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修了生論文

自社経営戦略の検証

沖縄校(美ら海ビジネススクール) 宮城 辰也

自社の概要

沖縄県内に於いての医療機器販売業で創業44年になる。業界県内シェアは28%程度で、トップではあるが、2位3位とは僅差である。現在の社員数はパートを含めて115名で、2年前より委託業務等の事業が拡大し、パート社員が増加している。これから到来する超高齢化社会に向けての対策を考えることが必須である。
1. 動機
① 国民医療費・介護費の問題
② 医療機器業界の市場動向
2. 現状分析
① 当社粗利益率の傾向
② メンテナンス粗利益率の傾向
③ SWOT分析
3. 今後の取り組みと監査方法
① SPDの展開
② GPOの推進
③ クレジットカードの活用
④ 技術力の充実と専任部門
⑤ ①〜④それぞれの監査方

 

 

1. 動機

 

①国民医療費・介護費の問題

2016年の国民医療費は40兆円を超え、介護費も10兆円を超えた。2025年に向けて、高齢者が全人口の30%を占めると予想されている。当然、医療費・介護費も、増加の一途をたどる。2025年までの平均伸び率は、医療費は1.8%、50兆円、介護費は4.4%
21兆円と見込まれる。政府は医療費・介護費を抑制する方針を打ち出しており、医療・介護事業者は、病床再編、地域医療連携推進法人、グループ化等大きな変革を迫られており、コストマネジメントの重要性は増してくるであろう。また、医療業界は治療方法が革新的に高度化しており、新しい技術、医療機器、医薬品は高額となり、医療費増加の一因になっている。

 

②医療機器業界の市場

国内医療機器の市場は、2015年で2兆円強となっており、今後年平均2.3%の穏やかな伸び率が予想されている。急性期病院のコストの約10%を医療機器・材料が占めており、今後も当業界へのコストダウンの要望は増大することであろう。当業界は、価格の下落、競争激化による粗利益率の減少は避けられないと考えられる。
①②の対策として、シェアの拡大による粗利益額の増大と業務の効率化が主となる。今回シェア拡大の戦略を考え検証する。

 

 

2.現状分析

 

①当社粗利益率の傾向

当業界全体の平均粗利率としての詳しい資料はないが、経験上の予測として‥%前後であろうと思われる。傾向としては今後下降していくと考えられる。
当社の売上、粗利益、粗利益率の推移を調べてみた。若干の増減はあるがここ数年の平均は‥%である。この10年で見ると下降傾向である。(図1.2参照)業界平均の予測粗利益率よりも当社の方が若干良い理由としては、メンテナンス部門の活躍が牽引していると考える。メンテナンス部門に対して精査し、充実できるよう、また当社の強みである技術力をさらに強化するためにも、メンテナンス部門の売上、粗利益、粗利益率の推移をまとめてみた。
(図3参照)

 

全体的な粗利益率低下の要因としては、次のとおりである。
⑴2年に1度の医療費改定。
⑵医療材料の償還価格の下落が大きく、病院からのコストダウンの要望が強くなっている。
⑶上記に連動して病院からの強い要望よる同業者間の価格競争の激化。

 

図1
守秘のため省略

 

図2
守秘のため省略

 

② メンテナンス分野の売上高・粗利益高

当社のメンテナンス分野の売上高、粗利益高を整理してみた。
ここ数年メンテナンス専任の人材はメンテナンスに対しての売上・利益意識は強くなっており、保守契約を含め確実に伸びている。メンテナンス平均の粗利益率は‥%であった。(図3参照)

図3
守秘のため省略

 

③ SWOT分析 (図4参照)

2016年3月に幹部合宿にてSWOT分析を行ったので掲載する。当社の強みであるSPDと技術力をさらに強化することを戦略として掲げ、脅威である悪質なコンサルタント(価格交渉を専門とし、根拠と公平性に欠ける)への対応・他共同購買に対しての回避策・挑戦方法を検証し経営戦略に取り込む。

 
 

3.今後の取り組みと監査方法

シェア拡大、粗利益率の維持を目的とし、経営理念にある『お客様第1主義』も考慮し、3ヶ年中期計画を立て下記に戦略をあげる。

 

① SPDの展開

SPDとはSupply Processing Distributionと造語である。病院において使用する医療材料の種類は30万から40万アイテムとも言われており、統一のコードが未だに無いのが現状で、病院スタッフによる管理が難しい現状である。SPDとは医療材料の物品・物流管理を指し、専用のシステムを活用し、多くの急性期病院はアウトソーシングでまかなっている。滅菌期限管理、医事との連携、病院資産計上等病院経営にも大きく関わる分野である。SPDは1995年頃より日本において始まり2000年頃より急性期病院において認知されてきた。急性期病院にて必須のDPC(包括医療費支払い制度)指定病院の条件にも取り上げられている。
当社は2004年よりこのノウハウを有し、県内においてはパイオニアと自負している。又昨年、自社でオリジナルのシステムを開発しさらに推進していく方向性を示している。SPDのメリットとしては、お客様の囲い込みと情報収集である。SPDの請負業にて、病院への出向者も多くいる。出向者は常駐することにより病院の問題解決をし、パートナーとなり得、医療材料の情報収集は元より、院内の情報を入手する環境に置かれている。それらの情報を当社営業担当と連携し他者に先んじて行動し売上に繋げる。又、デメリットとしては、業務受託費と人件費とのバランスが大きな課題である。業務委託費は既存の業務のみでは上げることは難しく、しかし人件費は昇給しないと社員のモチベーションは保てない。守秘のため省略

 

②GPOの推進

GPOとはGroup Purchasing Organizationの略で、共同購買組織の名称を指す。
米国では1890年代から医療機関にて取り入れられており、医療材料をはじめ医薬品、医療機器その他のサービスを購買し、現在では急性期病院の90%の施設がGPOを活用している。日本では2010年頃から徐々に取り入れられ、チェーン病院をはじめとしてここ2、3年で認知されてきた。市場としては総施設数の10%にも満たないであろう。しかし近年、国内においても大手の商社が参入し躍進している。国立大学病院機構も今年からグループで価格交渉に当たりこの手法を導入した。国内の販売会社(デイーラー)の存在意義がなくなる可能性も秘めている。守秘のため省略

 

③クレジットカードの活用

守秘のため省略

 

④ 技術力の充実と専任部門

当社のメンテナンス員は10名と他社と比較しても充実しており、SWOT分析(図4)にもあるように以前から当社の強みとして認識している。今後メーカーの直販、カタログ販売、Eコマースと当社の売上増の阻害要因が業界でも活発化するのは間違いないであろう。その回避策としては現地でしっかりとしたメンテナンス体制で迅速かつ正確な対応で顧客からの信頼を得ることが当社の生き残りの大きな要素だと考える。また今後も高度化する医療機器分野においても、技術力の強化は必須である。最先端機器を取扱うメーカーも安心して販売を依頼することができ、当社としてもメーカーとの継続取引、高利益の確保と大変重要である。メンテナンスの大きなメリットとしては粗利益率‥%と当社の粗利益率増大の大きな牽引役である。(図3参照)現在メンテナンス専任は画像関係の一部署にのみ所属しており、他3部署は営業が兼務しながら奮闘している。専任のいない部署では、メンテナンスは販売のためのサービスの一部として捉えられる傾向が強く、メンテナンス料は安価で、時には無償で行うケースもみられる。3年以内に技術専任部として当社取り扱い機器のメンテナンス、保守点検ができる部署を設立し、当社の強みを更に強固にする。守秘のため省略
技術専任部のメリットは次の通りである。
⑴粗利益率の増大。
⑵お客様との信頼関係の構築につながる。
⑶メーカーとの関係の継続に必要。
⑷次の販売に繋げる情報の把握ができる。
デメリットは次の通りである。
⑴技術の習得に時間がかかる。
⑵技術系専任の人材確保が困難。
⑶夜間休日出勤や緊急が多く、労働時間が長い。
デメリットの回避策としては、
⑴に対して現状のセールスエンジニアとして活動している人材を専任部署に移動させる。⑵に対して新規採用時に技術系大学・専門学校に積極的に採用活動する。
⑶に対して人材が揃えば落ち着くと思われる。又現状、一部取り入れているフレックス制やシフト制を、しっかりとしたルールを作成し運用する。

 

⑤ 監査方法

それぞれに対して監査方法を決定する。
基本的には全て4つの戦略に対しての売上高、粗利益高、販管費の進捗をマネジメント会議(月に1度、1時間程度、総務課と役員で行う)にて監査する。
① SPDの展開
3年で‥件を目標としており、SPD課の成績とシステムの販売台数の追跡。顧客情報が販売につながっているかは納入施設の伸び率の追跡をする。出向社員と担当営業との情報共有が案件獲得まで繋がったかのヒヤリングを年4回実施。
②GPOの推進
GPO担当者会議で会員施設数と会員施設の売上高・粗利益高を集計する。毎月1回のマネジメント会議へ報告し監査する。
③クレジットカードの活用
総務課で会員施設数と会員施設の売上高・粗利益高を集計する。毎月1回のマネジメント会議へ報告し監査する。
④技術力の充実と専任部門
技術専任員の売上高、粗利益高、販管費の割合等部門別管理を取り入れる。月1回のマネジメント会議にて検証する。
人材の採用に関しては、人事担当、採用委員会、PRプロジェクトチーム合同で会議を実施し、採用に対しての方向性、採用のターゲット、予算化をする。監査方法もその会議にて検証する。

当社の4つの経営戦略の検証を行い、細部の追加、再確認ができたのでこのように進める考えである。
以上

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