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修了生論文

自社分析と今後の取り組みについて

東京校 (T-college) 稲垣 光隆

1. 動機

私は2016年10月に有限会社恵登屋へ入社と同時に取締役に就任しました。少し前の話になりますが大学卒業後、建材卸の会社に勤め、営業職を経験してきました。当社の酒類販売小売業とはまったくの畑違いの業種です。入社して4年間はサラリーマンとしてがむしゃらに働いていました。高齢化する両親の姿や活気がなくなっていくお店の姿に目がとまり何もしなければ潰れてしまうと感じていました。しかしこの時はまだ他人事です。3年がたった時、ふと就職活動をしている時のことを思い出しました。入社をする上で譲れないもの、それは働き方と暮らし方です。私自身が本来大事にしている価値観と向き合った時に答えはでました。お店をなんとか立て直せば自分の理想とする働き方と暮らし方ができるということです。もちろん両親の働く姿を、物心ついた時からみていて、自営業で生計を立てるのは大変なのはわかっています。それでも、そこにチャレンジする勇気をくれたのも母でした。母の働く姿を見て背中が語るというのはこのことだと実感しました。

就任してから1年、元々、廃業の危機感はありましたが現実に目を向けるにあたって売上減少、不動産の修繕費用増加、酒類販売事業の将来性、この3つの課題に直面しました。会社を存続するためには柱となる事業を起こさないといけないと考えていました。そんな時にこのビジネススクールと御縁がありました。今回、改めてフレームワークを用いた自社分析を行い、今後の取り組みについて考察していきます。

 

 

2. 企業概要

当社は、1968年に創業、1979年に酒類販売小売業者として設立しました。創業当初は、酒類、調味料、食品、雑貨、収入印紙、切手類とあらゆるものが取り揃えられ今でいうコンビニエンスストアの立ち位置でありました。

前提として酒類免許について説明いたします。酒類免許は大きく分けて2つあります。BtoBの取引を行う卸売免許とBtoCの取引をおこなう小売免許です。当社は後者の小売免許をもっており、卸売の免許は持っていません。当社の主なお得意先は一般消費者、個人経営の飲食店さん、個人経営の飲み屋さんです。

1970~80年代後半では、酒類免許を取得にあたり酒類販売小売業として新規参入するには距離基準、人口基準、および人的基準の3つを満たす必要があり、事実上新規で小売免許を取得することは困難でした。この免許制度のおかげで、商圏が保護されていたわけです。しかし距離基準は2001年に廃止、人口基準は2003年に廃止、残る人的基準も緩和され、実質誰でも取得できるようになりました。それは大型店も例外ではなく、このころからコンビニ、ドラッグストア、スーパーでも、酒類の販売拡大が進みました。

2015年には父の所有する不動産を会社に取り込み、現在では酒類販売業と不動産賃貸業の2本の柱でなりたっています。

 

 

3. 課題

動機で触れました通り、当社は売上減少、不動産の修繕費用増加、酒類販売事業の将来性、この3つの課題に直面しております。この3つを解決しないと事業自体の存続が不可能となります。しかし、根本的には利益をどこで生み出すか、経営資源が少ない環境の中でどこに資源を集中すべきか、ここが当社の課題の中で本質的な部分になってきます。自社分析の結果今後の取り組みとやるべき事の優先順位を整理していきます。

 

 

4. 研究方法

最初にPEST分析を行い、外部環境を確認します。次にファイブフォースを使い酒類販売小売業界と不動産業界の賃貸業について現状から将来の脅威について考察します。最後にSWOT分析を行い当社の強みと弱みを客観的に整理します。これらの結果を元に仮説をたて今後の方向性の指標とします。

 

 

5. 当社の現状

 

5.1【PEST分析】

一般酒類販売小売業の外部環境について分析します。

外部環境と当社を比較してみると、当社で扱う商品の中で、タバコ、ビール、清酒が売上比率の上位を占めています。その商品群の外部環境を調べてみると今後もビール、タバコは消費者にとってマイナスな要因が多くマーケットの規模も縮小していくことが予想できます。タバコでいえば紙巻に代わる電子タバコと言われる商品がお店で取扱いができるか否かで売上に大きく影響を受けます。

また、一般消費者のポイントカード志向が強くなりポイントを使った値引きは当たり前になっているのも注視しなければいけないことです。当社もただ物品を供給するだけの商売から脱皮をしなければいけないのは明白です。

 

5.2【ファイブフオースモデル】【不動産賃貸業】

ファイブフォースモデルを使用し不動産業界における賃貸業の分析を行います。不動産とは当社で所有している居住用マンションと複合ビル(テナントと居住)を前提とします。不動産は立地、用途により条件が大きく異なるためここでは当社で所有している埼玉県○○市、○○市の範囲に絞って分析を行います。

 

不動産の供給過多は一番の脅威といえます。しかし、融資の引き締めの影響で埼玉の着工数の減少が予想できます。融資の引き締めはこれから不動産投資を行う人にとっても影響があります。頭金が十分にない、全て借り入れをして不動産投資を行う投資家にとっては難しくなってきています。国の背策により人口減少を見据え本格的に着工数に歯止めをかけていることが窺えます。

買い手の交渉力ではインターネットを利用して価格を比較できるようになったことで借主は、より良い条件の物件を選ぶようになり、貸し手は価格競争にのみこまれています。貸し手は今まで以上に募集方法、不動産業者とのより強固な関係が必要となります。設備に付加価値をつけるか、その物件に住むことでしか得られない特徴を打ち出さなければ契約に結び付けるのは難しくなってきています。

 

5.3【ファイブフオースモデル】【酒類販売小売業】

 

企業概要でも触れましたが、酒類販売では免許制となっています。しかし、小売に関しては規制緩和により参入障壁が低くなり、現在ではドラッグストア、スーパーといった大型店舗がスケールメリットを活かした低価格路線で販売をしています。また購入チャネルの選択肢増加により、消費者のニーズの多様化が進んでいると言えます。市場自体が小さくなっていること、量販店の増加、この2点から言えるのは酒類販売だけを続けていくのは極めて厳しい経営環境であることがわかります。

一般の小売酒類販売業者がこれらの脅威の中で生き残るには専門店化することや、業態転換を検討することも生き残るのに必要と言えます。

 

5.4【SWOT分析】

 

立地条件がよいとは徒歩2分圏内に○○信用金庫、○○(入浴施設)、○○(スーパーマーケット)があることです。近隣が第一低層住宅ということもあり閑静な住宅街ですがこの3つの施設が隣接していることは集客力において大きな強みと言えます。

当社の弱みは、30年前から売り方、商品の選定を変えずにやってきた事です。これが弱みの根本です。克服するためには売上頭となる事業が必要だと考えます。今後の可能性として、現在の強みを活かし、年配層にターゲットを絞った戦略や余剰スペースの有効活用があげられます。例えば、昭和50年代にヒットした商品を並べることや、当店でお買い物をされたお客様をご自宅まで商品と一緒に送迎をする。当店を利用することで病院やお墓、自宅の往復が便利になるような戦略です。また余剰スペースには子供とおばあちゃんが楽しめる体験型のお菓子作りスペースを設けたりするなど、これらは検証が必要ですが可能性はあると信じています。少なからず、年配層が多い街ではあるので立地を軸にした戦略を練っていきたいです。

 

 

6. まとめ

フレームワークを用いた分析により自社分析、業界分析、マクロ的な視点の外部環境の分析ができました。不動産賃貸業では、相場よりも低い賃料で募集を行っていることもあり、入居率91%と決して悪くありませんが、空室のリスクは常につきものです。物件の賃料を下げない工夫として競争に飲み込まれない工夫が必要なのはフレームワークを通じてわかりました。また修繕費用捻出の為、修繕計画書の作成が必要と考えました。

外部環境では酒類販売単体での経営は、大変に厳しい環境なのがわかりました。競合他社と当社とのギャップは大きく、他社が強みとしている土俵に当社は少なからず当てはまります。しかし当社があげる強みのポジションは不明。すなわち便利さなのか、価格なのか、品揃えなのか、どれをとっても他社に劣っているわけです。しかし、便利さや低価格路線にシフトチェンジをしてもその分野においてはリーダー企業が存在しております。当社の経営資源では、リーダー企業に近づくのは時間の無駄でしかありません。王道で攻めても競合他社の経営規模により負けてしまいます。

内部環境では立地条件以外は強みとして活かせるものが少ないです。当社なら限られた経営資源を効率的に集中的に使わないと勝てません。課題であげた酒類販売業将来性は残念ながら当社の場合は限りなくゼロに近いといえます。

 

 

7. 今後について考察

こんな環境の中ですが唯一強みと言えるものは立地です。正直、酒類販売をする上でこれ程厳しい環境はないと思います。隣接しているスーパーが24時間営業なのです。ですが、酒類販売としてではなく土俵を変えれば頼もしい集客施設になるわけです。ここにチャンスがあると考えられます。また、店内は余剰スペースがあり活用できます。

課題に対してもう一度振り返ります。利益をどこで生み出すか。酒類販売、不動産収益をそれぞれ単体で改善するには限界があります。しかし、それらを組み合わせることで生み出す価値は当社でしかできない事です。

 

 

8. 今後について取り組みと自身がやるべきこと

今後について考察したことを具体的に行動に移します。それは酒屋の余剰スペースを有効活用することです。そのために、酒屋と兼業できる事業の選定が必要です。そこで私は飲食業を分析します。理由としましては、参入障壁が低いこと、飲食に対してのニーズがあることです。飲食と言いましても範囲が広いのでお惣菜、カフェについて分析を行います。これは、【SWOT分析】の中で触れましたターゲットを年配層に絞った戦略に当てはまります。

 

8.1【今後必要とされる分析について】

①マーケティング:当社に隣接する施設の顧客分析 その顧客の共通項を選出

人口調査、 最寄りバス停の利用者分析

 

②業界研究   :市場規模、ファイブフォース分析、PEST分析

 

③競合他社の分析: 食品、飲食サービスを提供する店舗分析

 

上記の分析は私が行います。それをレポートにまとめ、2018年6月1日に社内発表を行います。

 

 

9. 最後に

学ぶということは時につらい時もありますが、ワクワクすることが多かった半年間でした。様々な業種の皆様と授業を通じて一緒に学ぶ機会があり、とても有意義な時間でした。今後ともGGBK精神を維持して精進していきたいです。

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