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修了生論文

「経営理念の浸透」

沖縄校(美ら海ビジネススクール) 與那覇 政樹 株式会社るりあん 統括)

1、 研究動機

株式会社るりあんは、1998 年に創業し今年で第19 期を迎えます。

役員を除き社員7名、契約社員含めアルバイト21 名在籍しています。同じ方向に進み 会社を発展させていくには、使命と価値観の共有が必要だと強く感じています。 しかし、経営理念を2012 年に掲げ5年目になります。理念とは違う行動をとる従業員 がいたりお客様から感謝のお手紙を頂いたのに、喜びの共有ができなかたり、経営理念 を聞いても具体的に答えられず、まだ浸透しているとは言えません。

この論文を通して、私自身がスタッフと直接話し合いながら現状を把握し、「何が足 りないのか」「従業員の意識がどこにあるのか」「何をすべきなのか」をハッキリさせ。 課題を見つめ考え、協力会社の課題対策や工夫されている事などアドバイスをいただき ながら、我が社のあるべき姿や向かって行く方向性を伝え、ひとり一人が理解し日々の 業務に自信を持って行動できる様にしたいと思います。

 

株式会社るりあん

~経営理念~『感動を創造し、喜びを分かちあう』

~ミッションステートメント~『るりあんは、私たちの生活母体である。私たちは、商 品を通して人々に生活に豊かさを与える。そして、琉球ガラスのパイオニア企業になる為 に常に挑戦し続ける事が私たちのミッションである』

 

 

2、 現状分析と評価

全スタッフと面談し、どれだけ理念とその大切さが理解できているか調査する。 ※調査後、課題をもとに協力会社様にどの様に工夫されているのか調査する。

 

[現状分析方法]

・ 面談時に聞取り〜評価できるように同じ質問内容にする。

・ 幹部社員/フルタイムパート(短時間パート含む)に分けどこまで浸透しているか。

 

[質問内容]

① あなたは、経営理念についてどの様な印象がありますか?

② 経営理念がある会社と、ない会社とでは何が違ってくると思いますか?

③ るりあんの価値とは何だと思いますか?

④ るりあんの経営理念を言えますか?

⑤ 会社の理念に賛同していますか?(理解していますか)

⑥ ミッションステートメントは言えますか?

⑦ 今後、るりあんがどの方向へ進むか分かりますか?

⑧ 日頃、ほかのスタッフと理念の話しをしていますか?また、どのように理念伝えて いますか?

⑨ 経営理念が、いつでも見られる様に店舗・事務所で明示されていると思いますか?

⑩ 社内で理念教育をしていると思いますか?

⑪ OJT での機会を与えられていますか?

⑫ いつでも聞きやすい環境・社風になっていますか?

※面談時に、「言わされている感」を無くすために出来るだけリラックスできる環境にし、 本音が聴けるようにしました。

 

[面談からの分析結果]

質問内容を大きく3 つに分類し現状と課題が見つかりやすいようにし、幹部社員/フルタ イムパート(短時間パート含む)と分けて整理しました。

1、経営理念に対する印象 (質問内容①②)

2、経営理念の浸透具合 (質問内容③④⑤⑥⑦)

3、経営理念教育・環境 (質問内容⑧⑨⑩⑪⑫)

 

~幹部社員~

・ 女性 勤務年数:16年 年齢:35歳

・ 女性 勤務年数:13年 年齢:32歳

・ 女性 勤務年数: 9年 年齢:33歳

・ 女性 勤務年数:10年 年齢:34歳

・ 女性 勤務年数: 4年 年齢:45歳

 

一般の経営理念に対する印象

一番多かった印象が、「会社の向かって行く方向性」他に「会社の考え方」「何に重きを 置いているか」。「団結力が変わってくる」「仕事のやり方が変わってくる」「意識が変わっ てくる」などがあり、ハッキリとしたイメージが出来ており自信をもって答えている。そ の他に「会社って感じ」などの回答もあり経営理念について少し抵抗を感じている人もい るようです。

 

当社経営理念の浸透度合

経営理念とミッションステートメントを覚えているのが約6 割であり、何となく言える 程度でした。理念の賛同(理解している)についても約8 割が賛同しており、その他は賛 同というより理念を覚えていないので理解ができていない様子でした。また、両方覚えて 理解をしているが、今後会社がどの様な方向に進んで行くのかが曖昧で答えられない幹部 もいました。

しかし、面白い事に勤務年数13 年の店舗店長は、理念など覚えていないが今後会社がどの 様な方向に進んで行くのか具体的に分かっている幹部もいました。

 

経営理念教育・環境

理念教育については、社内では朝礼や会議などで扱っている、OJT は全員機会を与えら れ受けており1 名だけは環境が整っていないので受講できていない。 部下と普段の会話で理念教育の話しをあまりしていなく、会議や商品開発での判断基準で 扱っているようです。

環境について、経営理念などいつでも見られるように掲示はされていないが、会社から 支給された手帳や朝礼進行表にて確認をする事はできる。また、ある幹部からは「店舗に 掲示したいのだが、場所がなく悩んでいる」など現場環境に問題もあるようです。 理念などには限らないが、いつでも質問や確認ができる環境にあるのだが、部下が自分自 身に聞きやすい状態になっているのか不安に思っている幹部も多かった。幹部が外部にい る時間が多くなかなか確認が取れない問題もあるようです。

 

~フルタイムパート~(短時間パート含む)

一般の経営理念に対する印象 「経営するための信念・モットー」や「目標」「良いイメージを与えるため」など。経営 理念がある会社と無い会社の違いとして、「利益がだせ上手くいっている」「まとまり方が 変わる」「働き方が変わる」などが出ていたが、「今まで経営理念のある会社で働いたこと が無いので分からない」という回答もありました。他の方にも今まで勤めていた会社に経 営理念があったのか聞いてみたところ、全員あったと思うが覚えていないとの回答があり ましたが、悪い印象がないが会社の『お飾り』的に感じている様です。

 

経営理念の浸透度合

経営理念など言えるのが5 割、理念に賛同しているが7 割いて、その他は理念の理解 ができていないので「賛同しているつもりです」との回答も。しかし、理念を完全に覚え ていない人もいますが、特に『喜びをわかちあう』に共鳴している様です。

アクセサリー加工部の方からは、経営理念の『感動を創造する』に賛同していて、どこに も無い新しい商品を作れる事が嬉しいと言う意見もありました。

今後、会社がどの様な方向に進んで行くのか具体的に分からないが、部署会議をやる様に なって何となく分かってきた人がほとんどの様です。

 

経営理念教育・環境

店舗だと、理念について話せる時間が少なく業務的なことがほとんど。朝礼時や会議 などで唱和するが上司以外と話し合うことは無い。

経営理念を大きく掲示はされていないが、朝礼進行表にて確認ができるとの回答が多かっ たが、手帳にあると答えた人は1 名しかいなく、経営計画書も入れているが活用できてい ない現状も分かった。

社内での理念教育については、会議中にやっているが取り扱う時間が短いので理解すまで には至っていないようです。また、面談時に印象に残ったのが、『朝礼で専務が話す理念に 対して具体的なエピソードを聞くと分かりやすい』など、具体的なエピソードを付け加え ると理解しやすい事が分かりました。

OJT に関しては1 名だけで2 月に受講する予定になっている。いつでも聞きやすい環境に なっているようで、全てのスタッフが、聞きづらく感じた事はなく上司に対しても相談し やすい雰囲気であることが分かりました。

 

[面談から見えてきた状況と課題]

1、 理念浸透について

幹部社員のほとんどは10年以上勤務しており、経営理念自体「お客様目線」から作 ったこともあり店舗現場が長い幹部は理念に共感している。しかし、事務担当者はお客 様と接する機会が少ないせいなのか、あった方が良いが身近に感じていなようです。

 

パートも、店舗現場が多く理念に違和感をもっている人はいない。何となく理解してい るが、自分たちのどの様な行動が理念とつながっているのかがピンときていない。

 

商品管理部(商品準備・加工)は、ほとんどお客様と接することは無いのだが、幹部社 員といつも近くにいて話しをしているので理念が言え賛同している。しかし、今後会社 が、どのように進んで行くのか話しをしていないので分からない現状である。

 

 

2、 経営理念教育・環境について

・いつでも見える様に経営理念が大きく掲示できていない。

・朝礼や会議で必ず全員で唱和をしているのだが、読んでいるだけで心に響いていない。

・普段の会話で理念について話題にあがってこない。

・理念の説明時間が短い。

・専務が打ち合わせなどで居なく確認がとりづらい

・手帳を全員に渡しているが、会議以外で使用していない。

 

上記の課題を踏まえ、以前から交流のある企業へアドバイスを頂きました。

 

・ A 社 従業員数32名 (平成29年1月訪問)

・ B 社 従業員数15名 (平成28年12月研修中)

・ C 社 従業員数20名 (平成28年11月訪問)

・ D 社 従業員数4名 (平成29年1月訪問)

 

[協力会社の取組とアドバイス]

・会社に理念が浸透しないのは、すべて社長の責任です。

・社長幹部が、本気になっていないから浸透しない。

・時間の許す限り社員と会話をしている。

・会社のファンになっている人と、なっていない人の違いは社長の関わる時間に違いが ある。

・経営理念を分かりやすく理解してもらうために、具体的な例えをしている。

・自分の会社理念ではなく、他の会社理念を読みどうしてこの理念にしたのか勉強させ ている。関心をもたせる。

・会議であれもこれも取り上げるのではなく、ひとつの題材(理念について)を扱うと 良い。

・必ず理念と触れる仕組み、手帳を開ける仕組みをうまく作る。日常動作にいれる。

 

 

3、 今後の取組みと監査手法

取り組みと、どのようにチェックするかを重点的に考え整理しました。

 

[理念浸透の取り組み]

1:来客様がいらっしゃった時にでもすぐ見える様に額縁に入れ掲示する。

※店舗→レジ後側 事務所→応接室

 

2:朝礼や会議の経営理念唱和後、進行係が『感動したこと』『嬉しかったこと』のど ちらかをひとつ発表する。進行係は、週に1回くらい回ってくるので、それまでに感受 性を鍛えるトレーニングになるし、発表を決める事により、日々の業務の中でも感謝や 感動、喜びなどを気にするようになり業務以外の会話が生まれ、日頃どのような行動が 理念と繋がっているのかを確認できる。

また、全員に支給した手帳を活用できていない事もあるが、日々感じた事を支給した手 帳にメモを取らせ朝礼や会議には必ず持参する決まりにする。

※ 今まで、やった事・慣れない事ないことを始めようとすると、必ず拒否反応が出て くるので、『なぜ発表するのか?』を全員に直接説明する。

 

3:理念勉強会を会議以外に用意し、販売部・管理部・経理部を入れ会社を運営する意 味や、それが従業員にどのようにつながっているのかを伝え考える時間にする。

また、経営者や幹部が働いている部下が日頃どういった夢をもっているのか、または不 満やトラブルを抱えているのかを聞ける時間にもする。そうする事によりお互いの人生 観も共有でき、ミッションステートメントの中にもある『るりあんは、私たちの生活母 体である』にも繋がり、理念が身近に感じる事ができ会社の「お飾り」みたいという認 識も払拭できる。

 

[監査方法]

1について:私が総務に直接指示し今年3月中に完了させる。

2について:毎週日曜日に各部署で発表された感想を部署長がまとめ、全幹部にメール で報告する。そして、毎週月曜日の朝礼で他部署での感想を発表する。

3について:毎月第3水曜日の10時から理念勉強会(事務所にて)を開催し私と専務 で伝える。那覇空港店舗スタッフはシフト上難しいので販売会議時に行う。

 

4、まとめ

今回、経営理念の浸透について調査しましたが、自分自身を見つめる良い機会になりま した。会社が経営理念を作りさえすれば従業員は自然に同じ方向に向かってくれるだろう と思い、相手の気持ちも考えず理念を押しつけていたと気づきました。

ある社長からの助言は、『会社で働いている人はそれぞれ違う生き物の集まりだから、会社 によって理念浸透のやり方は違う、その働いている人をよく観察し、その人に合った方法 を探すのが楽しいし、すぐに答えを教えてもらうのではなく、自分で悩み苦労する方がや り甲斐や達成感を味わう事が出来るじゃないか!』 確かに私は答えだけを求めて逃げて いました。また、ある幹部から頂いた『トップが本気じゃないと理念浸透もしないし、部 下も付いてこないのだよ!』の言葉が頭から離れません。会社のため・従業員のため・地 域社会のためなど口ばかりで、本気になっていない私を社員は見透かしていたのだと反省しました。

上記に掲げた取り組みを行う前に一番大切な事は、私自身が心を入れ替え本気で従業員と 向き合い対話する事だと肝に銘じたいと思います。 最後になりますが、『感動を想像し、喜びを分かち合う』という理念は、会社だけではなく わたし自身にも大切な言葉です。この言葉の大きな役割を胸に、自分自身を律し伝えて続 けたいと思います。

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