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修了生論文

ベーシックコース修了後の成果報告

東京校 (T-college) アドヴァンス 田中 翔 (株式会社ドペル )

(企業概要)

社名:株式会社ドペル

代表者:山梨 有代

設立:1983年11月

活動拠点:本社(東京都港区)、工場(千葉県君津市)

従業員数:正社員 17名

事業内容:高硬度石英成形板「アベイラス」研究開発及び製造元、国内外総発売元

その他、研究、開発、製造

 

 

1.はじめに

 

中小企業で製造業を営む株式会社ドペルは、高機能素材・高硬度石英成形板「アベイラス」の研究、開発、製造、国内外に向け販売を行っている素材メーカーである。「アベイラス」は、独自開発した技術とノウハウが蓄積されており、日々の生活のリスクや、もしもの災害時に一人でも多くの生命(いのち)を助けることができるような安心と安全を提供する製品である。当社製品は信頼と信用を確実なものとするために様々な公的試験や公的機関と共同で公開実験を実施している。

 

1.1 高硬度石英成形板「アベイラス」とは

1.透明性の高い天然の高硬度石英石(水晶)を細粒状に粉砕・粒度調整したものを基本骨材として使用

2.耐久性・耐候性・透明度・強度面に優れたMMA(メチルメタアクリレート)樹脂を固着剤として使用

3.1+2の配合での高密度成形を可能とした製造技術と量産技術が特許化されている。国内外での特許を保持し、独自の製造ノウハウによって開発された、世界に類を見ない高機能素材である

 

1.2 高硬度石英成形板「アベイラス」の製品ラインアップ

1.アルシオール(蓄光製品):紫外線を吸収し光を蓄え、暗くなった際にその光を発光する製品

2.アンプロップ(防滑性品):日本ではノンスリップと呼ばれる滑りを防止する床材

3.ポリッシュ(磨き製品):天然石の光沢と深みを持つ床壁材・ワークトップ材

 

1.3 高硬度石英成形板「アベイラス」の基本物性

1.表面硬度が極めて高いため、傷がつきにくく、耐摩耗性に優れている

2.吸水性が殆ど無いため、汚れや臭いが染み込みにくく菌の繁殖が無い。衛生面に優れている

3.耐候性・耐酸性・耐アルカリ性に優れている

4.耐汚染性に優れており、凍害が発生しにくい

5.酸性雨に侵されにくく、キッチン・風呂場・トイレ等での薬液洗剤に侵されにくい

 

 

2.入学理由

 

アベイラス製品という世界中に普及しなければならない製品と出会い、3年前に当社に転職した。

入社から約1年後、取締役としてまずは製造工程について学ぶため、千葉県にある工場へ東京から引っ越すことを決心した。しかし、工場での勤務が始まって数日で分かったことは、工場側は会社という組織になっておらず、うまくマネージメントが出来ていなかった。当社は創業30年以上の会社であり、根本的な部分はしっかりしていると思い込んでいた。現状は程遠く、最終的には妻と工場のマネージメントの立て直しを行うことになった。

異動当時は、従業員を教育する場がなく、職場の雰囲気は非常に暗く、世界に類を見ない製品を製造している工場とは思えない状況であった。このようなマイナスオーラをプラスオーラに変える改善業務は、これまでサラリーマンとしてやってきた仕事とかけ離れており、正直困っていた。将来の方向性を考える中、まずは会社経営とは何か、どのように組織をまとめたら良いか、従業員と共に目標に向かって進むにはどうすればよいのかを学ぶ必要があると思い、F&Mビジネススクール・ベーシックコースの参加を決めた。

ベーシックコースではピンポイントで指摘する校長や、様々な困難を乗り越えながら少しでも前進しようとしている他の経営者に出会い、常に刺激を受け続けた。私の周りには経営者の立場にいる友人や知人がいないため、ビジネススクールで出会った仲間たちから引き続き刺激を受け、一緒に学び、自分自身としても成長をしたくアドバンスコースを受講しようと考えた。

 

 

3.研究動機

 

ベーシックコース修了時、スクールで学んだトピックスを用いて当社分析を行い、それらの課題を洗い出し、どのように自分自身が当社で貢献できるか整理した。この修了論文では、ベーシックコース修了後の取り組みの成果を報告している。

 

 

4.ベーシックコース修了後の取り組み

 

冒頭でも述べたが、現在私のミッションは引き続き工場のマネージメントを立て直すことである。その立て直しには幾つもの改善点があり短期的、長期的に分けることができるが、まず、ベーシックコース修了後の取り組みは下記4つである。

 

改善点 いつまでに どのように
理念・ビジョンの共有 10月末 全体会議で理念やビジョンの重要性やどのような理由で今に至るかを明確に説明する。毎週のタッチベースの際に確認し、抜き打ちテストも実施。
意識や危機感の共有 12月末 現在の課題として理解しているものの、会社として解決すべき重大課題であることを認識させ、理念やビジョンを踏まえたうえで、業務に対する意識付けの教育やしつけを再度強化する。現在実施しているタッチベースは15分に限らず、徹底的に話し合う。
人材開発 未定

(従業員の経験値による)

工場内の機械は自動であるものの、機械トラブルに対応する知識や、職人技が必須になる工程が多いため、育成には時間が掛かる。機械トラブルは過去の事例をテストし、どれだけ迅速に対処できるか抜き打ちテストを実施。職人技が必要になる工程に関しては、閑散期に練習の時間を設け、職人レベルの社員の指導の元、スキルアップを試みる。
新商品開発・イノベーション 2018年中 高性能素材の本質は変えずに、どのように上手く破材を利用するか社内で検討。ただアイディアを出すだけではモチベーションが上がらない可能性があるため、採用されたアイディアに関しては賞与を出す。

 

 

5. 取り組みの成果報告

 

5.1. 人材開発

5.1.1. 現状

当社工場は事務作業や同じ作業を毎日行う工場とは違い、毎日違った作業を行い、工程が非常に多いため人材育成が非常に難しい。各工程をマスターするには時間と経験が必要であるため、ある意味職人業である。基本作業ができ、且つ基本的な機械のメンテナンスやトラブル対応ができる職人になるには最低でも3年は掛かる。

当社製品を販売するには、製造する必要があり、現場の従業員が非常に重要な人材である。工場内の機械は自動であるものの、機械トラブルに対応する知識や、職人技が必須になる工程が多いため、育成には時間が掛かる。これまでは現場の従業員はオールラウンダーとして工程すべてのスキルアップを目指していた。本来、各従業員が各工程をパーフェクトにできることが望ましいが、各従業員の全工程のスキルアップを同時に上げるには時間だけかかってしまうため、各従業員に一番適している作業のレベルからスキルアップすることをベーシックコース後から取り組んでいる。

初めて早々のため結果は出ていないものの、各従業員の責任感や意識向上に結びつくのではないかと考える。

 

5.1.2. 求人

生産量を上げるためには新しく人材を増やす必要がある。当社は昨年から求人を出しても集まらないという問題を抱えていた。そもそも応募がなく、応募があったとしても当社の人物像からかけ離れた方々であった。この問題を解決するに当たり、採用に関する条件を社内で再度見直し、週休2日(年間休日105日)から完全週休2日(年間休日約125日)へ変更した。近年多くの求職者は給料より休日を重視しているため、私は2年前から完全週休二日制度を提案していたが、経営陣の反対もあり実現できていなかった。

しかし、今年1月、休日の見直しが承認され、1月末からウェブ媒体のスタート時から正式に週休二日制度を導入することになった。結果、ウェブ媒体やハローワークから応募が多くあり、3週間で3人正社員として採用が決まった。応募数の変化に関しては、休日の見直しと春採用の時期が重なったことではないかという結論になった。この結果は社内でも非常に満足する結果であった。

 

5.1.3. 今後の動き

採用後に重要になるのは定着、そして人材開発である。上記で述べたように、職人レベルの社員に育て上げるには時間が掛かるが、今後のモチベーションを下げず定着させることが

当社での大きな課題である。新入社員以外の従業員は引き続き機械トラブルに関しての過去の事例をテストし、どれだけ迅速に対処できるか抜き打ちテストを実施する。職人技が必要になる工程に関しては、閑散期に練習の時間を設け、職人レベルの社員の指導の元、スキルアップを引き続き試みる。

 

5.2. 新商品開発・イノベーション

5.2.1. 現状

現時点では新商品の開発・イノベーションは取組中である。お客様から高性能素材の本質は変えず安価な製品が欲しいという要望等もあるが、高品質さを維持するためには現在使用している原材料を引き続き使用する必要があり、なかなか要望に答えられていない。加えて、当社製品は他社製品と差別化を図るため、低価格で提供しようとは一切考えていない。

しかし、少しでもお客様の要望に応えられるよう今年に入ってから当社特有の技術を活かした新製品の実験を繰り返している。当社製品は「安心・安全」を提供するため、新製品の実験は入念に行い、微妙な配合や加工方法をテストしている。防滑製品は滑り抵抗値という係数があり、当社防滑性品は独自の係数等の基準を超える必要があるため、検証するために時間が掛かってしまう。

 

5.2.2. 今後の動き

新商品の開発以外にも、取り組みのひとつとして破材をどのように上手く利用するかも検討中である。当社は通常BtoB製品として販売しているが、現在検討中のアイディアは社員を巻き込みながら、BtoC製品として販売することだ。BtoBの場合、生産量が多い上、ロット数も少なくはない。しかし、BtoCの場合、数量限定でネットを使用し販売が可能となる。現在当社ホームページのリニューアルを行っており、BtoCに対応できるコンテンツを検討している。このBtoC製品として販売することは当社の「安心・安全」製品の提供ではなく、デザイン重視の建材の領域にたどり着くのではないかと考える。この新しい破材を使用した製品の商品化や、デザイン重視の製品を提供していくことが、当社にとってのイノベーションになるのではないかと考える。

 

5.3. 理念・ビジョンの共有、意識や危機感の共有

5.3.1. 現状

私が工場に2年半前に異動してきた時から、ベーシックコース修了時とベーシックコース修了時からの半年を比べると、従業員は確実に良い方向へ成長している。組織や風土も更に改善されており、理想なレベルに近づいていると考える。着実にレベルが上っている理由としては、理念や仕事に対する意識の共有が挙げられる。理念に関しては休憩室など見える化し、その重要性や理由を説明した。また、製造業であるにも関わらず、品質方針やその目標を共有していなかったため、理念の説明と共に共有した。新入社員が入社した際には、オリエンテーションの一環として、理念の説明・共有の時間を取り、浸透させるよう心掛けるようにしている。意識に関する課題に関しては毎週設けている「タッチベース」という面談を通して各従業員に徹底的に話し合った。一方的に話すのではなく、円満なコミュニケーションを取ることにより、少しずつ改善されていると考える。

 

5.3.2. 今後の動き

理念・ビジョンをただ共有するだけでは、以前のように共有したけれど忘れてしまう状態になってしまうため、現在できていない抜き打ちテストなどを実施しようと考える。意識に関する課題も引き続き取り組む。新入社員が4人入社したが、特に現場の3人は既存の従業員の態度や行動を敏感に察知するはずなので、これまで以上にレベルアップしなければならない。これまでと同様、「タッチベース」を通してコミュニケーションを取っていくことが一番の鍵になってくるのではないかと考える。

 

 

6. 今後の対応

 

半年前に掲げた取り組みや改善点を見直すと、上手く行ったところや、まだ足りないところが明確になっている。取り組んだ4点の改善点はすべて解決したら終わりの課題ではなく、情報を共有しただけが終わりでもない。進行中の課題であり、引き続き各取り組みを前進させ、半年後に再度見直したいと考える。

 

 

最後に

 

アドバンスコースを受講しただけでは何もならない。重要なのは仲間に励まされたこと、刺激になったこと、学んだことをどう自分や当社に落とし込むかである。今後もGGBKし、当社で従業員に刺激を与えることができるような人材に成長したい。

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