現場の管理や警備員の勤怠、スケジュールの調整、顧客への対応などを行う「管制」という立場の充実に力を入れてきました。この管制が顧客の要望を把握して現場の運営を行うことで、顧客の要望に応えることができていることが評価され、現在の依頼数につながっていると考えます。顧客が当社へ依頼するまでのプロセスは顧客が安全確保の必要性や内容を想定し計画立案してから警備員の人数や必要時間を算出して依頼いただく形が大半を占めています。これを計画立案の段階から安全や安心を当社が全体的にサポートできるようにできれば、より要望に応えられるサービスの提供をできると考えます。また当社社員にとっても働き方の種類が増え、今よりいろいろな応募形態の求人募集が可能になると考えます。当社の各社長と管制で提案書、提案先顧客リスト、実施スケジュールを作り、管制が担当の顧客に対し提案を行います。2018年は顧客120社に対しての提案し、10社に対して計画立案の段階から全体的な安全や安心のサービスを提供することを目指します。

 

4-2 人手が不足している状態からの克服

人手が不足していることが深刻でなんとか増やすことを目的に、今まで行ってきたことは求人広告で年齢層や可能な勤務時間を幅広く受け入れていることをアピールすることでしかなかったのだと思います。将来目指していることや、趣味、特技、今までの経験、人の短所と思われるようなことを示すなど、もっとターゲットを絞り込んで具体的な内容に訴えかけるような手法を行います。安全や安心を提供する内容であることから当社の仕事を誰でもできるのではなく、暴力団関係者や破産者、成年被後見人、特定の精神疾患がある人は法律上従事できませんが、法律上従事できる人でも今までは採用していないタイプの人もいます。社員の数を増加させることを目的に、例えば今までの社員にはいない外国人や体に障がいがある人についても働ける環境を作っていきます。また社員数の向上には新しい社員をどう増やすかの他に、既存の社員がいかに定着し、離職率を低くすることも重要です。過酷な労働環境を最新の資機材を使用し軽減できる方法を取り入れる。精神的にも充実して働けるように福利厚生を充実させるなどの改善を企画し行います。既存社員の環境改善は、新入社員の定着や顧客がどのような印象を持つかに対しより良い影響につながると考えます。これらの取り組みから新入社員の数を前年比25%以上増加させ、2018年は60人を目指し、退職者数は前年比25%以上減少させ36人以下を目指すことにします。

 

 

5 今後の取り組みと監査

3カ月ごとに、顧客に対して計画立案の段階から全体的な安全や安心のサービスを提供する提案の数、実際に提供を行った数、顧客からの意見、感想などを集計し記録します。また、人手が不足している状態からの克服のために取り組む内容のリストを作り、それぞれの項目について年度の評価をして結果に記録を残します。また新入社員や退職者の人数が目標に対してどう推移しているかの評価を行い、取り組む内容が結果につながっているかの検証を行います。

当たり前のことでレベルの低いことでありますが今までできていませんでした。実績として結果が出たことについては記録として残していますが、計画しても思うような結果が出なかったことについては何もしていないのと同じで何も記録がない事が多くありました。なぜ良い結果にならなかったのかを見返し次の改善策につなげます。

 

 

6 おわりに

今回T-Collegeに参加させていただいて、自分自身が必要としている多くのことを学ばせていただきました。また多方面に興味を持てることができました。緊張感もありながら、いつも楽しく参加させていただきました。また一方、自分自身の知識のなさ、表現力の乏しさ、説明することや文章をつくる能力のなさ、考える根気のなさ、発想力のなさをこれほど感じることはこれまでありませんでした。また、これらを持つことの重要性を知ることができました。しかしいまだに自分のものにはできていないと感じることが多いです。これからがGGBKだと強く思います。このような思いにさせてもらえる機会・指導をいただき感謝しています。ありがとうございました。

以上

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