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修了生論文

「5年後 自分たちの会社がお客様から必要とされるために」

大阪校(O-college) 西林 高国

1. 研究動機

不動産業者として開業し、会社としては19期目を迎えます。私自身今でこそこの仕事を天職と思っておりますが一般の仲介や販売代理を主にやっていた頃は、全然おもしろくなくいつも転職願望を持っているような状態でした。それが2000年頃からいわゆるサービサー法によって民間に○○債権回収会社というものができ、昔からの縁故の方がそういった会社に転籍・転職することになり、不良債権の査定(担保不動産の処分可能価格の調査)が徐々に依頼されるようになります。そんな中から債権者・債務者共に処分に同意した案件が当社に売却依頼され次第にその取扱が増えて参りました。債権者が多数いる案件がほとんどで利害関係人間の調整をはかり手間はかかりますが成約すると債権者のみならず債務者の方からもとても喜んでいただく事が多く、仕事を通して人様に喜んでいただく事がこんなに嬉しいことなんだと気付いたように思います。

ここ数年不良債権の発生が少なかったが、今後不動産向融資が絞り込みされてゆくなか、不良債権が増大し当社の商売機会がふえるのではないか。また2022年の生産緑地の指定解除に伴う土地の処分といった問題も懇意にしている地主から相談を受けており土地処分の増加が見込まれます。

長年同じメンバーでやっており平均年齢が50歳を迎えようとしています。

今後の事業の組み立て、事業承継をどうするか、テーマである「5年後 自分たちの会社がお客様から必要とされるために」を研究テーマといたします。

 

 

2. 企業概要

1999年(平成11年)4月21日設立 前オーナーが以前から一緒にいた会社を退職し立ち上げることになり立ち上げ時から参加。当初建売住宅、分譲マンションの販売代理や親密取引先の銀行系不動産会社の売り注文・買い注文の仲介を主な業としていた。

1999年(平成11年)2月にいわゆるサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)が成立する。

2000年(平成12年)以前から懇意にしていた、破綻した旧住宅金融専門会社が債権回収会社に移行し物件調査の依頼がくるようになる。

2001年(平成13年)頃、旧住専系以外の民間サービサーが多数営業をするようになり、その中の数社と取引が始まり任意売却による仲介手数料による売上が飛躍的に増大する。

2008年(平成20年)9月 リーマンショックにより不動産会社に多数倒産でるも、不良債権の発生により業務依頼はさらに増加する。

2012年(平成24年)10月オーナーが退任し、後任として私が代表取締役に就任。

2014年(平成26年)6月頃よりそれまでの売買仲介及び管理手数料(収益物件の取引がこの間多数有り、購入者から管理の委託を受任)以外の収益源も広げるために、新築分譲事業を始める。

2015年(平成27年)前年に仕入れた土地を宅地分譲し1年もかからず完売。以後銀行からの資金調達が楽になる。

2015年3月決算 売上高164,303千円、営業利益4,988千円、当期純利益3,226千円

2016年3月決算 売上高180,804千円、営業利益15,537千円、当期純利益10,804千円

2017年3月決算 売上高407,956千円、営業利益36,000千円、当期純利益24,915千円

 

現在、私を含めて5名体制で仕事をしています。

事務・管理 女性 1名

管理 男性1名

営業 男性1名

顧問 前社長(週に3日ほど出社)

 

 

3. 問い(研究課題)

直近の売上、利益共に大きく伸びたのは優良物件(流通性の高いエリアで加工しやすい面積等)の仕入れ(買取)ができ、また宅地分譲ではなく時流にあった収益物件(一棟売りマンション、アパート等)に加工して売却することができたことが大きく寄与しています。2017年4月以降はそういった収益物件の供給過多や銀行の融資姿勢が慎重になっていること等から、売上構成が継続して同じようにできるかは難しいと考えます。

5年後お客様から必要とされる会社とは、今以上の取引先を有する会社と考えます。

営業経験が30年近くとなり、過去の習慣にとらわれていないか、ルーチンワークのようになっていないか、基本的な事ができていないのではないか。管理部門、営業部門それぞれの現状、将来に向けての改善点を探っていきます。

それらを検証するためにファイブ・フォースモデル、SWOT分析の手法を活用します。

 

 

4. 手法

 

①ファイブフォース・モデル

 

②SWOT

強み 弱み
内部環境(現在) ①  不良債権処理、任意売却が得意(独自の仕入れルート有り)

②  地主から直接仕入れ(地主と大きな接点を持つ人が多数知り合いにいる)

③  やれる業務が広い 賃貸管理、売買仲介(一般住宅から旅館・ホテル 風営法にもとづくものまで)建売住宅・宅地造成も手掛ける。

④  現メンバーと20年以上一緒にやっており、雰囲気がいい。

①  事業承継問題(M&A)

②  従業員平均年齢が50歳になり、新たな従業員も加入していない。

③  全員とも経験が20年以上になりなれ合いになっている面がある。

④  同業他社はインターネット等で広告をし売り希望客の集客をしているが当社はしていない。

外部環境(将来) ①  ここ最近不良債権の発生が少なかったがここに来て銀行の不動産(業)向け融資が絞り込みされそう→不良債権発生→任意売却の増加

②  生産緑地の指定解除(2022年問題)や相続にかかる土地の処分増加

③  固定的な収入が得られるよう管理物件を増やす。自社でも収益物件の購入機会が増える可能性が高まる

①  従業員の今後の身の振り方

②  放っておくと我々の代で会社は終了。

 

 

5. 結果と考察

管理部門(男性1名)の日々の行動が管理物件の現地確認と入退去の立会、リフォームの指示、クレームの処理でほぼ占められており(それはそれで必要な業務であるが)、売上増につながる業務もしないと仕事のおもしろみが理解できないだろうと思うが、当人はそうでもないようであります。

また営業職(私も含め)は、それなりの取引先もあり、依頼もあることから待ちの姿勢になっており、アポイントのないときはほぼ事務所にいる状態にあります。

ここ数年商業地を中心とした地価の上昇、金利の低下等から不動産業に進出する企業は増加傾向にあります。また東京資本等他のエリアからの関西圏に進出する企業も増える中、今後業界はますます大手不動産会社による一般仲介、任意売却並びに地主等へのアプローチも組織的に行い情報の寡占化が進んでいくと思われます。ですが敵対するのではなく、大切な情報の仕入れ先として共存していくことは今後とも可能と考えます。そのために過去取引のあった保証会社、サービサー、弁護士事務所等はもちろんのこと取引のあった不動産会社との情報交換の頻度をもっと密にしていく必要があると考えます。

具体には次の通りです。

①業者の情報交換会への積極的な出席

②大手業者が主催する会(○○ダイヤモンドエステート会等)への参加

③取引が途切れているサービサー等への御用聞き(査定依頼はないか等)

④知り合いの司法書士に懇意にしている弁護士の紹介

⑤今までは売却希望者を直接募るようなことはしていなかったが、ネットを通しての集客等

 

 

6. 現在の経営戦略の妥当性、今後の道筋について

不良債権処理、任意売却等に精通しておりサービサーからの依頼等独自のルートがあります。ですがここ数年新たな取引先等の開拓はできておらず、受任件数、成約件数とも減少傾向にあります。ただし、別表にもあるように担保不動産が競売に付される数は減少傾向に有ります。理由としてはいわゆる「モラトリアム法」による金融機関の不良債権に対するスタンスの変化でリスケや返済猶予をし何とか企業を延命させようということもありますが、不良債権をサービサーに債権譲渡し処理する金融機関が多くなっており、そのことからも商売の機会はまだまだあるものと思われます。

また、ここ数年地主から直接仕入れ(購入)ができており、担当営業マンの努力の成果ですが地主や地主と大きな接点を持つ人と多数懇意にしております。2022年の生産緑地の指定解除に伴う土地の処分等からも今後色々な商機が考えられます。

ビルの管理、賃貸仲介、売買仲介(仲介案件も一般住宅から収益物件、旅館、ホテルと幅広い)と何でもこなせ、建売住宅、宅地造成とやれる業務が広く様々なニーズに応える事が可能です。

固定的な収入を増やすための管理物件を増やす(自社で取得することも含む)ことが経営の安定化につながると考えます。今まで取り組んではいませんが管理物件や今後取得する物件を民泊に転用するといったことも検討しています。

ここ数年続いた地価の上昇、それに伴う収益物件の利回り低下もここにきて落ち着くのではないか。また居住用の物件については新築・中古ともマンション価格の値上がりにより相対的に戸建て住宅に割安感が出ている地域もあり、自社での宅地分譲・戸建て開発はしばらく手がけていませんでしたが今後需要も見込まれると考えます。

 

系列1が競売の事件数、系列2がその内取り下げられた件数になります。

 

 

7. 今後の課題、監査方法

ルーチンワークのようになっていないか、といったことは正にその通りで、管理部門、営業部門共に日々の業務に流れている実態が見受けられます。

管理部門については、管理物件に出向いた際は近隣の賃貸業者を訪問し募集中の物件資料を渡し、入居依頼をお願いすること、現在の市況について話を聞くこと。また、管理委託者であるオーナーに対する報告として、建物毎の修繕履歴、問題点の洗い出しを月に1回レポートにまとめ報告することを義務づけます。

営業部門(といっても私ともう一人ですが)は毎月必要な売上(月額400万円)を達成するための取り組みを毎週話し合い、それに対する取り組みを情報交換するように致します。短期間に纏まる案件もあれば、測量や地権者との権利調整で時間がかかる案件もあるので一概に言えませんが、取り組んでいる案件の数、深掘りすれば日々の訪問件数の多寡で成約につながる可能性は高まるものと信じます。

会社の目的を今までは「人様に喜んでいただき社会に貢献し、その結果今いる仲間達とある程度経済的に潤えば、あとは楽しく生活が送れればそれで良し」と考えており、それは今後も基本的には変わらないと思いますが、今回O-Collegeに入校し、自分はリーダーシップがとれているのか、リーダーとしてフォロワーのことをちゃんと理解しているのか、ちゃんと見ているのか等、考えさせられることが沢山ありました。

授業の中でも聞かせていただいたことで「とにかく全力でやる」、良いときときも悪いときも淡々と全力でやる、こういった基本的なことがおざなりになっていたように思います。任意売却を手掛けだした頃は何もわからない中、無我夢中でやっておりある程度成果が出たのはただただ必死でやっていたからだと思います。社員教育、リーダーシップ論といったことの前にまずは自分が全力でやるといった姿勢を示そう、そう思いました。そう思ってからは取引先の訪問件数を増やす、出かけた先でこの近くに縁故のかたはいないかといったことを考えるようになりました。従業員に対しては自分自信のことだけを考えて、従業員の頑張りや、会社への貢献に対して気配りできていませんでした。これからは従業員をよく見て認めるところはどんどん認めていきたい、褒めて行きたいと思います。また地主との関係を深めて土地情報の仕入れを積極的に行っている同僚とも協力し会社の基本理念、ビジョン、経営戦略といったこともちゃんと向き合って話し合おうと思います。彼とは30年近く一緒に仕事をしており、彼自身そういった話を私がすることを求めているのではと思うようになりました。来期は20期を迎えます。このビジネスカレッジで学んだことをどう活かすか、リーダーシップを発揮して会社一丸で人脈・縁故を増やし信頼関係を深く築いていくことを目指す目標として考えていくことを今後の課題といたします。

 

以 上

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