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修了生論文

中長期経営計画の実施と効果と実績

大阪校 (O-college)アドヴァンス 中井 節

序章

 

2016年冬から取り組み始めた、中長期経営計画の作成は、当社では初の試みであった。私にとっても会社の状況とこれからの進んでいく方向と速度を見つめなおす絶好の機会となった。当社の強み弱みをしっかりと分析し、弱みを改善し、強みを最大限に生かしながら会社の進む方向を、社員に示していくことが当社の経営に一番必要なことであると感じたからである。

当初は、第一回目の計画書であるので、まずは私が幹部社員とも相談しながらほぼ、独断で作り上げることとした。いろいろな人と相談しながら、時間をかけることも必要かと考えたが、細かな内容よりも大まかな内容でもよいのでスピードを重視した。細かい内容の変更については計画発表後、または来期に変更をすればよいと考えた。

2017年5月末に決算を迎え記録が残っている中で、創業以来の最高の売上であった。そこから1年間ごとの10年間の売上・利益・人件費などを計算していく。6月末に決算書が出来上がり、7月のボーナス支給時期に決算発表と中長期経営計画を発表した。

私が計画書を示すうえで最も重要視したことは、計画の中身もさることながら、しっかりと会社の方針を示すことであり、また示した内容を軸に事業を進めていくことである。

社員はもとより私自身がこの計画書の通り行動していくことが計画を成功に導くカギとなると考えており、この計画書を常に社長以下全社員に常に見えるところに掲げる必要があった。これをポスターにして掲示することとした。さらに、2017年の10月には計画書が網羅された社員手帳を作成し、全社員に配布した。(図1.2参照)

 

 

企業概要

 

中井機械工業株式会社は大阪本社工場を中心に東京・仙台・名古屋・上海と事業所を展開し、日本全国からアジア地域を商圏に持つ食品機械製造販売会社である。

  • 資本金 11,000(千円)
  • 従業員数 47名
  • 取締役数  5名
  • 売上規模  1,260,000(千円)45期(2017年5月31日)
  • 創業 大正4年  103年

 

「経営理念と目標」

温故知新・・・食の原点を見つめ未来を創造する

やりがいのある仕事を全員で楽しくできる会社であること

会社は、社員に対し、充実した社会生活送る為の教育を施す。

社員はその教育で得た、知恵と技術を総動員して全力で顧客の満足に貢献する。その繰り返しが、社員の生活を向上させ、会社が発展し、社会に貢献できる組織となる。

 

今後10年間の目指すべき会社の姿

〇有給休暇完全消化 残業休日出勤なし

〇従業員平均年収(総支給額ベース)45期の給与の5割アップ!

〇在庫削減(現在3億→1億)必要なものを必要な時に必要なだけ

〇保有現預金5億以上

〇営業利益率10%以上

〇新本社工場の建設

 

 

1 中長期経営計画の実行

 

中長期経営計画書実施後の社員の反応は当然気になるところではあるが、まず何よりも自分がこの計画書通りに仕事をしなければならないということである。社員は自分の鏡であるので、私が守らなければ、当然社員も守らない。私が守るべきことは、経営計画書の念頭に明記してある通り【今後10年間の目指すべき会社の姿】であり、これは私の夢であり社員との契約だと考えている。これらのことを念頭に置き、計画を進めることとした。

計画ではやらなければならないことを各部門別に決定し仕事を行う。整理整頓 発注管理 在庫管理 内作強化 製造マニュアル 営業効率化 設計効率化 事務作業の簡素化 これらの項目に守らなければならない事柄、数値目標を明記することが、大切である。しかしながらすべて項目で、数値目標を設定できておらず、目標値の設定は、次年度に盛り込むつもりである。

 

 

2 中長期経営計画書実行での社内の変化

 

1) 設計・製造効率向上

まず一番変化が生じたのは発注管理と内作強化と設計の効率向上である。これは主に製造部門と設計部門の取り組みであるが、工作機械の導入を中心に図面の3D化を行い製造コストを抑えながら、発注量も最小限にとどめて、コストダウンと在庫削減を目標とした。

当社は組み立て作業が工場の90%の仕事であった、外注先に部品を注文して組み立てる。発注先も僅か数か所に集中するため発注担当者が少しずつ多めに発注してしまう。それにより在庫量の増大と製造原価の高騰をまねき利益が圧迫されてしまい。社員全員がミスなく全速力で走らなければ利益が出ない状況が続いていた。この状態を脱却するには、一からモノ作りを行い、自社内で加工を行うことで部品納期を短縮させ、原価も抑えることが必要であった。

7月に三次元CAD・8月にレーザー切断機とブレーキプレスを導入した。今まで外注加工で購入していたものを、自社で鉄板を切断し折り曲げ、溶接して部品を作っていった。自社で製作すると外注品購入よりも約60%のコストダウンが得られた。
当社の製品は一品物が多く、よって大量に部品を作ることができない、今まではそんな部品も外注に頼っていた、仕入れ先も当社と同じような方法でしか作ることができないので、当然、仕入原価が跳ね上がる。

現在の工作機械はものすごく性能がよく、三次元CAD-レーザー切断機―ブレーキプレスと一気通貫で仕事ができるようになっており。一度三次元CADでシステムを作ってしまえば、作業講習を受けた人であればだれでも作業ができるようになっているのである。ひと昔であれば職人技であった作業が、誰でもできる作業になることは、現在のIOTの流れであると考える。

この設備を導入してからは製造と設計がうまく引っ張り合いをしながら設備の稼働率また内作率を上げてくれている。半期の中間決算では自社製品の粗利が6.5%上昇し、在庫金額は85%、金額にして36,932千円減少した。まだまだスタート後半期の結果であるので。今後も内作化が進んでいくので今年の決算が楽しみである。(図3参照)

 

2)整理整頓が高効率を生む

理整頓を朝の体操後15分を利用して全員で行っている、はじめは片づけるところ、処分するものが多くあり、苦労したが、ほぼ一年間続けたことになるが、見た目のきれいさもさることながら、社員の仕事の取り組み方が変わってきたように考える、整理整頓をすることで、部品や道具の納める場所も常に確認でき、作業効率が良くなり、整理整頓がなされていない場所の改善を要求しても、素直に受け答えしてくれるようになった。また今年一年大きなクレームがないのも、結果の表れである。

 

 

3 47期へ向けて計画書のさらなる改良のための現状分析

(ファイブフォース SWOT分析)

 

自社を改めて見つめなおし、いったいこれからは何が必要で、どこに資本を注げばよいのか。明らかにしていく必要がある。自社の将来像が明確にあるのでそれを達成するために。何が必要かファイブフォース SWOT分析を行い明確にした。(図8.9)

 

当社を取り巻く環境は、日本の人口減少とオリンピックなど各種大型イベントに起因する人手不足、海外旅行者増で生産量を増大させる食品産業の恩恵を受け、いまだ好景気の中にあるが、手放しでは喜べない現状がある。

ロボット技術や、IOT技術の発達により、異業種参入や、海外機械メーカーの国内参入などで仕事を奪われる恐れや、最終的には日本の人口減少が経営を圧迫することは明確なので、販売地域を国内から海外に比率を上げていく必要がある。

経営インプット側から見ても原材料の高騰は今後世界的に100億人社会が到来することを考えると。マイナス要因として考えざるを得ない。経営アウトプットからの視点では、後継者不在で国内ユーザーの減少と、若年世代の季節感のない生活から来る食生活の崩壊など国内においては、見通しは良好ではないことが予測できる。

自社社内に目を向けると103年目を迎える自社の知名度はあるが、技術的には一からのモノづくりを掲げ今期取り組んできたが、まだまだ知らない技術が多い状態である。さらなる技術の研鑽が求められる。営業的にみると原材料からレシピ・機械とワンストップで提案できる提案力をこれからも磨いていくことで、多くの顧客を獲得できるであろう、がしかし海外へのチャネルがまだ乏しく、国内営業だけでは成立しない時期がやってくると厳しい経営状況に立たされることは間違いない。設備的にはやはり工場が狭く、生産用の工作機械を置くことができず。解決が急務の課題である。

以上の分析により、当社の進む方向は、製造・設計部はここ数年は利益をしっかり生むことのできる生産体制の確立と、利益に産むことのできる商品開発。営業部は引き続き海外・国内に盤石な営業基盤を築き、食品以外の化学製品製造ユーザーの開拓など、各部署が目的をもって行動し、資金をしっかりためることが必要であろう。海外展開、新工場の建設、潤沢な資金がないと到達することができないからである。

それを獲得するためにも次章のKPI指数の設定および、達成は自社の計画からは外せないのである。

 

 

4 47期に向けてのKPI指数の設定

 

46期計画書ではKPI指数を目標に盛り込めず、またしっかりチェックできる数値を設定していなかった。社員としては目標がなく仕事を進めることとなっていたため、その反省も踏まえて47期は目標とチェックを行える数値を設定する。(図6参照)

 

1)内作強化のためのKPI指数

当社は機械製造の工程において板金製缶、機械加工、組み立て、電気配線と四つのセクションに分かれている。板金製缶、機械加工を社内で行う率、金額を増やしていけば、仕入が減り利益が確保される。このセクションを強化することで、経営的にも楽になる、社員が目標を持ち積極的に取り組んでもらうための毎月追いかけ可能な数字を設けることにした。

仕入れている部品を市販部品と当社で作ることのできる部品に振り分けて、その金額と自社で作った部品の金額を比較することで求められる数値を目標とすることにした。この数値を当社の社員であれば、だれでも閲覧できる、製造販売システムの中に設けることにより毎月10日以降に前月の数値を見ることができるようにした。(図4 自社製造販売システム参照)は自社システムの月次損益計算表である、最終段の内作率を上げていくには何をすればよいか。この数字を追いかけてゆけば製造工程内における利益確保の構造は担保される

 

2)営業活動におけるKPI指数

当社の販売形態は卸売りが70%、直接販売が30%となっている。卸売りは代理店販売と同業他社で毎年いろいろな案件をこなしている。直接販売は小規模ユーザーから大手ユーザーまでまた最近は食品以外の化学製品ユーザーまで広がっている。海外のユーザーも大事な顧客となっている。(図5 自社販売システム図参照)常に売上が保証されているようないわゆる流れ商品はなく、一からの売上を積み上げていく営業スタイルである。

売上を伸ばすためには、多くのお客様と出会い案件の数を増やしていこことが必要である。当社は年に20回ほど展示会に参加しており、そこで知り合う新規のお客様や、既存のお客様に商品のアピールをして案件を作り、売上につなげていく。売上を上げるために盤石な基礎を築くために。各営業担当の日々のお客様との訪問数であったり、打ち合わせをする回数を増やすことで、営業力の基礎を築くことができると考えた。まず顧客を代理店とユーザーに分類しそれぞれ、ランク付けを行い、個別に訪問回数を設定する。

 

3)有給休暇の取得奨励と効率化の両立

当社の有給休暇の消化率は2016年度40%、2017年43%となっており国の平均消化率48%よりも下回っている。【今後10年間の目指すべき会社の姿】で会社として社員に有休消化率100%を、目指ことを約束しているので、2018年度より取得増大に向けて新しい制度を打ち出した。この制度で今期は消化率50%を目指す。

50%休む計算をすると毎日2名が有給休暇を取得している状態になる。この状態で仕事をこなすには、現状の仕事内容をさらに効率向上を促進させる効果も期待している。

 

 

5 年間計画書見直しスケジュール

 

5月末 決算日

6月

7月 計画発表 ボーナス日

8月

9月 計画を盛り込んだ手帳の配布

10月

11月

12月

1月 次期計画を考え始める

2月

3月

4月 計画まとめ

5月 計画まとめ

5月末 決算日

 

当社では経営計画の見直しスケジュール表を作り実行することとした、こうすることで、常に新鮮な目標設定と計画の進捗のチェックを行い、私も自分に甘えることのないように、決められたことを事項できるように、10~20年常に新鮮な目標に全社のベクトルを同じ方向に向かわせることができるように。社員の幸せのために行動することができる。

 

 

おわりに

 

私が考える経営者像は、家族、社員、仕入れ先様、お客様、など多種多様な考えを持った人々と巡り合い、勉強し、共感しあい、そこで見つけたヒント、アイデアを最適な状態で実行に移せる人だと思っています。自分はまだまだ発展途上であるし、その頂が見えるところまでたどり着くことができるかわかりませんが、これからも精進し、今回の勉強が、一つのきづきとなり、社業の発展を果たせたらいいのではないかと考えています。

 

以下は参考図表

図1)中長期経営計画ポスターと社員手帳

  

 

図2)46期 会社の仕組みとやるべき指標

 

 

図3)粗利率比較表

 

 

図4)社内システム内の損益計算書

 

 

図5)自社システム図

 

 

図6)47期 会社の仕組みとKPI指数を盛り込んだやるべきこと

 

 

図7)ファイブフォースモデル

 

 

図8)SWOT分析

 

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