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修了生論文

我が社における人材育成の現状と課題

沖縄校(美ら海ビジネススクール) 安座間 智一

1.動機

現在、筆者の所属する支店の営業部は約半数が50代という構成になっており今後数年で当支店の営業目標を担ってきた人が次々と退職になる。民営分社化に伴って新卒を積極的に採用してきたが、我々の支店の若手社員の営業実績における貢献度合いが伸び悩んでいるようにみえる。よって今後の支店の目標を達成させていくには人材の育成が急務であると考え、若手社員の育成はできているのかどうか、役職者は育成についてどう考え、どうしたいと思っているのか。また、どうすれば組織として育成がうまくいくかに興味を持ち考えてみた。

 

 

2.現状

我が社には現在若手社員が6人おり今回は新入社員を除いた5人を対象に調査してみた。

2008年採用 A

2009年採用 B、C

2014年採用 D、E

 

まず、営業の部署ということもあり、営業実績で若手社員の現状が全国の同世代と比べ、どのような違いがあるのか過去3年間と今年度12月末現在までの営業実績を調べてみた。

 

2008年採用社員

2013年度 2014年度 2015年度 2016年12月現在
A 1,187,569 *31,890 *-115,863 *109,778
全国平均 4,003,635 4,199,519 5,208,083 3,148,927

*産休、育休のため休暇期間あり

 

 

 

2009年採用社員

2013年度 2014年度 2015年度 2016年度12月末
B 3,411,625 4,584,922 4,840,528 2,332,499
C 3,635,109 7,227,067 *-603,592 2,474,088
全国平均 3,967,140 4,597,771 5,280,107 3,343,111

*産休、育休のため休暇期間あり

 

 

2014年採用社員

2013年度 2014年度 2015年度 2016年度12月末
D 989,036 1,144,841 1,077,002
E 1,705,328 2,432,880 984,014
全国平均 1,403,501 3,350,492 2,706,819

 

上図を見ると、同世代平均以上の営業実績をあげているのは2人で1回ずつである。

さらに、年を重ねるごとに全国平均から乖離しているように思える。

 

また、役職者である6人に対して現在の育成について個別面談で意見を聞いた。

 

質問事項は下記の通り

1、弊社にとって若手の人材育成は必要か?

2、会社として人材育成はできているか。

3、個人として育成ができているか。

4、できている、できていない理由

5、どの様な人材育成ができたらいいか?

6、それを行うにあたって何をすればいいか?

7、その他の意見

 

 

部長 F

1. 必要だと思う。

2. 出来てない。

3. 出来てない。

4. 時間がない。仕事に追われている。育成プログラムが明確にないから。

5. 育成される側の能力に応じたカテゴリー別に育成が必要。仕事を任せてやらせてみる。それから、出来てないことを指導する。

6. 指導する側とされる側を一定期間ペアになって指導をする方法。もしくはチーム制でもいいと思う。複数のベテラン社員で複数の若手社員とチームを作る。

7. 育成する側が必ずやらなくてはいけないという気持ちで粘り強くやらないといけない。アフター5のコミュニケーションが不足している。

 

課長 G

1. 必要。

2. 出来ている。

3. 出来ている。

4. 直接指導はしてないが間接的にアドバイスを行っている。

以前インストラクターをしていたので別の役職を通して現在やるべき役割を教えているから。

5. 1人で仕事を完結できる営業マンにならせたい。知識は勉強会等でつけて、スキルは上司と同行して学ぶ社員にならせたい。

6. マネージャーが育成プログラムを作って班長にまかす。知識はインストラクターを中心に勉強会を開く。どこまでの仕事ができているかで役割を分担して育成したらいいと思う。

7. 班長と部下のコミュニケーションが不足しているから、そこを改善しないといけない。

支店、部、班によっての役割の明確化をすればよくなる。

 

インストラクター H

1. 必要。重点的にやらなければいけない。

2. 出来てない。

3. インストラクターで2人(桃原、小成)担当しているが、まだ足りない。

直せるところは直したい。

4. 時間がない。自分の成績に追われている。組織的に確立できてない。

5 . ヒアリングの技能、場の作り方、営業の流れをまず覚えられるように育成したほうがいい。

6. 上司と同行して指導していく。郵便局に研修、出向で個人募集から勉強していく。

7. 本当は個人募集を一人で完結できるようになって法人をやったほうがいいと思う。

その方が会話のスキルがつくから。若手とベテランのコミュニケーションが不足しているから育成に少なからず影響が出ている。

 

担当課長 I

1. 必要。自分たちが退職する前に早急に育成方法を確立したほうがいい。

2. 出来てない。

3. 出来てない。

4. 組織の方針が定まってないから。指示されないから、役職者の方向性が違うから。

5. 個人個人の能力にあった内容での育成、習熟度合に応じた育成。

6. まず個別対話でお互いの考え方を知ってもらう。

→お互いで習熟度合を確認して方向性を示す。

→実践を同行、単独で行う。

→進捗の検証をその都度する。

役職同士の意思統一。

組織の縦のつながりの体系化

7. コミュニケーションを適宜しないとダメ。自分の実績は大切だが、育成も大切両立するにはお互いの心の問題が大きいように思える、好き嫌いみたいな。

指導受ける側も殻を破らないと指導する側が大変、やりたくないという思いになる。

そもそも役職同士のコミュニケーションが不足している。方向性が見えないから組織の縦の情報伝達、周知がうまくいってない。それが、若手にも伝わり自分勝手しても いいという感覚になっていると思う。若手にもいいところがあるけどそれがうまく生かせてないと思う。

 

担当課長 J

1. あと5年で同級生4人がいっぺんに退職するから必要だと思う。
2. 出来てない。
3. やっているつもりではあるよ、やっている。
4. 仕事に追われている。数字に追われている。時間がない。教えられる側の意識が足りない。教える側には得がない。教える側に見返りがないから。
5. それぞれの力に応じた役割を与えて行動させる。
6. お互いの仕事に対する目的意識、考え方を一致させる。何でもやらせてみる。営業に興味を持たせる。楽しさ、達成感を経験させる。プロセスを教える。厳しさを教える。レベルに応じて細かく指導していく。一緒に考える。指導される側は聞く態勢をとる。同行指導でまず見せる。
7. 指導評価を与えれば育成は進むはず。できてなければリセット、戻ることも大切。育成は難しいと思うけど今のうちにやっておかないと、どんどん難しくなるよ。若手をコントロールできなくなるから今のうちに組織の営業、育成を身につけさせたほうがいいよ。

 

課長代理 K

1. そりゃあ必要さ~。
2. 出来てない。
3. やらないといけないと思うけど出来てない。まだ足りないと思う。
4. 自分のことでいっぱいいっぱい。
5. 自分自身でやってわからない時に聞けばいい。
6. 他人を利用する。自立、自活、責任力、本人の意識が変わらないとダメ。できると
思った事はさせてみる。積極的に話させてみる。上司の助言を得る。
7. 自分が必要とされている人間だと伝える。同行指導はいいけど、したければ自分から
お願いするべき。気を使いすぎのところが見受けられる。ガミガミ言うのはいや。
パワハラにならない程度に叱咤は必要。押しつけはいや。自分で考えないと。メンタ
の部分が弱い。

 

以上役職者の育成に関する考え方を個別面談を通してヒアリングしたが、ほとんどの役職が育成の必要性を感じているが、それ以上に自身の営業実績に追われ若手社員の育成が二の次になっている傾向がみられる。また、育成の指針、方法が定まってない事や、育成に対しての報酬や評価がないことにも育成が後回しになっている原因と思われる。また、コミュニケーションが不足しており役職者の中には若手社員をよく思ってない人が多いように思える。今回若手社員のヒアリングはしてないので何とも言えないが逆もまた同じようなことが言えるのではないか。

そうは言っても、今後数年で多くの退職者が出てくるのでベテラン社員からの指導は必要である。

そこで、リード診断表を用い、それぞれの指導の際に取りやすい行動のスタイルプロファイルを導き出し、SL理論(状況対応型リーダーシップ)に沿ってそこに対応している若手職員に対して指導させることにより、育成する側の負担を少しでも減らしながら行えるのではないかと考えた。

 

SL理論(状況対応型リーダーシップ)

部下(フォロワー)

R3

出来るがやる気が弱く不安を持つ。

 

R2

出来ないがやる気はあり、不安がない。

 

R4

出来るしやる気もあれば自身もある。

R1

出来ないしやる気も弱い。

 

 

上司(リーダー)

S3 参加型

考え方を出し合い部下に決定できるよう仕向ける。

S2 説得型

決定の意味を説明し質問を受ける。

 

S4 委任型

決定と執行の責任をゆだねる。

S1 教示型

具体的な指示を与えて密着して監督する。

 

 

SL理論とは、部下の状況によって上司が取るべき行動が変わってくるといった

理論です。それぞれ、R1の状況ならS1の指導法が有効というのを示している。

 

 

上記の事を踏まえ支店の役職者にリード診断表を実施し行動特性をSL理論によってまとめてみた。

 

部長         F:S4(委任型)    S1=0、S2=2、S3=3、S4=7

課長         G:S2(説得型)    S1=3、S2=5、S3=3、S4=1

インストラクター   H:S2(説得型)    S1=2、S2=8、S3=2、S4=0

担当課長       I:S2(説得型)    S1=1、S2=6、S3=2、S4=2

担当課長       J:S3(参加型)    S1=0、S2=4、S3=6、S4=2

課長代理       K:S1(教示型)    S1=5、S2=3、S3=3、S4=1

 

上記のように役職者全員で全てのカテゴリーを網羅した結果となった。

 

 

3. 今後の対策

項目2の現状の把握から全国に比べて営業実績が伸びてないと、とらえることができる。

そのため、SL理論から導き出された行動特性にあった育成の領域にいる社員を指導することにより個人の負担を軽減しながら育成できると考えられる。

そこで、一定期間同行して集中的に指導し別のカテゴリーに進めば、次の指導者にバトンタッチしていくという方法が効果的ではないかと考える。それを行うことにより個人が育成にとられる時間が短縮し、方法を深く考えずに指導できるというメリットと数年後の大量退職までの短期間で育成ができるというメリットがあると考える。

また、若手社員にとっても一定期間とはいえ一緒に過ごす時間の中で必然的にコミュニケーションをとることになるのでお互いのことも理解しあえるいい機会なのではないかと思う。

そのために若い職員をSL理論をカテゴリー別に過去の実績、日常の業務態度を鑑みて個人的主観で位置づけしたいと思う。

 

2008年採用 A R1

採用からの期間は長いが4回の産休、育休などで実際の勤務実態は少なく復帰の際にもモチベーションが低いように見えるため、今回はR1に位置づけする。

 

2009年採用 B R2

採用から8年経験してきた。県外転勤も経験しやる気は十分、勉強等、スキルや知識習得にも積極的だがまだムラがあり、営業実績を鑑みても全国平均に達した事もないのでR2に位置づけする。

 

2009年採用 C R3

大城と同じく8年の経験だが、過去休暇の期間が2年間ある。しかし、過去の実績を見ても全国平均を超える実績を残している年もある。現在、上司とのコミュニケーションがうまくいっておらずモチベーションが下がり気味なのでR3に位置づけする。

 

2014年採用 D R1

採用から3年目まだ実績も伸びておらず、仕事以外に興味が多くあり、モチベーションも低いように思えるためR1に位置づけする。

 

2014年採用 E R2

採用から3年目実績は初年度依頼全国平均には届いてないが、積極的に仕事をこなすなどやる気がみられるためR2に位置づけする。

若手社員の位置づけをしたところで、役職者をマッチングさせていきたいと思う。

 

・R1に位置するA、DをS1に位置するKに日替わり等で同行指導してもらう。

・R2に位置するB、EはS2に位置するG、Iに担当してもらう。

・R3に位置するCはJに担当してもらう。

 

以上のように担当分けし、インストラクターであるHと情報共有しながら進める事がいいと考える。

個別ヒアリングでも多くの人が話していたようにコミュニケーションの不足が育成の阻害の要因となっていると思われるので月一の時間外の情報交換会を開くとより効率的だと思う。

 

 

4. 今後の監査方法

解決策を提案してきたが今までと同様時間、営業に追われて疎かになることも考えられるのでしっかりとしチェック機能を持たせないといけないと思う。

そこで、月に1回、部長によるペア面談を実施する。そこでペアの進捗状況、意思疎通ができているかの確認を行う。四半期に1回の個別面談による育成進捗の確認。個人の意見の集約。さらに、SL理論を用い再度部類分けしペアの変更の必要性があればその都度変更。以上のことをすることによりマンネリ化もなくなり、幅広いコミュニケーションをとるきっかけにもなると考えられる。

 

 

5. まとめ、感想

今回この課題を進めるにあたって、日頃あまり話題に上がらない育成について諸先輩方の意見を聞けたことはとても貴重な体験だった。育成について、考え方は様々であったが育成の必要性は全員一致していた。ただ、その方向性や手段が組織として体系化されてなっかたため個々の裁量で育成していた。そのため後輩社員も戸惑いがあり、成長の足かせになったのでないかと考えられる。

今後は今回の課題で考察したような方法を組織として体系化し、しっかりと検証していかなければいけないと考える。そのためには、みんなの意見に挙がっているように、今まで以上の密なコミュニケーションをとることが重要だと気付いた。

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