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修了生論文

10年後の理想の組織づくり

大阪校 (O-college)アドヴァンス 谷崎 高広 (株式会社 谷崎建設・設計事務所 )

1.動機

 

一昨年秋より学んだベーシックの研究論文内で計画した住宅部門「アップルハウス」は、広報デザインも変更し、フェイスブック、ブログ、ホームページで運用しています。また、今年度から新たに始めた社内イベントを計6回開催、地域のイベントに計3回参加しました。完工棟数も今期は**棟を予定しており順調に推移しています。

社内組織では、昨年4月の役員変更以降、会長が一線から退いた事により、これまでの専務としての私の業務の担い手が育っておらず直近の課題と捉えています。これまでは1人のプレイヤーとして個人の知識、技術を貪欲に学び続けてきましたが、数年前に採用の責任者となり、昨年代表取締役に就任して一段と感じていることは、私個人の力だけでは会社を発展させることはできないし、スタッフの力が無くしては運営する事も出来ません。現在の自分の役割はスタッフが知識や技術を学べる場を設けること、効率的に業務をおこなえるシステムを創ることではないかと感じています。この考えが今の当社にとって本当に必要か検証したいと思いました。

 

 

2.企業概要

 

社 名:株式会社 谷崎建設・設計事務所

祖父が63年前に徳島県上那賀町で創業しました。

 

所在地:徳島県板野郡藍住町勝瑞字成長141-23

徳島県庁より北に車で30分程です。

41年前に現在の所在地に移転しました。

 

業務内容:建設業

新築住宅の設計施工

リフォーム工事

店舗、施設の新築及び改装工事

公共工事

下請工事

 

売上高 (消費税抜き)

2013年度 000,000千円

2014年度 000,000千円

2015年度 000,000千円

2016年度 000,000千円

2017年度 000,000千円 (予測)

 

従業員数 16名

役員:4名

社員:5名

外注社員:2名

パート:2名

大工(一人親方):3名

 

 

3.問い

 

祖父が創業したこの会社を長く続けることにより、社員とその家族、お客様を守り続けたいと考えています。

その為には、まずは、「10年後を理想の組織とするには、今、何をする必要があるのか」を研究します。

 

 

4.研究方法

 

現状把握

今、考える理想の組織は、スタッフ個人の努力によるものだけではなく、組織としてスタッフの知識や技術を向上できる仕組みがあること。時代の変化に対応し今までの建設業の枠に捕らわれずに新しい取り組みができること。

また、業務をマニュアル化して効率化を図ることができる組織だと考えます。

今、必要と感じていることは、はじめに業務内容の見直しと革新です。その為には業務内容をすべて洗い出し、細分化すること。この細分化された業務を見直し、効率化を図りマニュアル化をするこが必要だと感じています。このマニュアルを利用することにより既存スタッフの育成、新規採用者の共育に利用できると考えています。

既存スタッフには業務内容の見直しと、マニュアルを使用することにより創出した時間で、新たな取り組みを行う時間として考えています。具体的には広告やイベント等の広報活動です。

また、次世代の人財育成の為に新卒採用も必要だと考えています。

現状課題は人財不足です。これまでの会長と社長の業務を担ってくれる人。具体的には、「見積り業務」、「現場監理業務」、「設計事務所の仕事」、「木造以外現場管理」、「設計を含め総括的な提案」です。この業務は他社に対しての強みでもあります。

私自身は入社後、父の背中を見ながら習得した技術です。

また、広報活動も現在取り組むべき課題です。計画的なイベント計画と予算組みを行い、イベント運営したあと、考察して次回イベントに生かす。これまでも必要だとは感じていましたが、通常業務を優先して注力出来ていませんでした。昨年より、リーダーを決め継続的に取り組み始めています。

 

スタッフの職歴と個性

スタッフA

年齢:53歳(10年後 63歳)

入社歴:10年  建設業歴:26年  職種:現場監督

個性:明るくムードメーカー

 

スタッフB

年齢:47歳(10年後 57歳)

入社歴:2年  建設業歴:17年  職種:現場監督

個性:協調性が高い、おとなしい、お客様との話しが上手

 

スタッフC

年齢:40歳(10年後 50歳)

入社歴:2年  建設業歴:2年  職種:現場監督・広報担当

個性:広告等デザインセンスがある

 

スタッフD

年齢:39歳(10年後 49歳)

入社歴:2年  建設業歴:14年 職種:設計

個性:やさしく、気が利き、人に好かれる

 

スタッフE

年齢:30歳(10年後 40歳)

入社歴:6年  建設業歴:6年  職種:大工

個性:素直で人に好かれる、病気で休職した事がある

 

スタッフF

年齢:57歳(10年後 67歳)

入社歴:13年  建設業歴:25年  職種:営業

個性:敏腕営業マン、発言力がある

 

スタッフG

年齢:67歳(10年後 77歳)

入社歴:2年  建設業歴:40年  職種:現場監督

個性:温厚、木造以外の現場管理ができる

 

スタッフH

年齢:42歳(10年後 52歳)

入社歴:20年 建設業歴:20年  職種:経理

個性:几帳面、病気と付き合いながら仕事を手伝う

 

スタッフI

年齢:40歳(10年後 50歳)

入社歴:6ヵ月 建設業歴:19年  職種:設計(パート)

個性:明るくムードメーカー

 

スタッフJ

年齢:37歳(10年後 47歳)

入社歴:18年 建設業歴:18年 職種:設計

個性:明るく、ハキハキしている

 

スタッフは2年半前に退職者1名と4名の中途採用をして従業員数が11名より14名に増えました。

この採用の目的は以下のとおりです。

 

スタッフB 私の業務を担ってもらう

スタッフC 退職者の欠員補充

スタッフD 前職場退職したことを知り、設計スタッフ増員

スタッフG 前職場退職したことを知り、会長業務サポート役

 

また、昨年4月には代表取締役を現会長より交代し、組織としても世代交代をしたばかりです。この世代交代を考えて採用を行いましたが、現在も業務の40%以上は会長と私だけで担っており、引き継ぎが出来ていません。

改めて引き継げる人財を育成する事が直近の課題と再認識しています。

 

思考補法

ロジカルシンキングとシステム思考で当社の課題を考える

この二つはビジネススクールとアドヴァンスコースで学んだことであります。授業以外にも本を読んで、学びを深めることができました。それぞれの考え方を簡単にまとめますと以下になります。

ロジカルシンキングとは、「筋道を立てて論理的に考えること」です。

ロジックツリーやピラミッドストラクチャーといったフレームワークを用いて、分析対象をより小さな単位に分解することで理解を深めようとする思考技法です。

システム思考とは、「思い込み」と呼ばれる人々の狭い見方を広げ、新しい視点で全体像を見ようとするものです、システム思考を身に付けることで、全体像を見る力、問題構造のツボを見抜く力、効果的な働きかけを考える力、組織内外で問題認識を共有する力を強めることができます。

ロジカルシンキングとシステム思考のどちらが思考技法としてよりすぐれているか、を議論することにあまり意味はありません。それは、これらの思考技法は相互補完関係にあり、それぞれ強みを発揮できる領域が異なるからです。したがって、2つの思考技法を併用できるようになることが望ましいと考えられます。

 

課題 ①

ベーシックの研究論文内で計画した住宅部門「アップルハウス」の売上拡大の為にも、新たな取り組みを行い続ける必要があります。過去2年間に取り組んだこともありますが、これまでの業務を行いながら新たな取り組みを行う事は言うまでもなく簡単ではありません。俯瞰的に業務を見直し新たな取り組みを増やすと共に、今までの建設業の枠に捕らわれずに取りやめる業務を判断することも必要だと感じます。

人員的には増えていますが、その反面、新しいスタッフには当社の業務を学ぶ場を提供することも必要です。当社の業務には特にマニュアルがある訳でもなく、個人のスキルによるものがほとんどです。新しいスタッフに技術を伝えきれておらず、クレームが発生した後に処理に時間を費やす事が増えました。最近のクレーム対応では、スタッフでは処理ができず私が対応しています。その為に私とスタッフは数日にわたる余分な時間を費やすことになりました。

改めて思うに、このクレーム対応というネガティブな時間の使い方より、事前に学ぶ時間として使う方がシステム思考的に有効ではないかと気づきました。

なぜ、既存スタッフを共育する事ができなかったのか?

一緒に仕事をしながら先輩の背中を見て自分で覚えろ、技術職は10年以上仕事をしないと一人前になれないという思い込みが業界全体にあり、共育する仕組みもありませんでした。

また、共育を提供する側もそのスキルがなかった事によるものだと思います。

なぜ、共育する場やマニュアルをつくらなかったのか?

業界全体が10年以上かけて覚える仕事だと認識している為、効率的に学べる事を考えもしなかった為だと思います。

 

課題を整理

 

課題 ②

改めてスタッフの10年後の年齢を見直すと、10年後までに退職するスタッフが2名おり、15年後を考えると3名になります。私自身も若いと感じていましたが、現在47歳、10年後は57歳です。次の世代を新規採用し共育する事が必要です。

 

採用ついては、採用する企業側からすると非常に厳しい時代となっています。徳島県内での有効求人倍率は1.41倍と高水準が続いています。たとえ採用が出来たとしても、最高の力を発揮してもらえる優秀な人財を採用する事はさらに厳しい時代です。

 

数年先の採用を目指し、計画的に社内整備と求人活動に取り組む事が必要です。また、4年後には新卒者も減り始め、ますます厳しくなるといわれています。

 

求人活動の為の社内整備や情報発信は、既存スタッフに対する環境改善にもなり、離職者防止にも繋がります。積極的な取り組みが必要です。

 

 

二つの課題をまとめると、将来を考えた継続的な新卒採用活動を行うこと。そして、新卒採用者が即戦力になれるように、効率的に技術を学べる仕組みを構築すること。既存スタッフを含め技術や知識を学べる機会を会社として設け組織全体の力を高めることです。

 

 

5.研究結果

 

問いに設定しました『10年後を理想の組織とするには、今、何をする必要があるのか』の答えは、人財育成であると考えられます。

 

 

6.今後の取組みと考察

 

ここからは、どのように人財育成に取り組むかを具体的に考えたいと思います。現在の課題を克服する為には「学習する組織」が当社には必要です。システム思考の書籍を読み進めて、出会ったのが「学習する組織」という考え方です。こちらは独自に書籍で学びました。

 

「学習する組織」は、組織と個人が目的を効果的に達成するための集団としての意識と能力を高め続けることによって、以下の3つを目指すという考え方です。

・社員一人ひとりのやる気と潜在的な力を引き出し、成長を促す

・職場をより働きやすく生産的な場にする

・会社が社内外の人たちにとって高い価値を創り出し、必要とされ続ける

 

①経営理念を成文化し社内で共有する

期限:2019年4月 発表

スタッフ自らが自発的に行動する事が何よりも大切です。現在は経営理念を成文化できていません。経営者、スタッフ個人、それぞれが会社を発展させる為に日々の業務に取り組んでおりますが、スタッフとの会話の中で私との考えのズレを感じる事が往々にしてあります。また、発言の少ないスタッフについてはどのように考えているのかも分かりません。その為にも明確なゴールを経営者自身が明確に示す必要があると強く感じています。

昨年末より、住宅部門の売上目標を達成するために「月単位の目標数」を数値化して明確に掲げ、毎週社内会議で進捗と結果を検証しています。この「月単位の目標」とは毎月の目標契約数だけではなく、契約まで至る過程についても目標数を決めました。例えば「契約棟数〇棟」、「新規プラン作成依頼〇〇件」、「新規問合せ数〇〇〇件」と細分化しました。契約棟数という大きな目標だけを目指すのではなく、それ以前の新たな顧客からの問合せの多数獲得する事も目指し、ゴールのハードルを下げ一つひとつの目標の達成とワンランク上の目標に挑む事により、結果的に最終目標を達成できる仕組み作りを目指しています。始めたばかりですが毎週の検証で私自身も腹に落ち、今後は更にスタッフに浸透し自発的に何をしなければならないかと気づき行動してもらえることを目指しています。

新たな取り組みを行う上において、人は変化することに抵抗するのではなく、変化させられることに抵抗する傾向が強くあります。変化を強い力で押し進めようとすればするほど、抵抗の力はさらに大きくなります。一方で、自ら状況を理解し、その選択肢を明確にした上で、どのような行動を選択するかを決めるプロセスに関わった人たちは、変化に抵抗せず、建設的にすすめようとする傾向があります。以上に基づき、先ずは最初に経営理念の成文化とスタッフへの浸透を目指すことが大切だと考えられます。

 

②コミュニケーションと知識を学び続けられる場を設ける

実践中

個々に仕事をして優秀な人を10人集めても、信頼関係や良質のコミュニケーションがなければ、チームの成果は個の成果の総和を下回ってしまいます。これまで私とスタッフ及び、スタッフ通しコミュニケーションを心がけて取り組んでいましたが、先日あるスタッフに「会社の雰囲気がぬるい」と厳しい意見を私にだけに伝えてくれました。確かに、会社での食事会もただの飲み会となっており、昼食もスタッフ通しで食べながら話は盛り上がっており、現状スタッフ通しコミュニケーションはとれていると感じていますが、当社が目指すべき良質のコミュニケーションではないのかもしれません。

あるスタッフの言動で気になることがあります。そのスタッフは個人の中傷を笑いも交えて話すので一時的にその場は和みます。しかし、改めて考えると、その場は和んでいるように見えても個人の偏った見方を促すようで、結果的にスタッフ通しのコミュニケーションを阻害しているように思います。また、自分自身もその人の話し方をまねして同調していたことに最近気づき改めました。このスタッフとは個別に話し合いが必要であると感じます。

会社人としての信頼関係と良質のコミュニケーションを育むこと、そして、その必要性について全員で共有する事を目指します。

スタッフそれぞれが営業、設計、現場監督の職種にとらわれず、多能工となることを目指しています。今年初めより営業スタッフが講師となり勉強会を始めました。また、現場社内検査を複数人で行いベテランスタッフから現場で学ぶ場を設けました。今後もこのような取り組みを続けたいと思います。

 

これまで私自身経営者としてのスキルアップを目指し一昨年よりビジネススクール、リーダーシップ・マネージメント研修、アドヴァンスと学び続けてまいりましたが、ロジカルシンキングとシステム思考を学んだ事で仕事の仕方や考え方が大きく変わりました。

そして、私に不足している事は学んだことの実践だと感じ、まずは実行にうつすことを最近の個人課題として取り組んでおります。今後は実行したことをしっかりと振り返り検証し、改善し、良い組織づくりを目指したいと考えております。

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