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修了生論文

自社の現状分析と今後の経営戦略(ラブホテル事業)

福岡校 (F-college) 石井 大治郎

1,動機

 

我が社は創業から45年、会社設立から33年の歴史を持ち、ホテル業界では老舗といえます。私がこの事業に従事してからは17年目になりますが、それなりに安定した利益は出しております。

しかし市場としては縮小の傾向にあることやラブホテルという業種の持つ特殊性から、将来に対して不安を感じることがありました。

実際、風営法関連事業の為、①助成金や政府からの補助金がない。②金融機関からの借り入れが難しい③法規制が厳しい。等の根本的な問題を抱えており、今後会社として、また企業人として成長していくために、どのような方法をとるべきか非常に悩んでいました。そういうときF&MからのFAXをたまたま目にし、現状を打破するべく今回の受講の運びとなりました。

 

1-1 経営理念

正直な話、理念やコンセプトはまだありません。しかし受講をする中で、特にグループワークのリーダー研究で会社における理念の大切さを学びました。

未だはっきりしたコンセプトはありませんが、仲間と一つのモノを作り上げていくうち、みんなの笑顔が私にとっては大変な喜びであり、生きる原動力になるものだと思えました。

そこで、「お客様の笑顔、我々の笑顔を喜びとし、企業活動を続ける中で社会に貢献しよう」(仮)を基本理念といたします。

 

1-2 ビジョン

ホテルとしては1店舗しかなく、小さな会社ですが、オンリーワンのホテルを目指し、お客様に安心して利用して頂きながら、地域に貢献できるような経営を行っていきたいと考えています。

 

1-3 経営戦略

①ホテル事業を軸にして新しい事業である民泊業に取り組み、そこからのフィードバックを得る。

②ウェブ化や今までなかったシステム(携帯電話によるポイントカード等)を進めることで集客力を上げる。

③新たなサービスを行い、売り上げUPに貢献する。

以上を戦略とし、これまで以上に魅力的で安心できるような店舗づくりを進めます。

 

 

2,企業概要

 

設立(創業) 昭和60年1月29日(昭和47年4月)
所在地 福岡県筑紫野市立明寺503-9(筑紫野インターそば)
社員数 18名
資本金 400万円
業務内容 ホテル経営、アパート・マンション賃貸、民泊業
物件数 1店舗、1物件

 

 

3,問い

 

現在の経営戦略が妥当であるか、以下の方法で確認していきます。

 

 

4,研究方法

 

外部環境分析においては『ファイブフォース・モデル』による業界分析を行います。

また内部環境分析として、『SWOT』による当社の強み・弱みを明らかにし、強みを活かした経営戦略を進めていきます。

 

 

5,研究結果

 

先ずはファイブフォース・モデルにおいて現在のホテル業界分析を行います。

 

図1、ファイブフォース・モデルのイメージ

 

 

業界内の脅威

①大手ホテルグループによる囲い込みが強い。自動精算機を使ったメンバーズカードや来店回数によるサービスができる。

②新規参入ホテルの安売り戦術。

③M&Aによる参入の場合、資金力が高い投資家とノウハウを持ったコンサルの組合わせが多く、ライバルとしては強力な場合が多い。

④慢性的な人手不足。(外国人労働力も法的に規制されている)

 

新規参入者

①法律の規制により新規ホテルは建設出来ない。しかし、ビジネスホテル登録で類似ラブホテルの経営をする参入者がある。

②設備投資にかなりの金額がかかるが、資金力を持った新規参入者が多い。

③風俗営業の枠になるため人気はそこまで高くないが、参入者は利益重視の激しい営業をすることがある。(例えば久留米ICエリアでは競争が激化し、ダンピング合戦になった経緯がある。)

 

売り手の交渉力

①特殊な業界のため、建設コストが高い。

②建設業からの市場参入が多い。

③金融機関からの借り入れに厳しい制限がある。(地方銀行でもコンプライアンス遵守という名目で、ラブホテル業には一般的に融資をしない。)また、政府からの助成金等は一切支給されない。

④ 歯ブラシなどアメニティ商品に関しては競合が多いので、比較的安い。

 

買い手の交渉力

①顧客はネットによりホテル情報を得やすく、他者との比較がし易い。

②代替品が多く、様々なシチュエーションで選択の余地が増えている。

③車移動でない場合は買い手の交渉力は低い。ただしホテル集中エリアが多いため、選り好み出来るケースが多い。

 

代替品・サービス

①住環境の改善により、顧客の利用が減っている。

②ネットカフェ、貸し切り風呂、レンタルルーム、マンガ喫茶など、代替品が増えている。

③さらに代替品の値段は安く、利用しやすい。

 

この分析結果から考察すると、市場は縮小の傾向にあること、助成金や借り入れなどの資金繰りがしづらいこと、代替品が増加していること、など業界の事情は決していいものとはいえないと考えられます。

このように厳しい状況の中ではありますが、『SWOT』分析により内部分析を行い、どのような強み・弱みがあり、特に強みを活かしてどのように当社が生き残っていくか、戦略を示していきます。

 

 

表2,SWOT分析結果

内部環境 強み(S) 弱み(W)
①太宰府・筑紫野エリアでは唯一のラブホテル

②すぐそばにイオンモールがある

③インターチェンジに近い。

④JR・西鉄共に駅より徒歩10分圏内

⑤アットホームな雰囲気

⑥1店舗経営でフットワークが軽い。

⑦新しく民泊を始めることによるフィードバック。

①建物の老朽化が進んでいる。

②エレベーターがない。

③部屋浴室が手狭である。

④部屋数が少ない。(15部屋)

⑤回転ベッドなど、売りになる派手な設備が少ない。

⑥自動精算機がない。

⑦ウェブ化があまり進んでいない。

外部環境 機会(O) 脅威(T)
①狭いエリアでの囲い込みが可能(新規参入が少ないため)

②イオンの利便性を利用できる。

③高速道利用者の集客ができる。

④駅利用客(徒歩)の集客ができる。

⑤⑥小回りの効いたサービスが提供できる。

⑦民泊業で得られるノウハウをホテルでも活かす。

①大手ホテルグループの進出

②ネットカフェ、貸し切り風呂などの代替品の増加

③お客様の中央部(福岡市)への流出

④金融機関からの借り入れが難しい。

 

マイナス要因を克服するアイデア
 

 

 

内部環境

弱み(W)への対策
①②③④⑤建物に関して

現在設計士と相談して、「どこまでの修繕ならば法規制のある『構造変更』に当たらないのか」と、「老朽化した建物を補強する方法」を調査しています。

④⑤⑥設備の不足に関して

これらは充足することが難しいので、逆に「古い手法だが暖かみのあるサービス」で対抗しようと思っております。例えば電話応対や現金の受け取りなどお客様に直接話しかける機会において、暖かみのある応対を徹底すること。また食事やプレゼントや企画など、様々なサービスを月ごとに切り替えながらやること、などです。

⑥⑦システムに関して

⑥精算機がないという問題に関しては新しいシステムを検討しています。

ホテルでは精算機に差し込むカードから割引をしたり、顧客管理の情報を得たりします。これが主流なのですが、新たに携帯電話を使用したポイントサービス「Sappli」を使い、そこで割引や顧客管理が出来るシステムを利用し、それを活用いたします。

⑦民泊業ではブッキングドットコムなどの宿泊予約サイトで集客を増やしているのですが、そこで得たノウハウをもとに、ホームページの改善と予約のシステムを導入します。また⑥で使うソフトウェアと連動させ、ポイントシステムやアンケートを収集したいと思っています。

外部環境 脅威(T)への対策
①ホテルグループのとるものと異なる戦略を展開します。ここでは携帯電話によるポイントカードの使用です。内部環境において説明した携帯電話のポイントサービスは近隣のホテルグループは使用していません。なぜなら、すでに精算機使用のため必要がないからです。

②代替品にない部分の強みの宣伝を行います。

ネットカフェや貸し切り風呂などにないものは、やはりベッドです。今まで通り、マットレス等はいつも一流メーカーのモノを使っていますが、お客様にそれを知って頂く機会はあまりなかったので、部屋にポップなどを置き広報します。枕・ベッドスプレッド・ガウンなどの肌に触れるモノは常に新しく、清潔な物をそろえていることをできるだけ宣伝したいと思います。

③お客様の中央部への流出に関してはやむを得ない部分がありますので、筑紫野・太宰府エリアならではのサービスを考えるつもりです。

④金融機関からの借り入れ制限に関しては、不動産・民泊事業の利益や設備を利用して、ホテル運営にかかる費用を下げていきます。

 

 

6,結果への考察

 

SWOT分析の結果、当社の強みから導き出される戦略として、新たに民泊事業を始めることから得られるメリットは大きく、そこからウェブ化や新しいシステムを取り入れることは戦略として妥当であると考えます。また弱点である自動精算機を使っていないことからくるデメリットを逆に当社の特徴であるととらえ、お客様と接することを積極的に取り組んでいく姿勢が必要であるのではないかと考察します。

よって経営戦略の①ホテル事業を軸にして新しい事業である民泊業に取り組み、そこからのフィードバックを得る、②ウェブ化や今までなかったシステム(携帯電話によるポイントカード等)を進めることで集客力を上げる。に関しては妥当であると思われます。

次に③新たなサービスを行い売り上げアップに貢献するという戦略ですが、新しいサービスをするというよりは今までやっていた基本的なサービスをもう一度見つめ直し、さらによくすることが必要だと考えられますので、③電話応対や接客の質を高め、その上で新たなサービスに取り組む、という戦略に変更いたします。

 

 

7,今後の取り組みと監査

 

戦略①民泊事業に関して

現在コンサル会社と建築会社との協議で、施設の内部デザインを進めています。またシステム面において、ブッキングドットコムなどの予約サイトの管理についてなど、ウェブ化の戦略を進めていきます。

デザインは部屋内装に、予約サイトの設定は有効であるかを検証しながら、ホテル経営にフィードバックしていきたいと思います。監査の方法としては、現在契約しているデザイン会社やホームページ業者にセカンドオピニオンとして相談しながら、妥当であるかを判断していこうと思っています。

 

戦略②新しいシステム及びウェブ化

実際に携帯電話のポイントサービスを導入して、実践していきます。現在あるホテルコンピューターのシステムを利用して、比較的安価なコストで出来ることが分かったのです。

このサービスが成功すれば顧客の囲い込みや情報の管理、アンケート集計がし易くなり、また近隣の競争相手との差別化が図れると考えます。ただし、使用となるとお客様にアプリをダウンロードしてもらう必要があり、そのハードルをいかにして越えるかが、今後の課題です。

監査方法としては月々のアプリの利用件数をチェックし、月に一度状況の確認と促進会議を行いたいと思います。

 

戦略③電話応対等の接客の質を高め、新たなサービスに取り組む

スタッフに、以前電話応対業務を行っていた者がおり、彼女を中心にして接客の質の向上をはかるミーティングをしようと思います。また、商工会を通じて接客のプロによる指導を受けることも考えています。最近、各種プレゼントサービス(現在花粉の時期のため、包装されたマスクをプレゼントしています。)を行う上で、できるだけお客様に手渡しすることにしました。

お客様の反応を直接受けるため、スタッフの意識改善になったと考察します。とくに喜びの反応をもらった者は、さらに言葉遣いや表現に気をつかう様になりました。監査方法としては電話内容を録音できる装置を設置しました。録音した内容を確認し、スタッフにも聞かせることで、質の向上を図っていきます。

 

 

8、終わりに

 

今回の論文をまとめていく中で、非常に考える時間が長かった気がします。普段当たり前のように考えていることもなかなか上手く表現できず、説明することの難しさを感じました。考えるほどに論理性のなさや視野の狭さを感じました。

しかし、きっとここからがスタートですね。このスクールで学んだことを活かし、どんどん実践、がんがん勉強(DDJS GGBK)していきます。

最後にここで知り合ったF-COLLEGE3期生の仲間、F&Mのスタッフの方々、そして先生とのご縁に感謝しつつ筆を置きます。

みなさん、本当にありがとうございました。

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