お問い合わせ・資料請求

修了生論文

人材確保と経営戦略

大阪校(O-college) 南 昌憲有限会社ミナミ 取締役)

第1章 自社の概要と研究動機

 

1-1 自社概要

有限会社ミナミ

本社所在地 大阪府阪南市石田282-5

平成4年7月米穀業として設立。平成17年運送免許を取得し運送事業を開始。現在では運送業への業務転換の結果、総売上の運送部門が占める割合が9割になった。運送業での得意とする貨物は、大阪港・関西空港を起点とした貿易貨物の輸送であり、顧客のほとんどが通関業社である。海上コンテナの輸送から、小口貨物の輸送までを行っている。安全でクリーンな運送品質の高い運送会社として社会に貢献することを理念としている。

 

1-2 研究動機

自社は、貿易貨物の輸送を主体とした自動車運送事業を行い現在13期を迎える。

運送業を始めた頃は、ハローワークで募集をかければすぐに人材が集まったが、2年程前から人材を色々な求人媒体で募集してもほぼ集まらない。労働環境の改善が必須だと考えた。

そして安心して働ける環境作りのため3大変革に取り組んだ。

①従業員の健康管理のため、長距離輸送の自車対応廃止

②安全装備装着車両の積極的導入

③受託業者との業務内容見直し・改善

上記変革を行なった背景には、「ドライバーの健康確保=運送品質の担保」 「従業員満足=顧客満足」と考えた。

さらに対外的に打ち出すためホームページを使って企業イメージを良くしようとF総研に御願いした。結果、パッケージされた運送業者用のホームページに自社写真をはめ込み、文章を加工し工夫してもらったが納得できず、もちろん人も集まらず半年で契約解除。その後、保険会社のセミナーで知り合ったホームページ制作会社にリニューアルを御願いした。納得はできたのだが、やはり人は集まらず。

1年程前から運送業界では、運送従事者の高年齢化、人材確保の困難、車両の自動運転技術の向上、AI技術による業務効率化など、業界構造の変化がマスコミなどでも注目されるようになった。

マーケティングの授業で、原田校長のおっしゃった言葉の中で「人の取れない会社はマーケティングが出来ていない」という部分にヒントを得ることが出来た。

世の中の多くの会社が人材不足を唱えているが、自社は10名ばかりの企業である。小規模であるからこそ、世間一般の人材不足を同じように唱えるのは言い訳である。しっかりと自社分析を行い、人材確保が確実にできる企業に変革しなければならない。

この半年で学ばせていただいたことを今後どのように活かすかを考える。

人材確保が出来ない今の企業体質を分析し、今後の経営戦略の礎にしようと考えた。

 

 

第2章 研究課題(業界課題と自社課題)

 

2-1 業界課題

運送業界に人が集まり難い問題は今までの業界構造に問題があるのでは、と考える。

①運送事業者が多いことによる過度の価格競争

②費用として請求のできない付帯業務(仕分け作業・陳列棚への搬入作業など)の常態化

③繁忙期・閑散期の差が激しい為、運賃を値上げで押し切れない。

④新車を発注してから、納車までに1年以上掛かる事がある。

⑤少子高齢化と共に、人口減少が進んでいく中で、貨物量の増大が期待できない。

⑥ドライバーの平均年齢が年々上がっていく為、労働者不足に陥ることが明確である。

⑦新型車両の安全装備装着により価格の値上げ、またデジタコデジタルタコグラフのIoT化により固定経費の増大

このように人件費を上げにくい業界構造により、人が集まらない。またその代替にAIによる業務の効率化や自動運転技術の発達など、業界構造の大変革が予想される。

 

2-2 自社課題

平成24年度に大阪営業所を開設後、売上は順調に推移してきた。大阪営業所を開設した翌年の従業員数(ドライバー職・事務職含む)は13名であったが、今現在の従業員数は10名である。当時より16,000万円の売上増加をしてきたが、これ以上の業務受注量の増加に危機感を覚える。それは、売上増加→業務負担増→従業員数の減少→サービスレベルの低下→顧客離れという流れになりかねないからである。そこで現状の満足度調査を従業員に実施し、そこから経営戦略を考察する。

 

 

第3章 調査

 

3-1 調査方法・調査内容

全社員にアンケートを実施。

アンケート内容

①業務内容について

→長時間労働を強いられているという認識があるか。業務の負担が過度に感じているか。

②人間関係

→社内(従業員同士)の人間関係、また社外(集配先のお客様)の人                      間関係について。

③労働環境

→与えられている車両に関し満足と感じているのか。また車庫設備・集配設備等に関し不便を感じていないか。

④賃金体系

→現状支給額が、本人の想定している以上か以下か。

※賃金体系は、基本給(8時間)+残業手当(基本時間単価X125%)+無事故手当(¥1,000X出勤日数)+深夜手当(基本時間単価の25%)

上記4点にさらに改善・要望意見があれば聞いてみた。

 

3-2 私自身の見解

①業務内容

2t4tドライバーに関して、時間負担大・業務負担大の予想。

トレーラードライバーに関して、満足であろうと予想。

②人間関係

年に3回のバーベキュー大会・新年会など社員・家族参加型のレクレーションを盛んに行っているため、満足度は高いと予想。

③車両環境

ほとんどが3年未満の車両のため、満足度は高いと予想。

設備環境

自社での集配センターなどの建物設備がない為、業務負担に繫がってることから、満足度が低いという予想。

④賃金体系

2t4tドライバーは本人評価額より実支給額が少ないと予想。

トレーラードライバーに関して、本人評価同等もしくはそれ以上支給されていると予想。

 

 

第4章 調査結果

 

4-1 2t・4tドライバー(5名に実施)のアンケート結果

①業務内容について

内容.

労働時間・業務負担ともに多いとの回答は2名。以前より改善されたとの回答も2名。少ないという回答は1名であった。

以前に比べれば改善された、という意見が印象的だ。以前は繁忙期には拘束時間が320時間に達することもあったが290時間ほどに抑えることができているためだろう。長距離運行を協力業者への業務委託に変換できたことが大きなポイントであった。ドライバーからは、まだまだ業務負担の改善は行えるとの意見もあった。

 

②人間関係について

内容

人間関係は良好だという意見が4名であった。一部では自社社員の下請け業社さんに対する気遣いができていない、という貴重な意見も1名いた。

 

③労働環境(車両・設備)について

内容

全員が車両満足をしているのだが、一部古い車両に関しては、バックアイカメラがない為、運転を怖く感じる時があると答えたドライバーが1名、積替設備が無いのが不便という意見も1名いた。

 

④賃金体系について

内容
現状で満足しているドライバーが2名、本人予想額より実支給額が下回っている、が2名。意見として能力に応じてもっと個人差をつけて欲しいという意見があった。本人予想額より実支給額が上回っている、が1名であった。

 

4-2 トレーラードライバー(4名に実施)のアンケート結果

①業務内容について

内容.

労働時間については全員が満足、業務負担が多いと感じている、が1名、3名は満足している、であった。

現状で満足、長距離がないから、体が楽などの意見があったが、稼ぎたい人には短いと思う、という意見もあった。

 

②人間関係について

内容
人間関係は社内・社外問わず全員が良好である。行き先がほぼ決まっていることが納品先とのコミュニケーションが取れている要因であると考えられる。

 

③労働環境(車両・設備)について

内容
全員が車両に対し満足をしているのだが、海上コンテナ用シャーシ駐車場のスペースが手狭になっている為不満足と意見が2名いた。

 

④賃金体系について

内容
現状で満足との意見が大半であったが、昇給・賞与があれば尚良しとの意見が1名いた。

 

 

第5章 考察

 

5-1 調査結果からの考察その1

私自身の見解でも一番のポイントと感じていた部分が集配センターの有無である。集配センターがない為、2t4tドライバーの長時間化に繫がっていると考える。また業務負担増の原因でもある。今までは一時凌ぎで下請け業者より専属車両を入れることにより業務負担・長時間労働の改善は可能であったが、しかし下請け業者に取り巻く環境も同じく人材不足である。よって業務そのものの効率化・単純化を図らなければならない。

 

今現状

問題点

1.倉庫での貨物引取受付から引取りまでの待機時間にロスが多い。

2.ケース商品の取り扱いが多いと、ドライバーの体力が持たない。

3.集荷が終わってから、仕分け・積替作業を行っているので、業務終了が通常より1時間以上ロスしている。

4.同じ商品を引き取りから納品まで4・5度人の手を介す事がある。

業務負担増に繋がる

業務負担を特に感じる部分は、ケース商品の扱いに関しての仕訳業務や積替業務である。

ドライバーの年齢のことを考えるとその部分の業務負担を取り除く変革が必要であると考える。

 

5-2 調査結果からの考察その2

個人の能力差によって給料差を明確にすること、また昇給が明確にできればみんなのモチベーションが上がるのでは・・、との意見であった。

これは今までの自社組織の体型に原因があると考える。

 

 

管理職が育てられないから、横並びの組織体型である。

その要因として、

・採用しても一年以上続かない

・指導している者も新人が続こうが辞めようが他人事

・事務所が電話繋がらないとすぐ取締役の携帯がなる

・営業マンが、業務が少ない時は景気の影響にする

というモチベーションの低さから、業務をこなすのみの実働部隊としての認識しか持てなくなった。

 

5-3 調査結果からの考察その3

同業他社のサービスレベルが人材不足を理由に低下している今だからこそ、労働環境の整備・付帯作業を積極的に行い、ニッチ戦略でのサービスの創造をおこなっていこうと考えた。

 

一般的に敬遠されがちな業務

・仕分け作業を含む荷積み・荷下ろし作業

・納品先での開梱・搬入業務

・積み込み時間が遅い・待機時間が長い業務内容

 

同業が嫌がる業務を人の増員、また適正な価格設定により対応が可能であると考える。

 

 

第6章 今後の戦略と監査方法

 

6-1 戦略NO.1

 

ドライバーの業務負担を軽減する為に集配センター( HUB拠点)を持つことにより、2t4tドライバーの作業を単純化できる。まず現場内での仕分け積替作業を無くし、ドライバーの業務内容を集荷・配達の2業務に絞ることができる。

車両毎に役割分担を明確にでき、業務終了時刻の予想が立て安い。

また、今まで外注で行っていた作業も一部内製化できる。コンテナからの荷卸し・仕分け作業である。

また現場内で行ってきた仕分け・検品作業も集配センターで行うことにより、ドライバーへの業務負担の軽減に繋げる。

集配センターで新たな作業業務を行うことが、新たなサービスの創造に繋がると考える。

またそこから部門の立ち上げ・役職の増加に繋げ組織の増大化を行う。

 

戦略NO.2

個人の能力差で給料差をつける為に

集配センターを持つことにより、年々高齢化が進んでいくドライバー職において、ドライバーとしてだけでなく現場作業員・フォークリフトオペレーターといった職種まで選択が増やすことが可能になる。

また、横並びの組織をピラミッド型に造り変え、給料形態の見直しを行い、管理職育成を行う。

 

まず、運送部門における各課の責任者を任命する。

集配センター設立により今までの業務も大幅に変革を行える。

1. ドライバーの業務負担軽減

2. 輸送効率の向上

3. 輸送品質の高位平準化

上記変革を軸にし、ドライバーのフォロー体制を整える。

各ドライバーへの業務負担改善から、今まであまり目を付けてこなかった女性ドライバーの雇用にも力を入れたい。勤務時間の固定化、小型車両の増車などの取り組みで女性でも働き易い環境を作ることが重要だと考える。現行の2t4tドライバーに関しても大型・牽引免許取得をサポート、その後、トレーラーへの職種変換を行い、最終は定年まで安心して働ける職場環境を造る。

 

6-2 監査方法

自社の年間スケジュールを立て、計画的に配置換え、免許取得のサポート計画を立てる。また3ヶ月毎に全体会議を実施し、会社の方向性を繰り返し説明する。内容は会社の抱える問題、次回までの改善策、また今後の戦略である。また都度アンケートを実施し、会議の内容がどれほど認知されているかチェックを行う。また1年に1度満足度調査を実施し、前回と比べてどのように改善され、どのような問題が新たに出ているのか、という調査を行う。

 

 

第7章 まとめ

今まで人員不足・高齢化社会を言い訳に惰性で前年度数字を達成してきたが、そこには何の裏付けもなくやってきた。ただラッキーが重なった結果なのかもしれない。しかし、この半年で、財務・分析・戦略など様々な分野からの視点で経営を考えることを学んだ。何を最優先で取り組むべきか。またどのように取り組むべきか。自社にとっての最優先事項は人材育成である。人材育成こそが全ての変革の原動力になっていく。マニュアルの作成、それを元にしっかりとマネジメントを行い、組織創りから取り組んでいく。

 

この半年間経営者として、よりレベルアップのチャンスをいただけた原田校長、株式会社エフアンドエム スタッフの皆様方、また共に学んだ仲間と知り合えたことに感謝し、今後の発展に繋げていきます。

pagetop