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修了生論文

ビジネススクールで学んだことをどのように生かすか

福岡校(F-college) 上田 順恵 (株式会社上田商店 )

1. はじめに

私は創業者の娘であり、現在会社で役員に就いている。入社してもうやがて15年経とうとしている。役員に就任してからは7年だ。そしてその立場に甘んじて、今までのらりくらり過ごしてきた結果、私には何も残されていないと気付いた。総務部長取締役。その責任と役割の重大さに対し、正直、なんとかなるだろう精神で対応してきた。知識の無さを恥とは思わず、立場上、誰も咎めないのでそれに甘えてきたが、父が代表取締役を退き弟が跡を継いで2年、若い社員も増えてきてそれではダメだと思い始めた。会計を長年やっているにも関わらず、試算表も読めない。なにか尋ねられても的確な返答ができないのである。

業務に関する1日セミナーなど受けてみたが、結局は身につかなかった。もう少し自分を追い込んでみなければと思い、短期ではない長期のこのビジネススクールに参加してみようと決意した。

「自信が持てない恥ずかしい自分」と決別出来るか出来ないかは、今はまだ結論が出ていない。それはこれからの私の課題であり、数年スパンで見る自分との闘いであり、またこれはそんな自分と自社管理職のリーダーとしての素質を分析した論文である。

 

 

第1章 研究動機と君主論との出会い

 

第1節 研究動機

一番はスクールで学んだことを「自分」にどう生かすかである。そもそも自分の知識不足、能力不足、それを補う手段としてスクールに参加した為、先ず自分の成長が最優先事項だと強く認識していた。学んだことを会社に落とし込むなど、言葉は悪いが二の次であり、自分が理解、説明出来ないのに部下を導くなんていう話はもっての他だと考える。その為、研究動機は学びをどう生かすかに決めた。まず自分に生かし、それから先、社員や家族に対しどう生かすかを考えてみる。

 

第2節 君主論(N.マキャベリ)との出会い

私はこのスクールで君主論との出会いに感謝している。まさに私のウィークポイントを浮き彫りにした内容だったからだ。その内容はリーダーとしての在り方である。こんな風に自分は変わらなければいけない、という強い思いに駆られたいくつかの文章を書籍から抜粋する。そしてこのリーダーシップについての研究に重きをおくことにする。

 

1. 気前がよければいい、というものではない、ケチに徹してよい

(日頃奢られ慣れている人達はそれが当たり前になってしまい、いざ財布の紐を締めると、ケチだとすぐに陰口を叩かれる。まさに私は今、気前の良い人間であることに自身の価値を見出していた。外出した際には、ほぼ必ず差し入れを買ってくる等)

2. 過ちを見たら、勇気をもって処罰する

(場の雰囲気を悪くしたくないが為に、注意する能力にかけている。これは私だけではなく、当社の管理職のほぼ半数に言えることではなかろうかと私は思っている。良く言えばアットホーム、悪く言えば、管理職としての管理能力不足)

s3. 支配者であるための知恵を学び続けよ

(これは文章そのまま。私に一番必要なことだ)

4. 変幻自在である勇気をもて
(古き良き時代のしきたりも大事だが、自分達がおかれている状況の中で、その時代に合った最善の改善を選択することが大事である)

 

 

第2章.現状分析と評価

a)自分自身の分析

強み 1.      創業者の娘(権力がある)2.      臨機応変に対応できる

3.      社員との関係が良好である

4.      就業中、時間に多少融通が利く

 

弱み 1.      すぐ諦める2.      なんとかなる精神で現状から逃げる

3.      嫌なことは後回し

4.      高校が朝鮮学校で高校卒業資格がない

5.      知識、一般常識に関して無知過ぎる

 

スクールの授業でもあったが、強みをみつけることはとても難しい。自分の弱みはいくらでも出てくるが、これくらいにしておく。この強みをどう生かすかが大事である。

 

b)自分自身の評価

創業者の娘ということで、権力がありリーダーシップはとりやすいが、仕事は楽しくするのがモットーという思考を持つ為、楽しい雰囲気作りやキャラ作りには長けているが、ダメなものはダメと強く発言出来ない。現時点、事務所内において私の位置づけは「面白い人」である。会社のトップに寄り添い、引っ張っていく管理職としては最低ランクだと評価する。

 

 

第3章 自己改革への取り組みと自分自身と職場の変化

先ず、自分に足りないものは「注意する勇気」だと認識はしていたが、ずっと実行に移せないでいた。ダメなことはダメでしょ、と注意するだけだから本来は簡単に出来てしまうだろう。しかし、私には出来ないのである。過去十数年、面白キャラで通してきた自分にはとてもハードルが高い事なのだ。だが、学んできたことを生かすために自分の壁を壊そうと思う。

 

第1節 自己改革への取り組み

1.スクールで見た動画「AmyCuddy」を月に2回見ている。

(自分に自信がないというマイナス点を校長にカードで相談した際、次の授業で流して頂いた動画。心に突き刺さり、胸を打たれ凄く感動した)

 

2.先輩に対して注意すること。

(自分より数年先に入社している、年上の先輩がいる。仕事もでき、優秀である。が、勤続年数も長い為、馴れ合いになっているところが多々ある)

 

3.目の前に問題が起きた際、「わかりました」だけでは済まさず、内容をしっかりと認識し、それに対して自分の意見をしっかり伝えるように意識し実行している。今までは少し冗談を交えながら注意していたことも、笑わずに真顔で話すようにしている。

 

4.試算表の分析。今までは1、2分しか見なかったものが色んなとこに注意しながら見ている。

 

まだまだ取り組まなければいけない課題はあるが、スクールで学び短い期間自身が取り組んでいるものだ。これからも継続して続けていく。

 

第2節 自分自身と職場の変化

1) 自分自身の変化

以前よりも学びに対し積極的になったと感じる。現に、一緒に学んでいるスクールの仲間に「積極的になった」と声をかけて頂いた。素直に嬉しく思う。

 

2) 職場の変化

主に自身の管轄「事務所内」における取り組みと変化。自社管理職に対する取り組みと変化になる。

データとしては2週間にも満たないものであるが、取り組みとしてあげておく。

取り組み 変化
事務所ミーティングにおけるルールの再確認、徹底、先輩に対して注意する(実施日H29/1/13)

 

・対象者(本社事務員)

社員1名

パート2名

上田順恵

計4名

今まで、曖昧になっていたグレーゾーンがはっきり明確になったことで、各々気持ちが引き締まりダラダラ感がなくなった。

特に仕事中に携帯を触る、インターネットを長時間見る等をする先輩に対し、今まで幾度か注意してきたが暫くするとまたやりだすため、最終警告とし厳しく注意した。

注意した当初、慣れ合い的な距離感は少し減ってしまったが、業務への支障は全くない。

雑談等も今まで通りするが、仕事の話も多くするようになり、業務改善など実りが多い結果となった。
私自身が先輩に対し、馴れ合い過ぎた部分もあり、その行動を容認していた責任が十分にある。

自分自身を見つめ直し、深く反省したことと、問題が起きた時点で、リーダーとしてしっかり注意することを固く決意した。

取り組み 変化
管理職会議にてスクールで行ったリード診断表を実施
(実施日H29/1/16)・対象者専務取締役営業部長工場長

衛生管理者兼営業課長

計4名

 

・社長は出張の為不在

 

・管理職会議は毎週月曜日の早朝に行われる

自身がリーダーとしてどういう傾向にあるのか認識してもらい、部下に対する対応の仕方を説明。

面白いことにS4には1点も入らないという結果に偏る。私も同じ結果であった。

石田はS1~S4までバランス良く入っていた。

その結果を踏まえ、当社管理職は部下に「委任」する事が出来ないリーダーだと判断できる。

リード診断において、部下に判断を任せないといけない問題が数個あるということであったが、状況4、7の問題ではないだろうかと考える。

同僚同士の折れ合いが良好で、自分達で解決できそうな問題ならば、敢えて何も言わず見守るのもリーダーとしての資質の一つであるが、弊社にはそれが出来ていない指示型が多いのが特徴と言える。

これを繰り返すうちに部下達の考える力を弱め、上司に頼りきりの委任型社員が構築され、その結果、管理職は自分達の業務が軽減されない悪循環が生まれる。

今後、ここにも注視し各自管理職のリーダーとしての在り方を、再度課題としてあげることにする。

また部下をR1~R2に当てはめ、取り敢えず、直属部下一人にターゲットを絞り、10分ずつでいいので面談をするように指示。

結果は次回の管理職会議にて発表。

 

3) SL理論による面談

管理職の意識変化 部下
加工食品事業 工場長

(S3、S2に偏り、部下に委任できない傾向あり)

(実施日 第1回目H29.1/16)

(実施日 第2回目H29.1/21)

 

1)部下に対し、自身の「委任できない」問題を提示し、その原因を探ることができた。

2)面談前よりも細かい作業について部下との確認作業、コミュニケーションが取れている。

今後も部下から確認、報告を受けられるよう、自身のスキルアップと確認作業の強化をしていく。

 

 

 

R4(出来るしやる気もあれば自信もある)社員一名

 

1)自身に対し、上司が仕事を委任できないという問題を提示される。その「委任できない」理由を深掘りし、自身の現在の状況を振り返る。結果「確認不足、これで良いだろうという思い込み」による、ミスが多発している事を再確認。

2)以前より細かいことに気付いて、作業確認の強化に力を入れている。明確な作業内容、改善内容を提示されたことで、自身の行動目標もハッキリとしてきた。

 

加工食品事業部 営業課長

(S3、S2に偏り、部下に委任できない傾向あり)

 

1)聞き役として部下が抱えている問題や悩みを聞いた。

2)部下に考えさせ発言させる。成功体験を積み重ねさせ、部下に自信を付けさせることが責務と考える。

今後も部下達と話す機会を設け、問題解決への補助に取り組む。

「上田商店で働けて良かったね」と言ってもらえるように取り組んでいく。

 

  R3(R4よりのR3 出来るしやる気が弱く不安をもつ)

 

1)作業時間効率化に悩んでいる。上司と話すことでパート、アルバイトへの対応などを提案することができた。

2)将来主任になりたい。

 

 

第4章 今後の取り組み

a)自身の取り組み

・継続して学び続ける

・面倒くさいこと苦手なことから逃げない

・注意する勇気を持つ

・飴と鞭をしっかり使い分ける

 

挙げるとキリがないが、自分が出来る範囲で可能なことから始めることにする。

 

b)自社管理職への取り組み

・毎週の管理職会議で、君主論を数ページずつ勉強する

・各自のリーダー像を考えさせ、意見の交換、リーダー像の摺合せ

・各自のリーダーとしての能力分析

(参考資料としてエフアンドエムのパーソナリティ診断・適性診断・基礎能力診断、リーダー育成的診断プログラムや、ネットの心の翼というサイト等を使用する事にする。エフアンドエムのサービス活用を幾度となく薦められてきたが、全く使用していなかった。情けなく恥ずかしい限りである。)

 

c)部下への取り組み

・各自能力分析

・結果に基づいた対応

・意欲向上の為の仕組み作り

・営業マンのルールマニュアル化

(集金方法、困った時の対処法等、全てにおいてマニュアル化されていない為、営業マンそれぞれにバラつきが見られる。対処が後手後手になってしまうので、至急マニュアル化が必要)

・事務所内ルールマニュアル化・業務マニュアル化

(ルールがマニュアル化されていない為、ルール自体がブレる事がある。守るべきルールが自らの行動によって破られている可能性があるのでマニュアル化し、しっかりと共有する)

 

 

第5章 まとめ

ビジネススクールで学び始めて、もう5ヶ月が過ぎた。この5ヶ月間を振り返り思う事は「思い切って参加して良かった」という事である。入学して直ぐは理解できないことが多く「もう辞めようかな、やっぱり行かなければ良かった」と後悔することもあった。他の仲間達と自身を比較し、レベルの違いに恥ずかしさを覚えることも数多くあった。そんな後ろ向きな自分が変わり始めたきっかけが一つある。それはテストで最下位を取ってからである。同じグループの仲間に解答用紙を見せてと言われ、すごく恥ずかしい思いをした。

穴があったら入りたいとは、まさにこれだろう。その強烈な恥ずかしいという思いが、自分を変えたのである。

自分が出来ないことを認め、その出来ないという事実が周囲にも明らかになってしまった時、わかっているフリをする必要もなくなり、もうそれでいいのだと開き直ることができた。

それからの学びは本当に楽しいものになった。本を読む楽しさ、知識が増えていく楽しさは今までにない感覚であった。人は誰しも自分が嫌だと思うことはしたくないのが常で、そこから逃げ出したい、楽をしたいと思うのが心理だろう。

私は、このスクールでそのずるい自分に対し向き合うことができ、自分を変えるきっかけを作ることができた。リーダーとしてどうあるべきかが明確になり、管理職を育成するという目標を立てる事できた。

これからもこの学びを生かし、自社をより良い会社にする為に尽力していこうと思う。そして部下達やパート、アルバイト、またそのご家族の方にも「上田商店で働いて良かったね」という喜びや誇りを持ってもらえるようになれば、結果としてそれが自身への最高のご褒美になり、私の学びに対する評価になるのではないだろうかと思う。

 

 

※補足

社名 株式会社 上田商店

福岡県糟屋郡新宮町上府北3丁目5-1

設立 平成3年1月
資本金 1000万円
代表者名 上田活巨
従業員数 32名(パート60名)
年商 30億円
事業内容 総合食肉卸小売・食肉製品製造販売・

加熱加工製品製造販売・通販事業・

飲食事業

 

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