お問い合わせ・資料請求

修了生論文

現状分析と 5年後10年後を見据えた経営戦略

大阪校(O-college) 羽根 勢冶

1章 研究動機

私は昭和63年に入社して30年になります。平成15年に取締役に就任、今期で15年目です。入社した当時は売上高2億円弱で従業員も24、5人の会社でした。その後ヒット商品にも恵まれ、平成16年までは順調に売上高も推移しましたが、平成17年から5年間売上高、純利益が大きく減少になりました。要因は、天候不順による国産原料の大幅な高騰による事でした。その危機的状況から後、現在の社長が就任、過去7年間売上高は7億円前後で推移し、確実に純利益は出しております。このような状態で売上高はある程度順調に推移していましたが、28年度昨対96%と売上高が大きく減少になりました。ただ純利益は確保しました。しかし29年度については、決算を前に売上高、純利益と大変厳しい状況に追い込まれております。人間の体で例えると、最近体の調子が悪く、大きな病気になっている可能性があるのに、病院の検査にも行かず、「そのまま放置すると取り返しがつかない事になるかもしれない」と言う状況です。この厳しい現状を打破するとともに、その問題点を早期改善しなければなりません。ビジネススクールで学ぶ中で、現在の会社や自分自身の問題点が数々見えてきました。研究動機としてビジネススクールで学んだ事をもとに、現在の当社の分析と5年後、10年後の当社の経営戦略を考え明確にします。

 

 

2章 会社概要

当社は1960年9月、瀬戸内海に浮かぶ風光明媚で温暖な小豆島に醤油で有名なマルキン醤油の子会社として誕生しました。設立時は、オリーブの塩蔵や醤油もろみをはじめ、イチゴジャムなどの製造販売でスタートしました。現在においてオリーブ製品は、小豆島の名産で全国的に大変有名になっておりますが、当時はオリーブの知名度はなく、製造販売については大変苦労されたとの事です。当社はオーナー会社ではありませんので、現在の社長まで私が入社以来2度交代しております。その当時から醤油を使用した佃煮や、黒豆の煮豆も製造していましたが、煮豆の発展的バージョンとして、お節料理にかかせない黒豆を試行錯誤した結果、昭和62年に黒豆の菓子の開発に成功し、翌年から飛躍的に売上が上がる事になりました。全国各地で売られているこの菓子も、もとは当社から生まれた、と言っても過言ではないでしょう。この黒豆菓子のおかげで、黒豆の産地で有名な丹波地方からの委託製造の依頼、催事業者のデパートでの販売、またメーカーのPB商品(OEM)の依頼などで、数多くの得意先が出来、大幅な売上増になりました。当社が扱う黒豆は、全国でも有名な丹波黒豆のみで、「畑の真珠」と呼ばれる高価なものです。大手のメーカーには、真似できない手作業が中心ですので、価格競争になる事もなく、平成11年頃まで順調に売上も増加していきました。販売地区については交通の便が良い関西地区での販売が売上の比率の中でのほとんどを占めていました。ただ平成10年前後から、当社の黒豆菓子が、市場価格で安定した商品で高価で売れるという事に目を付けた得意先が、黒豆製品の独自での製造工場建設、関連会社に製造委託することで、得意先からライバル会社としての関係になる事態に陥り、売上減少に進んでいきました。更に平成16年、17年と2年に及び、丹波黒豆の天候不順での大凶作による原料不足、価格高騰で販売先への供給困難に陥りました。やむを得ず値上げを行った結果、売上の激減で危機的な状況に見舞われ、その影響から平成21年までは赤字になる年が多く続きました。平成22年、黒豆菓子の製造方法を基にした安納芋の菓子の開発に成功し、黒豆製品の売上の減少を補てんするべく、大きく売上増加になりました。販売先についても、平成21年以降NB商品の販売の強化を進め、関西中心から、関東方面への進出を積極的に行い、新たな販路として進めてきました。

 

商号  丸金食品株式会社

本社所在地 〒761-4434 香川県小豆郡小豆島町西村甲263

TEL 0879-82 -0056    FAX  0879-82-0014

創業年月日 昭和35年(1960年)9月1日

資本金 2千万円

代表者 代表取締役社長 佐藤 正美

 

事業内容 丹波篠山産黒豆煮、丹波黒豆甘納豆、しょうゆ豆、安納芋グラッセ、もろみ、オリーブ製品

年商 6億6,700万円(平成28年3月期)

従業員数42名(平成30年1月現在)正社員42名(男性30名、女性12名)

主要取引先 株式会社成城石井、株式会社井上商店、丹波ささやま農協

主要仕入先 株式会社小田垣商店、株式会社テルシタ

 

沿 革

1960年(昭和35年) 9月 1日 資本金500万円にて、丸金オリーブ株式会社設立。オリーブの塩蔵の製造よりスタート。

1969年(昭和44年)  4月1日社名を丸金食品株式会社に変更。資本金1,000万円に増資する。煮豆、いちごジャムなどの製造を開始。

1981年(昭和56年)  黒豆煮豆の製造を開始する。

1987年(昭和62年) 黒豆菓子(甘納豆)製造開始する。

1994年(平成6年)  資本金を2,000万円に増資する。レトルト装置設置。

黒豆乾燥機を順次導入(~平成10年)、黒豆甘納豆の生産が本格化する。

2004年(平成16年) 排水処理施設が完成する。代表取締役社長交代。

2007年(平成19年) 瓶詰め製品用ハイレト装置を導入する。

2008年(平成20年) 急速冷凍措置を導入する。 10月1日商標を導入する。

2009年(平成21年) 代表取締役交代。

2010年(平成22年) 創業50周年を迎える。

2011年(平成23年)  業務拡大のため、新工場を設立。

 

 

3章 現状分析

※平成11年度~平成29年度2月までの売上高比較

※平成15年度から当社の取締役になり、以前の決算書については持っておらず、平成13年度以前のBS.PLの情報がありません。

 

①平成11年度~29年度の売上高と純利益、上半期、下半期の売上についての分析結果

1.当社平成16年、平成21年に社長交代しており在職期間色分けしています。

2.平成11年度は、上半期売上高3億3,324万円、下半期4億4,856万です。

3.平成20年度は、上半期、2億1,625万円、下半期3億2,736万円です。

4.平成28年度は、上半期、2億4,125万円、下半期4億3,324万円です。

5.平成11年度~28年度の売上高を分析した結果、平成11年度に比べ、平成28度年上半期売上は大幅に減少していました。

6.平成17年度の売上激減は、当社主原料の黒豆の2年連続の大不作により、原料価格が高騰した事で、原料不足と得意先に大幅な値上げを行った事が要因です。

7.売上高の推移ですが、平成21年現社長就任を境に平成23年に2件の大口得意先との取引が始まりました。現在得意先ABCランク上位2社が全体の売上の17%と非常に比率が大きく、2社の売上状況によっては経営危機になる可能性があります。

8.損益分岐点については、固定費、変動費の比率もあるが月約5,500万円~5,800万円。

9.平成22年から本格的に東京の市場を開拓。(平成21年度比較約1億5,000万増)逆に当社売上の中心であった関西地区の売上減少が続いております。

10.上半期については、月日によって大きな売上の差が少なく、下半期の売上が11月、12月に集中しています。

 

②分析指標

1.平成15年度と平成28年度を比較

分析課目 平成15年度 平成28年度
流動比率 400% 491%
固定長期適合率 41% 31%
自己資本比率 51% 48%
総資本回転率 70% 21%
インタレスト・ガバレッジオ 9.7 5.9
ROA 5.3% 1.6%
営業利益率 6.3% 2.4%

2.分析結果については、各項目に大きな問題はなく健全な経営状態だと考えますが、営業利益率は問題だと考えます。

3. 主力商品で利益率の良かった黒豆関係の商品原料高や売上減少した事が営業利益率低下の要因と考えます。

 

③当社商品別の比較(平成25年度、平成28年度比較)

1.売上高の商品別動向の比率を平成25年度と28年度比較した結果、商品別の動向は、黒豆甘納豆製品、芋製品については売上増になっていましたが、黒豆瓶製品、煮豆製品、オリーブ製品が売上減少しています。

2.黒豆瓶製品、オリーブ製品はいずれもPB(OEM)商品です。黒豆瓶製品はPB(OEM)得意先の販売先が減少した事と通販関係で顧客減少した事です。オリーブ製品についてもPB(OEM)得意先の商品規格が無くなった事です。

3.煮豆製品が減少したのは、平成26年度、長年主力商品として販売していた煮豆(昆布豆、金時豆、その他)の採算が取れず終売した事です。

4. 芋製品が大きく増加した要因は、大きな売上のPB(OEM)の得意先が獲得できた事です。

 

④NB商品とPB商品の比較 NB(当社オリジナルブランド)と、PB(OEM、下請け)

商品ブランド 25年度 比率 28年度 比率
NB(当社ブランド) 201,393,747 33% 260,588,481 39%
PB(OEM) 464,780,739 67% 413,918,519 61%

1.当社はNB(当社ブランド)商品を積極的に販売する営業方針を進めております。平成25年度と平成28年度のNBブランドとPB(OEM)ブランドの比率を比較しました平成25年度に比べ平成28年度、NB商品の比率が上がっております。PB(OEM)商品の比率は下がりました。要因は、商品別で分析した通りPB(OEM)商品の黒豆瓶製品、オリーブ製品の売上減少によるものです。現状もNB商品39%、PB(OEM)商品61%とPB商品(OEM)の比率が非常に高い水準が続いております。NB商品を50%以上になる戦略を考える必要があります。

 

⑤当社地区別の売上比率

1. 平成25年度と平成28年度の地区別の得意先売上を分析した結果、関東方面は、増加し兵庫、大阪地区の売上が減少しています。要因は黒豆瓶製品、終売商品になった煮豆製品の減少が大きく響いております。

2.京都地区が大幅に売上増加しておりますが、要因は、現在に至るまで芋製品をPB(OEM)商品として購入して頂いている関東の販売先の帳合が、京都地区の得意先だからです。

 

 

4章 問いについて

テーマは新たな得意先開拓と商品つくり

 

①当社をファイブフォースでの業界分析

1.売り手の交渉力で一番の問題点は、当社の扱う黒豆主原料は、毎年収穫量が減少しております。過去、平成16、17年と2年続きで黒豆原料が大凶作になり、大変経営が厳しい状況に追い込まれました。今後、台風災害、天候不良や農家の担い手不足に伴い、原料確保が難しくなり不作になる可能性があります。そのため限られた黒豆原料確保は重要ですが、身近な地域を中心に、丹波黒豆、安納芋に代わる原料確保が必要だと考えます。

・燃料価格が毎年徐々に上がっており、今後値下がりする可能性も低く、生産コストは

益々上がっていき、運送業者から次々に運賃値上げの通知がきております。運送賃の高い関東方面へも多くの荷物を出荷していますが、今後は近隣の商圏への販売先も必要と考えます。

2.新規参入者ですが、業界では原料が豊富な状態で確保できるのであれば、大手メーカーなどの参入はありますが、当社のような限られた国産原料に対して、大手の参入は、ほとんどなく、製造も人による手作業が中心で機械化での大量生産には適しておりません。

3.業界内の脅威としては、2020年4月から実施のOEM(PB商品)に関しての、新たな食品基準が設けられる為、特に小規模の土産物問屋が無くなっていく可能性が考えられます。当社も土産物を扱う問屋との取引が多く、この1年間の間に方向性を決定しなければなりません。益々当社のオリジナル商品での販売が不可欠になります。

・国がハセップの義務化の方向に向かっており、益々、食の安全基準が厳しくなります。工場が基準に満たない場合は閉鎖もしくは、停止に追い込まれる状態になります。設備投資、社員教育の費用も含め一段と経費が掛かるように今後はなると考えます。

・食品の賞味期限の原則が厳しくなっており、食品業界は出来るだけ賞味期限を延ばそうとする傾向に進んでいます。

・経済状況が不安定の中TPPの自由化により食品業界も、極端に安い商品が出回り消費者も2極化に向かうと考えられます。

・逆に当社は、現在海外市場への進出は考えておりません。

4.買い手の交渉力ですが、国内については百貨店などの運営は、益々厳しくなり、大型スーパー、コンビニエンスストアーがそれに代わって店舗も増加しております。若者を中心としたインターネットの販売は、今後益々需要が増えていきます。

・大手スーパー、コンビニエンスストアーでの販売は、PB(OEM)でオリジナル商品により差別化を図ろうとしています。その場合、得意先主導の販売になり、利益確保は難しくまた当社自らの売上の見込みが立ちません。

 

②SWOTによる当社分析

1.内部環境は、大手が参入しにくい、手作業での製品作りが主流で付加価値のついた、こだわった商品作りを行っており今後もこの方向性で進みます。また消費者の健康に気遣い、出来るだけ添加物を使用しない製品作りを行っています。

・従業員43名については全て正社員で、パート社員と違い、各部門で社員の責任感があります。製品については、当社商品アイテムが少なく生産効率は良い。

2.外部環境は、製品原料の丹波黒豆、種子島産の安納芋など高価な原料がメインとなっており、市場でも認知されており付加価値を理解していただく販売先が中心です。

・販売数量も売上確保のため大切ですが、商品価値を理解した高価な商品を購入していただけるお客様をターゲットにしております。

3.弱みは商品開発が進んでおらず、ここ2年間新商品の提案が既存のお客様に出来ていない事です。現状の商品を如何にしてお客様に提案するかが必要になっており、3年前より新規得意先店の獲得を最重点の戦略として営業活動を進めております。

・賞味期限も年々当社のお客様から厳しく言及される事が多く、製品の作り置きの在庫を製造できなくなっております。今後確実に売上予測のできる売り場が必要になると考えます。

・当社売上の上位2社が21%を占めており、売上状況によっては経営危機に陥る可能性があり、2社に依存されないよう比率を下げる事を考える必要があります。

4.脅威としては、当社の売上で半分あまりの比率の丹波黒豆を購入されるお客様は、高年齢層の女性に集中しており、年齢層の低い女性をターゲットにした商品つくりも今後の課題です。

・また、年末には欠かせないお節の定番の黒豆ですが、お節料理は食べますが、益々核家族化が進んでおり需要も減少し、若者を中心にお節離れになっていくと考えられます。

・同業他社については当社と同じような黒豆製品を扱っているメーカーが何社かあり、当社より安い価格での販売を行っているメーカーもあります。価格競争は避け品質重視を最優先します。

 

 

5章 まとめ

ファイブフォース、スワットを使用して当社を分析した結果

 

①新たな得意先を考えました。

1. 他社任せの販売から自社で販売操作できる環境を整えることが一番大事だと考えます。すべて現状の設備、原料をベースにB2BからB2Cへの展開の準備を進めることを考えます。

2. 当社は、小売り販売も行っており、利益幅が取れる直販の売上アップのため、社内で新たなシステムを構築していきます。具合的には、現在休日にお客様から電話が鳴ることも多く、お客様の対応が不十分です。対応できる委託先を視野に入れ体制を作ることやDMの強化も考えます。

3. また、ホームページも開設しており、今後需要が増加するインターネット販売を利用するユーザーもターゲットにしたいと考えます。具体的には、経済力があり生活品質にこだわる年齢25才~40才位までの女性が利用するショッピングサイトや、地元企業とリンクすることも考えます。

4. 更に地元小豆島、中国、四国地区など、近隣地域の翌日配送が可能な地域を中心とした販売先を作っていきます。具体的にはインバウンドを意識し、あくまで現状の商品との価格、規格の差別化を図り、NBブランドとして今年の秋口から販売できるよう準備していき、来年度からは本格的な特販チーム作りを計画します。

5. 2023年の5年後には、地域と密着した企業として、地域の食材を幅広く利用した当社アンテナショップの店舗開設を考えていきます。

 

②新たな商品についての取り組みについて考えました。

1. 当社主力商品の黒豆製品、芋製品について原料確保も益々厳しい状況にあります。今後を考え当社の設備や加工技術に対応できる他の原料確保も近隣地域から模索していき、地域で販売もでき、地産商品として全国に販売できる商品化を考えます。

2. 利益重視を前提とし大量生産ではなく、小ロットで賞味期限が短くてもフレッシュ感がある商品作りを進め、お客様の納期に対応できることを最優先に考えます。

3. また主力商品の黒豆製品、芋製品の商品が成長期から成熟期に入っています。今後衰退期になる可能性もあります。現状のNB商品とは別規格を考え早期にパッケージ変更を行うべく、市場調査を行い、現状の資材、設備をベースに付加価値を付けた商品化を考えます。具体的には女性が好むプチギフトの贈り物用としての商品化や季節に応じた商品作りを考えます。また黒豆の味付けを変えた若者に喜ばれそうなスイーツ感覚の商品化や現状の黒豆甘納豆、芋にフレーバーなどを使用して女性が好む味にすることも考えます。

4.2年後開催の東京オリンピックに向け、インバウンド向けのオリジナルの商品開発、更に小豆島の知名度を有名にしたオリーブ製品の新たな商品開発を進めることも考えます。

5.工場についても現状の商品のコスト削減に向け努力していますが限界があります。ただ新たな商品作りについては、繁忙期以外は協力していただき、新たな人員が必要とされる為、アルバイト、パート社員も含め考えていきます。

 

③5年10年先を見据えた売上目標

1.2018年度の売上予算7億2千500万円を達成する事を前提にし、2019年度1億増の8億2千万円以上の予算書を作成します。

2.2020年度売上目標は、東京オリンピックの開催の年であり3億円増の10億円です。

3.5年先の2023年度売上目標は、13億円です。

4.10年先の2028年度については、最低現在の売上の2倍以上の総売上15億円以上です。

5.具体的な販売先は直販、既存店の高級スーパー、生協、通販、東京土産に力を入れている菓子問屋、首都圏のアンテナショップが中心になり新たに専門店、道の駅、駅売店など新規開拓していき地元の企業との連携も考えます。

 

④監査方法 (2018年~2028年の売上目標と監査計画表)

1.2018年度は、当社売上予算の金額です。2019年度以後の売上高は目標です。

2.2020年、東京オリンピック開催で売上目標達成できるか重要な年と考えます。

3.四半期、半期ごとに進捗状況をチェック確認し、問題点があれば考え改善します。

4.5年後の2023年が大きな売上目標の通過点で、監査計画表で各項目のチェックを行い、2028年を見据えた15億円の目標売上高について再度考えます。

5.強い意志を持って5年、10年後を見据えた経営戦略を進めていき、多くのお客様や地元から必要とされる会社になるよう成長していきます

pagetop