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修了生論文

建設業界で生き抜くための社員育成の強化について

大阪校(O-college) 橋岡 雅俊

1. 企業概要

株式会社エナテクス(以下、当社)は鳥取県倉吉市に本社のある建設業者であり、創業以来、公共施設建設に伴う電気設備工事業を主体とし、官公庁や民間からの工事を請負っている。現在は、①電気設備工事業を主体とした㈱エナテクス、②企画立案や設計業務を行う㈱エナテクスサービス、③太陽光発電所の施設管理を行う㈱エナテクスソーラー、④太陽光発電所の施設管理と農業を行う㈱エナテクスファームの4つのグループで経営を行っている。

創業は平成元年3月、今年は30期目の節目の年であり、グループ従業員数は37名(男性32名、女性5名)となっている。

2010年頃より“電気工事業からの脱却”をスローガンに掲げ、地元同業他社にはない新たな取組みである、①デジタル化への移行中の防災行政無線システム、②クラウドを利用したwebによる上下水道監視システム、そして③太陽光発電システムの受注拡大のための営業展開に力を入れている。このような自社独自の取組みが売上拡大に寄与し、近年は業績が順調に推移している。

 

 

2. 研究動機と問い

当社に私が入社して6年が経つ。現在は総務部の管理職の立場となり、社員の採用や退職、労務管理といった総務・人事部門の責任者である。入社当時のグループ社員数は27名であったが、現在は10名増の37名体制となり、ここ数年は社員数が増加傾向にある。今後も事業拡大や年配者の退職補充により、継続的に新卒採用や中途採用を考えている。

建設業界は技術力を持つ社員が現場での中心となり、慢性的な人手不足の産業である。社員育成には時間を掛け、多くの現場での経験を積みあげる必要があり、技術承継が大きな課題となっている。当社においても60代のベテラン社員の技術や高齢化した下請先に業務を頼っている部分が大きく、数年後には退職や引退が迫り、若手社員の早期戦力化が急がれる。

また、県内の建設業界全般に言えることであるが、採用市場が売り手市場となり、当社においても入社希望者が減少傾向にある。新卒採用を目的にした会社説明会の開催、地元の就職イベントに参加をしてみても、学生の参加数自体が少なく、応募者も少ない。安定志向の地方公務員、都市部に本社のある大手企業、県内に営業所がある県外資本の大規模企業に学生が流れている。

 

下のグラフは、昭和55年(1980年)から平成27年(2015年)にかけての、鳥取県の人口と建設業の就業者数の推移である。

参考文献:国政調査、鳥取県HP統計資料

 

鳥取県の人口は、1985年~1986年頃をピーク(61万6千人前後)とし、2017年は約5万人減少し約56万5千人となっている。全国で一番、人口の少ない都道府県である。

鳥取県内の建設業の就業者数についての国政調査による資料では、2000年をピーク(36,347人)とし、2015年には約1万5千人減少して、21,538人となっている。ちなみに、1992年から2001年頃まで、バブル経済崩壊後の国の景気対策に呼応し、公共事業を大幅に増加して実施したために建設業の就業者数が増えていたものと思われる。

また鳥取県内の建設業者数についても調査をしたところ2006年には2,874社であった業者数が、2017年には2,080社となり、約28%の業者数が減少していることが判明した。

 

参考文献 帝国データバンク 鳥取県 2016年 企業の休廃業・解散動向調査

 

そこで、建設業者数の減少の理由についての調査を行った。上の表は、2007年から2016年にかけての鳥取県の主要8業種の休廃業・解散動向の調査、下の表は同期間の休廃業・解散と倒産の件数調査である。

全業種(8業種)に占める建設業の休廃業・解散の件数と割合は、49件の32.2%であった(2016年)。過去10年連続、全業種中で最下位という結果である。鳥取県に限らず、地方は公共工事に依存した産業構造であることが、この結果に影響している。

加えて、調査で興味深いことが判明した。2016年の休廃業・解散件数は、倒産件数の4.75倍という高い水準であった。業績回復が期待できない中で、代表者の高齢化や後継者不在が引き金となり、休廃業や解散という選択肢を取る企業が、倒産企業よりも圧倒的に多いことが窺えた。

 

そのような中、今回私が「建設業界で生き抜くための社員育成の強化について」をF&Mビジネススクールの修了論文のテーマに選定した理由は下記の4つである。

 

(1)今後も建設業界での競争激化が続くことが予測される。当社においては、新卒採用が難しくなり、学生が企業を選別する時代が続くことが見込まれる。このような環境の中で、当社が優秀な学生より選ばれ、縁あり入社した社員の早期戦力化と職場定着のために、魅力のある社員育成を実践したい。

(2)社員育成の強化、就業環境の整備を行うため、今現在でどのような問題点が社内にあるのか?現状の把握について行いたい。

(3)従業員数が30名以上となり、経営幹部の目が行き届かない部分が増加している。社員の納得感のある仕組みと運営を、総務人事部門について考えていきたい。

(4)若手社員を育てる立場である管理職の社員は、所属の部下へのリーダーシップが発揮できているのかどうか疑問を感じており、ビジネススクールの学びをもとにして把握を行いたい。

 

 

3. 現状分析

 現在、社内全体では多くの社員教育を行っているが、代表的な教育としては、以下のような取組みがある。

 

①毎月1回の全体ミーティング

②朝礼での勉強会

③TQM活動

④外部研修

⑤OJT研修

 

(社員教育についての補足説明)

①毎月1回の全体ミーティング

月に1回、全社員が集まり、約2時間程度のミーティングを開催している。工事の受注状況や工程の確認、交通安全、行事予定の確認等を行う。また、定期的に外部講師を招き勉強会を開催している(過去に医師、保健師、栄養士の方に健康に関する講演を開催)。

②朝礼での勉強会

朝礼で経営指針の唱和(経営理念・経営方針・企業理念)や“職場の教養”を輪読している。人前で考えをまとめ話す練習機会のため、3分間スピーチを行っている支社もある。

③TQM活動

社員がチームを作り、工事品質の向上や経営上の課題の解決を目指し、チーム内で努力し改善活動を行う。営業目標達成、社員の健康意識向上、工事品質の改善といった多様なテーマを各チームで立案し、6~8ヶ月で改善活動に取り組んでいる。(最終発表では県外から外部講師を派遣し、支援・指導を受けている。)

④社外研修への参加

社員1人につき、年1回程度、地元で開催の建設技術研修へ参加している。また、年間数名程度、県外開催の管理者向けの研修に参加している(リーダーシップ、マネジメント研修他)。

⑤OJT研修

所属部署の上司による、日常業務での部下への指導・育成による。

現在、このような社員教育を行っているが、当社の社員育成として社員満足を満たすものであるかどうかを検証してみたい。

 

 

4. 研究方法

 

4.1 社員アンケート

社員アンケートを行い、社員の仕事の満足度、仕事のスキルや能力、社員教育制度、評価制度の納得感等についての現状確認を行い、データを集計する。その結果をもとにして、社員育成に繋がる部分について、アンケートの結果分析を行う。

 

4.2 リード診断

ビジネススクールで教わった、リード診断を管理職社員(課長職以上)に行い、リーダーシップの特性についての調査を行う。

 

 

5. 研究結果

 

5.1 社員アンケート

①アンケートの調査の目的

当社が事業活動を永続していくために、社員の持っている力を最大限に引き出す必要がある。社員育成を考える中で、社員からの意見を取り入れて、それを形にしていくことが大切である。役員や幹部社員からの一方通行の押し付けという形を取れば、社員からの不満に繋がることも考え得る。社内の現状分析のための手段として社員アンケートを行う。

私が入社して6年になるが、このように全社員からアンケートを取る試みは、初めての経験である。アンケートにより新しい発見を期待したい。

②アンケート調査内容

1.  あなたの年齢をお知らせください。

2. 現在の仕事への満足度は、10点満点で何点か?(1~10点)

3. スキル・能力が身に付く職場であるか?(1~5点)

4. 社員教育が充実しているか?(1~5点)

5. 評価制度に納得感があるか?(1~5点)

6. その他、会社に改善してもらいたいことは?

また、それぞれの調査項目に付き、当該評価に至った理由の記載も依頼した。

③アンケート調査の仮説

当社の担当職種として、工事施工、施工管理、発電所施設管理、営業、総務と複数の担当業務に分かれている。しかし、どの部門についても社員の「人材育成プログラム」が存在していない。また、指導について部署に任せ切りとなっている。スキル・能力が身に付く職場であるかどうかについては、良い結果と悪い結果に分かれるのではないかと考えられる。

社員教育については、多くの時間を掛けて実施していると自負しており、各年齢層や社内全般に良い結果になるのではないかと考えられる。

一方、評価制度については、現在給与や賞与の決定基準や昇進の基準といった具体的内容を定めた評価制度を作成しておらず、現在作成途中であり、30代~40代の不満が強いのではと予測する。30代~40代とした理由としては、会社を動かす中核世代で、子育て中の社員も多く、一番家計にお金が必要になる年代であり、明確な基準を求める社員が多いのではと考えている。

④アンケート期間

2018年3月1日~7日まで1週間の期限を決め、社員アンケートを実施した。

(アンケートの結果、役員4名を除く33名の全社員からの回答が得られた)。

⑤アンケート結果

質問1 あなたの年齢をお知らせください。

社員アンケートでは、社員の本音を引き出すため、社員を特定する情報となる性別と勤続年数については省略し、匿名性を持たすために年代だけの回答とした。

 

質問2 現在の仕事への満足度は、10点満点で何点か?

(主な回答理由)

日々学べて成長できる(7点 20代)、有給を取得しやすく、残業もあまりない(8点 20代)

やりがいを感じていない(2点 30代)、力不足にくわえ専門知識がない(6点 30代)

年間作業内容と給与面を総合して(6点 30代)

「一人で出来ない」「聞いてからでないと動けない」ため(5点 40代)

仕事に釣り合った評価がもらえていない(5点 40代)

納得いく成果がでていない(5点 50代)、過去の経験がいかせやりがいがある(9点、50代)、職場環境が良く働きやすい(10点 60代)、幅が広げられそうなのに、踏み出せていない(7点、60代)

 

質問3 スキル・能力が身に付く職場であるか?

(主な回答理由)

資格支援制度をもう少し充実させてほしい。(2点、20代)

引継ぎが無く、独自の方法で不安を持ちながら仕事をしている。(3点、30代)

本人のやる気しだい。(3点、40代)

経験のない分野を受け持つことが多いため。(4点、40代)

体系的な教育制度が無い、外部研修に頼りすぎ。(3点、50代)

 

質問4 社員教育が充実しているか?

(主な回答理由)

人材育成にお金をかけている。(5点、30代)

充実しているが、無理にさせている部分がある。(3点、40代)。

資格取得に補助がある。(4点、40代)

制度化されているとは言えない。(3点、50代)。

TQMや外部研修に積極的な会社。(4点、50代)

 

質問5 評価制度に納得感があるか?

(主な回答理由)

定期昇給が無いとモチベーションが上がらない。将来に不安を感じ離れていく社員もいるだろう。(2点、20代)

何をどれだけ評価されているのか、優劣が分からない。(2点、30代)

なんでも提案など、些細な事も評価してもらえるので。(5点、30代)

評価制度はある?幹部社員の感覚では?(3点、40代)

制度化されていないから。(1点、50代)

評価結果を本人が判断できる基準、材料があるのかな?(3点、60代)

 

質問6 その他、会社に改善してもらいたいことは?

この問いは記述での記入であり、33名中13名からの回答が得られた。

(主な回答)

残業代が1時間刻みであること。(20代)

決まった社員に、同じような技術講習を何度も受けさせている。(40代)

給与面。(20代、40代)

人事評価制度の導入。(50代)

県外研修機会の増やして欲しい。(50代)

社員が常に切磋琢磨する気持ちを持つこと。(60代)

下請けの確保と育成を行い、現場管理の効率化を行う。(30代、60代)

 

5.2 社員アンケートの結果を受けての考察

まず、この社員アンケートは短期間で行ったが、アンケートの回収率が100%であった。名前を記載する形式ではないので、未提出の社員も出てくるだろうというのが当初の予測であったが、全社員が快く協力してくれた。

 

今回のアンケート調査により、多くの新しい発見に繋がった。

1. 仕事への満足度

現在の仕事の満足度についての質問では、全体平均が10点満点で6.65点という結果となった。満足度というと主観的な評価となり、厳しめの評価、甘めの評価と人それぞれに評価基準が異なるが、30代と40代の社員については全体平均点数より悪い結果となった(30代 6.1点、40代 6.3点)。

一方で20代の社員については平均7.2点と全体平均より高く、その理由についても「知識が増える」、「日々学べて成長できる」といった前向きな理由が多く嬉しい結果となった。

2. スキル・能力が身に付く、社員教育が充実している。

スキル・能力が身に付く職場、社員教育が充実しているといった質問については、2、3名の回答者を除いて良い結果となった。

結果を踏まえて、改善が必要である部分としては、①制度化・体系化された社員育成の仕組みを作ること、②資格支援制度の拡充が挙げられる。

3. 評価制度の納得感

評価制度の納得感については、全体平均が5点満点で3.09点という結果となった。その他の質問項目と比べると、1点と2点を合わせた低い点数で評価した社員の割合が25%という悪い結果となった(その他の質問項目では、1点と2点を合わせた評価割合は6~9%である)。最初に想定していた、30代~40代の年代の社員はもちろん、どの年代においてもポイントが低い結果となった。

また、アンケート回答者33名中12名については評価制度の明確化を求める意見があり、今後の対処が必要である。

4. 会社に改善してもらいたいこと

評価制度の導入、外部研修、下請けの確保や育成についての意見が多く得られた。

また、すぐにでも社内改善ができる意見もあり、さっそく改善作業を行った。

(例)残業代 1時間単位の支給⇒30分単位での支給。

(例)同じような技術講習を毎年受講⇒技術講習受講者を毎年、必ず入れ替える。

 

5.3 リード診断

幹部社員(サンプル数 9名)を集め、ビジネススクールで習得したリード診断を実施し、その結果をもとにSL理論についての研修を行った。

 

SL理論(状況対応型リーダーシップ)

SL(Situational Leadership)理論とは、部下の状況によって上司が取るべき行動が変わってくるといった理論であり、それぞれR1の状況ならS1の指導法が有効であるということを示している。


(幹部社員 リード診断結果)

部長(技術・営業)M:S3(参加型)       S1=2、S2=3、S3=7、S4=0  点数21点

部長(施工管理) F:S2、S3(説得型、参加型) S1=3、S2=4、S3=4、S4=1  点数18点部長(設計保守) T:S2(説得型)       S1=1、S2=6、S3=4、S4=1  点数18点

部長(経営戦略) S:S2(説得型)       S1=2、S2=6、S3=4、S4=0  点数21点

部長(総務部)  M:S3(参加型)       S1=1、S2=5、S3=6、S4=0  点数19点

課長(工事施工) Y:S2(説得型)       S1=2、S2=6、S3=2、S4=2  点数24点

課長(設計保守) T:S3(参加型)       S1=3、S2=4、S3=5、S4=0  点数26点

課長(施工管理) I:S1(教示型)       S1=5、S2=2、S3=4、S4=1  点数19点

課長(営業) O:S2、S3(説得型、参加型)   S1=1、S2=5、S3=5、S4=1  点数30点

 

S4(委任型)の点数が全員とも極端に低く、R4(出来る、やる気ある、自信ある)に分類される部下へのリーダーシップが上手く取れていない現状が判明した。

また施工管理を担当する幹部社員2名について、S1(教示型)のポイントが高く、R1(出来ない、やる気弱い)の部下、具体的な対象として新入社員へのリーダーシップが取れている。実際に私の視点から見て、若手社員への心配り、目配りの上手な幹部社員である。

全体としては、参加型、説得型のカテゴリー分類の社員が多く、教示型のリーダーシップの強い社員が1名という結果となった。

今回の研修により、管理者自身が部下の置かれた状況や特性に応じリーダーシップを変化させるという考え方や必要性について理解した。日頃の所属部署の部下へのリーダーシップにいかして欲しい。

また、下の段(S1、S4)の点数が低い結果となった場合には、リーダーシップ研究で自チームが取組んだ、マキャベリの『君主論』を読んでみるとよいとの話を原田校長より伺った。幹部社員が集まる会合での研修題材としてみたい。

 

 

6. 論文のまとめと今後の対策について

研究結果を踏まえ、具体的に今後の取るべき対策について検討した。

 

6-1 評価制度の確立について

アンケートの回答により、数多くの社員から評価制度の導入を希望する意見が挙げられた。早急に対策、対応が必要である。現在当社では、「人材評価=人材育成」という考え方のもとで評価継承プロジェクト(仮)と題して、総務部を中心にプロジェクトチームを組んでいる。評価制度については、会社の将来を見据えた経営戦略とのリンクが必要となるため、社長を含めた役員の皆さんにも、協力を依頼し準備をしているところである。

評価制度を運用し、半年ごとに人事考課を行うことで、上司が部下や後輩との関わり方について見直すキッカケに繋がる。また社員が会社から、「何を求められているか」、「これまでの頑張りがどのように評価されているか」を把握する機会となる。

また社員の不満は賃金の額そのものではなく、体系や仕組みについて不明確で、きちんと説明をしていないことが根底にあると考えられる。今後1年内を目途に、体系的な評価制度の作成・運用を行う。また技術系の他部署の幹部社員を巻き込み、知恵を出し合い作業を進めたい。

その結果、自社だけで設計運用を進めることが難しいという判断となれば、外部のサポートについても検討を行い、効率的に進めたい。

 

6-2 社員教育研修計画の確立について

アンケートの回答で、体系立った教育計画が無いことを問題視する意見が見られた。

入社後に誰もが着実に成長し、第一線で活躍できるような教育研修プログラムを創設

することを今後の課題としていきたい。

新入社員については育成期間を定めて(入社2年~3年)、Off-JTやOJTを中心とした教育訓練を実施し、知識・技術・技能の習得を図る。当然、社会人として必要なマナー教育等の一般常識についても徹底して身に付けさせる。また、メンター制度の導入を検討してみたい。メンター制度を導入することで、新入社員の仕事への理解度や課題、悩みの把握を適時に行い、効果的な指導が可能となる。

今後の課題としては職能別、階層別の教育訓練体系図を作成し、社員のキャリア形成の動機付けを行っていきたい。以前一度チャレンジして教育訓練体系図を作成したが、実際には運用されず、そのままになっている。

また県外のOff-JTの外部研修について、積極的な受講を検討する。受講者の選別は、一部の社員に偏ることなく多くの社員を参加させる。その理由としては、日常と離れた場所で異業種の方と一緒に学ぶ事で、仕事の視野を拡げるためである。

今年度入社の新入社員より、県外で半年間、不定期に開催される200人規模の新入社員合同研修への参加を企画した。学生時代の気持ちを社会人へ切り替え、同世代からの刺激を受ける機会として活用する。

 

6-3 YNL(Young New Leader)ミーティングの再開について

約3年前、月に一度20代後半から30代後半の中堅・若手社員を10名前後集めてYNLミーティングを開催していた。文字通り、次世代の経営幹部を育成するためのミーティングであった。内容としては、会社の経営戦略や決算書の読み方、ビジネス書やビジネス記事を読んでの意見交換等を行っていた。

2年位はミーティングを継続していたが、いつの間にか活動が途絶え、現在に至る。

ビジネススクールの授業でもジュニアボード(Junior Board of Directors、疑似役員会)の話題があり、当社でも中堅・若手社員向けのミーティングを再開してみてはどうかと考える。

その効果としては、①中堅・若手社員の経営への参画意識の向上、②組織内の壁を越えて部署を横断したメンバーでの活動機会の創出、③組織の活性化、④社内の課題の認識、⑤後継者育成などが挙げられる。

さらに、経営者のサポート役を増やし、ともすると社長に権限が全て集中しがちな部分を減らして社内全体の経営力を高める体制に繋がることになる。

授業で行った、ストーリーテリング、インプロビゼーションが興味深くて、面白く、実践力が身につくのでミーティングで取り入れてみたい。

 

6-4 社員全員との個別面談とパーソナリティ診断・適性診断の実施について

現在、当社では夏・冬の賞与支給時に各部署で個別面談を行っているが、所属の部署だけで完結をしており、形式的な面談となってしまっている。

改善策として最低年2回、全社員が社長と個別面談する機会を持つ仕組みを作りたい。その個人面談について原則は人事考課のタイミングと併せての実施とし、元気のなさそうな社員やモチベーションが下がっていそうな社員には、個別に声を掛けて不定期の個別面談も実施する。

個別面談を行うことで、半期の①仕事や業績の振り返り、②自己評価と反省、③成長できた、成長できなかった課題、④今後の目標や取組みたいこと等について、本人の認識と会社の認識とを擦り合わせる機会となる。また、社員育成が計画的になり、社員にとっても「会社と話をする場がある」という認識が生まれ安心材料となる。

また現在、新入社員の入社時にパーソナリティ診断や適性診断を実施している。実際に働く前に診断することにより、行動の特性や心理的な傾向を掴み、本人の上司と情報共有し、能力や適性に合った社員育成のための検討資料として有効利用している。

今後は入社時だけでなく、全社員に昇給時もしくは個別面談時に一斉に実施し、社員教育や配置転換の判断資料としての利用を考えたい。

その理由として、一昨年、ある社員が設計関係の事務職から営業職へ配置転換後に、職務が合わないことが原因となり体調を崩してしまった。その結果、長期の療養が必要となり、結局のところ退職となった。このような職務と人材のミスマッチの防止のためにも、個別面談やパーソナリティ診断・適性診断の機会を持ち、社員の能力や特性に応じた適正な人材配置や社員育成に役立てていきたい。

 

6-5 人材育成の基本方針・目標の制定について

人材育成の基本方針と目標とする社員像について制定した。また、明確化のために全社員への周知を行った。

【人材育成の基本方針】

①企業発展の基礎は人材にあるという理念に基づき、知識・技術・技能・人格の向上を図り、お客様及び社会に対して、優れた技術とサービスを提供し得る高いレベルの人材育成を基本方針とする。

②全社員を対象に、公平に能力開発する機会を与え、社員一人ひとりの職業能力の向上、

自己啓発の促進を図る。

【当社の目標とする社員像】

①人々が安心で、快適な暮らしができる明るい未来を提供したいと願う人

②常に新しい知識・技術の習得に努め、チャレンジ精神とたくましい創造力・行動力を発揮できる人

③「ひとの和」を大切に、人間関係を構築できる人

 

 

7. 今後の監査手法について

アンケート実施により当社の人材育成について、どこに問題点があるのかを確認することができた。問題を後回しにしないために監査ルールの仕組みを設定する。

 

①評価制度については、1年後である2019年4月からの制度導入を目指し進める。今年度よりプロジェクトチームに技術部門と営業部門の幹部社員を新たにメンバーに追加し、幅広いコミュニケーションを取りながらの評価制度作成を行う。

毎月月初めに、評価制度作成のためプロジェクトミーティングを開催する。

同時に、個別面談とパーソナリティ診断・適性診断については今年度より制度化し、評価制度や適正な人員配置に落し込みをする。

③社員教育や研修については、社内慣行として毎年3月下旬から4月上旬にかけ幹部社員を招集し、新年度の研修計画決定のためのミーティングを開催する。

個々の裁量によるものではなく、組織として体系化された社員育成制度の確立を目指す。

④YNLミーティングを4月下旬より再開する(毎月1回)。次世代の経営幹部になる、若手・中堅社員の育成機会を作る。また今年度より、若手・中堅社員のメンバーと食事会を定期的に開催し、仕事やプライベートについて意見交換を行うような機会を増やしていきたい。

 

 

8. おわりに

この半年間のスクール生活で幹部社員としての心構えや、必要なビジネス知識について学び、勉強不足を痛感する機会となりました。受講前は受講をするかどうかを躊躇している時期もありましたが、実際に受講してみると、1日の授業の中身が濃く楽しくもあり、充実した時間となりました。

大阪校のスクールの受講生の皆さんと、仕事上の悩みを共有する機会も多くあり、2度のグループワークは私にとって貴重な体験でした。スクールを終えての自身の課題としては、これまで学んだことを、どのように仕事にいかしていくかです。学んだことを自ら率先して行動に移していくことで、半年間のスクール生活での経験や得た知恵が、実務で役立ち、努力が実を結びます。良いと思うことは、どんどんマネをして、会社へ取り入れていきたいです。

会社に集う皆が、長い視野で仕事や人生に目標を持ちながら、“わくわく”そして“いきいき”と働ける職場作りを目指します。

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