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修了生論文

沖縄素材を使った販路拡大戦略

沖縄校(美ら海ビジネススクール) 加藤 かおり

1. はじめに

私は7年前に沖縄県石垣島へ移住し、そこで個人エステ店「宮良の館」を創業しました。平成25年には法人成りをしました。その後、那覇市おもろまちに二店目のエステ店を開業致しました。当店のエステは、リラクゼーション系のエステの多い沖縄の中では数少ない『痩身系エステ』を売りとして参りました。

当社の提唱するコンセプトは、観た目だけではない健康的な美の追求であり、健康のベースを造るための痩身であると捉えています。そのために代謝を高める温熱を活用したエステに加え、管理栄養士としてのバックグラウンドを持つ食事指導を組み合わせた点が大きな特徴です。バランスの良い食事こそが美しく健康的に痩せる最大の要因であると考えております。

そのようなサロン経営の中、琉球大学やうるま市のラボなど『学』との連携によるエビデンス(科学的根拠)に基づく沖縄素材の商品開発を新たな事業として開始しました。

それまでは、石垣と那覇のエステサロン内だけの限られた狭い範囲の商売でしたが、美容商材開発や販売展開を始めるにあたりあまりにこれまで自分が経営を知らな過ぎる事に直面致しました。そこで今回、ビジネスの基礎を一から学ぶことを決意いたしました。

 

 

2. 研究動機

矢野経済研究所の調査結果によると(平成28年10月~12月調査実施)、エステティックサロンの市場規模は、平成28年度は前年比100.3%で3,572億円の見込みとしています。近年、対象顧客数が伸びることがなく数年来横ばい状態で、今後も横ばいか微増傾向との予想です。

また、エステティックサロンの67%は個人サロンの小規模事業者であり、その6割が1年で廃業しており、さらに10年で9割以上が廃業に追い込まれています。

このことは筆者が考えるに、経営ノウハウを持たずに業界に飛び込み排斥される企業経営者が多数いることの証左ではないかと考えます。このことはまさに経営の不安定感が顕著な業界であると言えます。

このような環境下で、沖縄の素材にこだわった沖縄発の美容商材をビジネス展開するにあたり、どのような戦略で拡大して行くべきかを精査検討したいと考えました。

 

 

3. 現状分析

ここでは、戦略を考えるにあったってまずは業界を分析した上で、現状の経営戦略と問題点を明らかにします。

 

3−1 沖縄サロン業界の現状分析

調査結果(下記の図2参照)では、都道府県庁所在地および政令指定都市における1世帯あたりの理美容代金の年間支出金額の統計があります。図に示す通り沖縄県は全国平均15,417円と比較し約半分の8,000円前後です。その中に全国平均以上のエステサロンの件数が登録されているのが現状であります。また、県内ののエステ・スパ店舗数は県下に700店舗と全国1位、人口10万人あたり全国1位で、消費者の低い支出という小さなパイから多くの同業が奪い合っていることが伺えます。まさに激戦区と言えます。

 

3−2 現状の経営戦略と問題点

自社の特徴と向かおうとしているポジションについて

 

(1)内外美容

「美と健康」を通して当社が提唱するのは、見た目だけではない健康的な美の追求であり、そのベースをつくるための痩身です。そのため当社では、代謝活性を高める温熱を活用したエステに加え、管理栄養士のバックグラウンドを持つ食事指導とそれを効率よく生かす商品開発が特徴です。

 

(2)沖縄ブランド&学との連携

当社商品には沖縄の「島の知恵」である素材(シークヮーサーや島野菜など)を使用し、県外他社既成品にはない付加価値を加えています。商品開発を進めていく中で、琉球大学理学博士らの研究チーム、科学的なエビデンスのある原材料の抽出技術など素材を扱う事業者に出会い、科学的な背景をもった商品の開発を行う協力体制を整えることもできました。密接な関係を構築しながら商品開発できるポジションを得られたことは信頼のある商品作りにおいて優位性を確保できたと確信しています。

 

(3)スクーリングの実施

昨年より、代理店、販売店向けの商品説明会を開催しています。製品コンセプト、原料製造の説明と効果、また、サロンでの使用方法を講習し、ここに参加された方の多くかから取引がスタートしています。

 

向かおうとしているポジションについて

①創業以来6年間、地元のお客様中心の健康的に痩せる、効果の出る痩身に特化したエステのテクニックをスクーリング、フランチャイズ展開して行く。

②沖縄オーガニック且つ学の強さをアピールしたブランド商材を活かし、販売店を増やす。

 

ここでは競合として意識している、痩身、商品を持つエステプロラボを取り上げています。

競合は高級イメージが強いと分析します。それと異なり当社は栄養指導のレベルの高さと、自身の痩身サロンが持つダイエットの実績が強みです。

 

4. SWOT分析を使った戦略の立案

 

4-1 ここではまずSWOT分析を行い当社の強みを活かした戦略を考えます。

 

プラス面 マイナス面
S:強み W:弱み
内部環境 S1.効果、エビデンスデータのある製品の製造

S2.栄養学、生化学のインストラクター指導能力

S3.沖縄原料自社調達、企画、製造、販売で安心安全信頼性のある商品を製造

 

S4.商材をモニタリング・実証する

県内実在店舗の存在で信憑性高い。

S5.品質の高さと希少性の訴求

W1.販促用用資料及び広報不足。

販売店・代理店数が少ない。(S1)

W2.広報要員が少ない。(S2)

 

W3. 配送コストが高い。

工場、取引先の期限納入の遅れ。  (S3)

W4.会社の目標とする像に対し社員の認識が弱い。(S4)

W5. 流行商品と比べ、説明・理解

に労力が必要(S5)

W6.原価率高く、卸価格が30〜35%と利益が取れない。(S5)

 

 

O:機会 T:脅威
外部環境 O1. 品質での差別化を図れる(S1)

O2. 自社商品説明会、有料講習が開け、販売店との接点を持てる。

(S2)

O3. 純日本製は、アジア圏での優先地位の獲得(S3)

 

O4 商材、技術実証の場として実技を交えた商談可能。(S4)

 

O5. 新原料商品は市場新規性を保てる。 (S5)

T1.他社デザイン力が優れ人気、購買意欲をそそる。(S1)

T2.他社の講習会は首都圏にて多数開催されている。(S2)

T3.沖縄である必要があるのか。売れている商品の原料は沖縄に限らない。(S3)

T4.アナログ式の美容商材卸流通は、首都圏多数の店舗との接触が必要で、他社に比べ行動数が少ない。(S4)

T5.他社の生産原価3〜8% (S5)

 

前頁SWOT 分析より、今後の対策を考えました。

 

4-2

1. 克服策

W1.2より 少ないスタッフでできる集中した広報と営業の戦略。

1.デザイン性を高くした広報資料の拡散を多くする。

2.人気商品ターゲットに集中した資料作成、講習会を行う。

W3より 貯蔵と配送コストの経費削減

1.首都圏にロジテックスの確保

納期遅延に対する課題

1.納期契約

W4より 社の目標に達するための人材育成

1.事業計画を全社員に明確に示す。幹部候補生育成。

2.営業の要らないスタイルへ戦略変更。Web、通販。

W5より 1.話題原料と混ぜる。

2.流行りの言葉を用いる。

3.当社商品と他商品との比較、サンプル配布。

W6より 卸価格の高い業界へ移転

 

2. 回避策

T1より
T2より 動画配信、サテライト勉強会、アプリなど
T3より 粗雑商品との比較、効果の実証
T4より 有料講習会を設け、フランチャイズ様展開を設け継続購入を促す。
T5より 高卸価格で降ろせる先を探す。(ペット業界、通販、飲食業界)

 

1. の克服策では少人数、沖縄という立地の対策として、動画配信、DM、外注といった、人的労力を少なくし、補える対策を主に考えました。

2. の回避策では、講習会を行った先に定期的な購入を促すシステムを作り、営業の回数を減らしていける対策、また、高卸価格で取引できる業界への挑戦を考えました。

 

 

5. まとめ

教わった分析方法で当社を分析したことで、当社の強み、弱み、脅威、可能性など色々なことが炙り出され、色々な事を自分自身で考えることが出来ました。業界全体の動向やトレンド、エステサロン経営者の現状や問題点、この閉塞感的業界でのビジネス展開の困難さやビジネスチャンス、流通販路や流通システムの複雑さと古い管理体質等々改めて総合的に見直すことが出来ました。その中での当社の立ち位置や特徴を知る事も出来たと思います。自分が経営する会社を客観的に見直すことが出来たことは非常に重要でした。この経験は今後の会社経営に活用して行けると確信しています。

分析方法や科学的アプローチはまだまだ未熟でありますし、今回だけで充分とは言えません。しかしながら、自分で自社分析評価したことには自信を持って会社でも社員に話していこうと思っております。また、科学的アプローチの手法をエステサロンの日常業務の中に少しでも反映させて行きたいと考えております。また、美容商材の販路拡大におきましても今回の経験は非常に大きな糧となるものでした。日常の業務に追われ包括的に分析評価することを後まわしにしていたことも大きな反省点でした。

今後はこれらの手法を実践に活用しアウトプット出来るようにして会社を盛り上げて行きたと決意を新たに致しております。

 

 

6. おわりに

これまで未熟ながら自社分析をしながら販売戦略を考察してみましたが、実際の営業活動・販売活動は単純ではありません。複合的な要素が交錯し合う中で臨機応変な経営判断をしなくてはならないと感じています。自分可愛さについ行いがちな優位的判断を改めながら、これまでスクールで学んで来た知識、分析能力を思い起こし効率の良い戦略を建てて行こうと思います。 エステサロンと言うことでこれまでは、個人の能力や感覚に頼った商売をして来たように感じます。今後は社会的、客観的必要性のあるサービスを探し展開を図ろうと思います。また、スクールの同期生の皆様方にも助けて頂きまして本当にありがとうございました。最後になりますが原田先生には、劣等生の私にこのような勉学の機会を頂きまして、また根気よくご指導賜りましたことに心より御礼申し上げます。

今後は、当社が業績の良い、より良い経営のできる会社になるよう精進して参ります。

 

以上

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