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修了生論文

「自社分析と経営戦略」

東京校 (T-college) 伏見明記 (メディア情報システム株式会社 )

1. 動機

 

1-1.会社設立までの経緯

私は1986年にコンピューター系の専門学校を経てシステム開発を行う会社に就職しました。その会社で4年ほど技術者として働いた頃、その時のお客様でもあったある方に起業を勧められ、悩みもしましたが立上げ時の資金を提供してもらい起業することになりました。以前にいた会社から5名の技術者も引き抜きました。

半年ほどが経ち、その出資者と意見が分かれ衝突したために出資金を返金し、自己資金で起業することなりました。5名の技術者も私に賛同してくれて、その出資者から提供・斡旋されていた仕事もすべて別の仕事に移行しました。

それから27年、現在に至っています。余談ですが、その半年後にバブルが崩壊し、起業初年度に社員に対し給与の削減、賞与不払いをする事態に陥りました。

 

1-2.T-Collegeに入学した理由

入学を申し込む際はそれほど強い意思があったわけではなく、漠然と「勉強もいいな」「変わりたい」といったものでした。

しかし、あらためて入学を決意した背景を考えるとあきらかに経営に対して危機意識があり、それを突破するには自分自身に変化を与える必要があると考えたからです。

起業した経緯や状況から、これまでの会社運営はほとんど感覚で判断・実行しており、自社分析や経営戦略などを考える事はほぼありませんでした。

 

1-3.本論文の動機

前項でも述べたようにこれまで自社分析や経営戦略を考えた事が無かったため、今回は過去の業績を振り返り、その中から今後取り組むべき事項を洗い出し、それに向けた具体的な内容、および監査方法を考えます。

 

 

2. 企業概要

 

2-1.基本情報

会社名 メディア情報システム株式会社
設立 1991年3月26日(今期28期)
資本金 1,000万円
代表取締役

取締役(開発担当)

取締役(総務担当)

伏見 明記

吉田 達郎

海老原 里美

事業内容 金融、生損保系の企業様を主とした業務アプリケーションシステムの開発および保守
事業エリア 東京、神奈川、埼玉、千葉
従業員数 37名(契約社員含む)
売上高 3.5億円(2017年度実績)

 

2-2.経営理念

■私たちは、お客さまに信頼される誠実な企業であること。

常にお客さまの立場に立って行動し、お客さまに期待され、喜ばれ、信頼される誠実な企業であり続けること。

■私たちは、自身の成長に努め、新たな価値を創造すること。

「お客さまから必要とされる人材」を常に意識し、自身のスキル、キャリアを向上させること。

「お客さまから必要とされる組織」を常に意識し、仲間同士で互いに行動力を高めること。

私たちが成長し新たな価値・サービスを創造すること。

■私たちは、みんなで幸せになること。

仲間同士、互いに信頼する。

物心両面で豊かになる。

期待され、その期待に応える。

喜ばれたい人に喜んでもらう。

 

 

3. 自社分析

過去10年間の売上および純利益の推移から特に業績が悪化した年度をフォーカスし、今後取り組むべき項目を洗い出します。

 

3-1.業績推移

■売上、社員人数の推移

 

■純利益の推移

 

3-2. 業績悪化時の要因分析

過去10年間で2010年、2015年のふたつの年度において売上、純利益が共に落ち込みました。それぞれの年度について具体的に要因を分析します。

■2010年

【状況】

開発案件が順調に増加していたため人員採用を積極的に行っていました。

この頃は低い採用コストで想定以上に社員数を増やすことが可能でした。

そんな中、リーマンショックの影響により業界全体の受注量が落ち込み、その期間が半年程度続きました。

その期間、ほとんどの若手社員の作業を受注することが出来ず業績が悪化。

社員数を増やしたことが結果的には被害を拡大したことになりました。

【要因分析】

全体の景況感も大きく影響しているのは事実ですが、それは敢えて割愛し、自社がもたらした要因を考えました。

まず一つは未経験もしくはスキルが低い若手社員の全社における割合が過剰に高くなったことがあげられます。若手社員の適正な割合から雇用計画を算出するかもしくはその時に案件を任せられる立場となるリーダー層の社員も総じて増えていれば被害はある程度軽減できたと考えました。

もうひとつは、作業現場に顧客動向や受注予測などできるリーダーが不在のケースが多くなっていたことです。さらにはリーダー的な存在であったが、環境状況などを把握する行動規範や能力に欠けていたケースもありました。

これは明らかに要員配置をした我々経営側の責任であり、お客様にとっても社員にとっても不幸せであったと考えました。

他にも要因はあるかもしれませんが、リーダー層をより多く輩出し、またそのリーダーの能力を高めることが本事象の対策ではないかと考えました。

 

■2015年

【状況】

リーマンショック以降、受注案件も増加しており、ゲーム・コンテンツ業界の大幅な人員採用なども含め、業界全体が人手不足となり、技術者の争奪が激しくなった時期でした。

当社と長年お付き合いしていたビジネスパートナー(以下BP)数社から人員調達(外注)しておりましたが、他社への取引変更などで当社の調達人数も急激に減り、売上、利益ともに落ち込みました。

【要因分析】

BPの技術者離れについては、当社よりも発注金額を高く出す業者も増え、当社との契約を終了し他社へ流出したことが大きな要因でした。

BPの技術者を抱え込むためには発注金額の設定をはじめ、BP技術者の満足度を上げることが必要であり、そのためには所属チームのリーダー、所属メンバ全員でその課題を考え、対策をとれるような組織にしなければならないと考えました。

 

3-3. 取り組むべきテーマ

業績悪化時の要因分析から以下ふたつの項目が洗い出されました。

a.「現場をリードすべきリーダーが必要であり、また能力も必要とされる」

b.「現場においてチーム全体の組織力が求められる」

 

 

4.具体的な取り組み内容と監査方法

それぞれのテーマについて求められている背景と具体的にどのように取り組むべきか、また、取り組んだ結果どのように監査・運営し企業内に定着させるかを考えました。

 

4-1.テーマ1「現場をリードすべきリーダーが必要であり、また能力も必要とされる」

【背景】

お客様へのサービスを高められない。
作業依頼に対し機会損失するケースが増えるため、売上の増加を阻害する。
リーダーが輩出されにくい理由として、

a.指導しているつもりが指導できていない。また、指導要領がない。

b.リーダーの必要性を具体的に伝えていない。

c.リーダーになった場合に得られるものを伝えていない。

【具体的な取り組み】

■リーダーを輩出するうえで、当社におけるリーダー像を明確に定義しました。

チーム管理ができる

開発チーム内で複数技術者を管理し、依頼された案件を遂行・完了する事が

できる。管理する内容は主に工数、進捗、労務、課題などがある。

ビジネスが創生できる

新規もしくは既存顧客に対し営業活動全般を行う事ができる。

また、技術者を調達するBP社を開拓し、関係性を維持することができる。

若手要員の案件受注ができる

新卒者や開発経験が少ない若手要員を定期的に自分の案件に参画させることが

できる。その為にお客様との信頼関係の構築や、開発案件情報の収集、受注に

向けた提案作業などもできる。

部下・後輩を指導することができる

部下・後輩に対して技術スキルを指導することができる。

また、指導計画から実施結果のチェックまで一連の指導スキルを持つ。

■社員向けに以下の活動を実施する。

リーダー定義の伝達

a.前述されたリーダーの定義を伝える。

意識共有の機会を増やす

a.リーダー層、もしくはリーダー候補の社員に向けた意識共有の場を設ける。

b.合宿(一泊二日)を行い、本テーマ内容を共有する。

テーマの必要性を伝達

a.事業計画などからリーダーの必要性を書面で伝える。

b.また、リーダーが輩出されない場合のリスクも同時に伝える。

必要な知識・能力の獲得

a.人事評価項目を整備しリーダーに求められる知識・能力を獲得する。

b.フォローワー(メンバー)に求められる知識・能力も併せて獲得する。

上昇志向の促進

a.等級毎の年収目安を公開し上昇志向を促進する。

報酬・恩恵の伝達

a.リーダーだから出来る事、喜び、やりがいなどを書面で伝える。

理解を深めるための定期的な活動

a.事業計画発表会や毎月の定例会にてリーダーに関する題材を発表もしくは

ディスカッションするよう働きかける。

b.リーダーを輩出する取り組みについて社内イベントである社員面談や

懇親会などで積極的に会話し共有することを全社員に宣言し、実施する。

c.リーダーの定義に沿った各種研修を積極的に受講する。

【監査】

■以下を繰り返しPDCAサイクルにて通年運用する。

活動状況・結果からの点検

月次の業務報告会議にて活動状況、活動結果をヒアリングしリーダーとしての

活動がなされたかを確認する。なされた場合、そうでない場合でも評価は必ず

対象者にフィードバックし、意識を共有する。

査定評価結果からの点検

a.人事査定評価の結果からリーダーおよびフォローワー評価項目のランク、

点数の差を確認する。

前回のランク、点数と比較し、上がっていないもしくは上がり具合が適当

ではない社員にはあらためて指導方法など検討し対応する。

b.全社員が底上げされているかも点検し、全社向けの施策改善も検討・対応

する。

 

4-2.テーマ2「現場においてチーム全体の組織力が求められる」

【背景】

お客様へのサービスを高められない。
社員、BP技術者の離任率(契約解除)を軽減したい。
チーム一人ひとりの満足度、しいては生産性が上がらない。
組織力が上がりにくい理由として、

a.組織力の必要性を伝えられていない。

b.行動規範が共有できていない。

c.価値観が共有できていない。

【具体的な取り組み】

■全社員向けに以下の活動を実施する。

テーマの必要性を伝達

a.事業計画などから組織力強化の必要性を書面で伝える。

b.また、組織力が現状のままである場合のリスクも同時に伝える。

成功体験の伝達

a.組織力を活かした成功体験を伝え、チーム全員で成功イメージを共有する。

必要な知識・能力の獲得

a.人事評価項目に組織の一員(リーダー、フォローワー)として求められる

知識・能力を記載し獲得する。

組織の方向性を合わせる

a.経営理念に記載されている内容を具体的なケースで伝え、

業務を遂行する上での方向性のぶれを軽減する。

b.人事評価項目より日常業務における行動規範、態度など具体的に伝える。

理解を深めるための定期的な活動

a.事業計画発表会や毎月の定例会にて組織力もしくはチーム活動に関する

題材を発表もしくはディスカッションするよう働きかける。

b.組織力を強化する施策やチーム活動を活性化する取り組みについて、

社内イベントである社員面談や懇親会などで積極的に会話し共有すること

を全社員に宣言し、実施する。

c.組織力評価につながる各種研修を積極的に受講する。

【監査】

■テーマ1と同様に定例の報告会や評価結果から組織力を高めるための活動を

PDCAサイクルにて通年運用する。

 

 

5.  取り組んだ結果の達成イメージ

今回のテーマに取り組んだ結果の達成イメージを取引先状況、および取引先別組織図(要員一覧)で表します。

 

5-1.取引先状況の変遷

リーダー層を増やすことによりα社、β社のような新たな取引先顧客の増加を狙う。

ここでは取引先α社、β社の増加を表したいため、既存の取引先3社の規模はそのままとしている。

 

5-2.取引先別組織図変遷イメージ

既存顧客である▲▲▲▲様のAチーム、Bチームで作業しているメンバから新たな取引先顧客であるα社に遷移する要員を選定し組織する。

α社には開発経験が長いメンバ「g」をリーダーに育成し配置する。

ただし、「g」を含め開発経験が長い順にリーダー育成候補として検討するがその能力や意欲により候補者を決定する必要がある。

下図イメージ以外でも既にBチームのリーダーである「f」をα社のリーダーに配置し、「g」をBチームのリーダーに格上げ配置することも想定できる。

 

 

6.終わりに

今回の論文制作にて、「問い」を決めるところでとても悩みました。

経営課題は山積しており、事業の活性化、収益拡大、人事、教育、採用、風土改革、財務改善など一つひとつがとても重要で難解な課題ばかりです。

その中で今回は「リーダー」「組織」をテーマとしましたが、前述の経営課題についても今後同様に分析し改善に向けて取り組みたいと強く感じました。

今回の分析手法、考察から監査に至るところまで検討の余地は多くありますが、繰り返し考えることで技法やコツなども得て精度が上がるのではと考えております。

最後に、エフアンドエム・マネジメント・スクールにて学んだことで必ずや自分が変わり、会社も変わることを宣言いたします。

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