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修了生論文

「自社の現状分析と経営戦略」

福岡校 (F-college) 彌吉 悠志 

1.動機

 

私は、2016年度に父よりLPガス供給販売会社を事業継承しました。それまでは、小さい会社ですので役職もなく、現場での仕事が基本でした。現場での経験しかない私は、経営者としては無知のかたまりでした。もともと現場主義の考えでしたので、現場の事は極めたいと言う思いがあり手に血と汗を沢山流しました。ですが、社長業を始めて様々な人に会う機会が増え、現場と経営は大きく異なることを思いしらされました。

ゼロからのスタートで経営を勉強して、経営力と現場力の二刀流の強い会社にしたいと思いF-collegeに入学を決意しました。授業が進むにあたって経営戦略とは何か?を学ばせていただき、その中でファイブ・フォース・モデルによる業界分析とSWOTによる分析に基づいて現在の会社の社内外状況が分かり、これからの経営戦略に役立てると考えました。当社の現状分析と経営戦略を下記に記します。

 

 

2.会社概要

 

会社名 合資会社 西牟田食販店
創業年月日 1969年2月1日
所在地 福岡県筑後市西牟田1836番地
資本金 500万円
社員数 8名(内パート1名)
商圏エリア ガス・他:福岡県南部(筑後地方)※距離30キロ圏内と法で定めがある

FHS温水床暖房:福岡県・佐賀県・熊本県・大分県(一部地域除く)

業務内容 LPガス供給販売、ガス機器・FHS温水床暖房、家電製品の販売取付け工事ガス・水道配管工事、住宅設備リフォーム、灯油、水(ウォーターサーバーレンタル)配達、ガス検針・集金・保安業務等

 

 

3.問い

 

主力事業でもあるLPガス事業(以下ガス事業)と2017年度より開始事業のFHS温水床暖房(以下床暖房)、ウォーターサーバー事業がどのような現状かを踏まえて、今後どのような経営戦略をとるべきかを問いとします。

 

※業務内容の家電製品の販売・取付け工事、水道配管工事、住宅設備リフォーム、灯油配達においてはこの研究結果をもとに研究・確認をとりたいので今回は対象外とします。

 

 

4.研究方法

 

ガス事業の業界分析として、「ファイブ・フォース・モデル」を活用し、ガス事業と2つの事業(床暖房・ウォーターサーバー)をそれぞれ社内外の環境分析方法「SWOT」を活用します。それぞれの強みを活かし、チャンスを得ることで、2つの事業をガス事業とどのように結ばせて経営戦略を行っていくのかについて研究します。

 

 

5.研究結果

 

ガス事業の業界分析をするため「ファイブ・フォース・モデル」による分析結果を図1に示します。

 

図1.ファイブ・フォース・モデル図

 

 

■業界内の脅威

1.地域外の他業者(地域他業者とは長期的な友好関係を築いている)による、ガス供給の切替え
2.省エネガス給湯器によるガス量の減少
3.既存顧客の高齢化、若年層のシェアが確保出来ていない。

 

■代替品

1.住宅市場を中心にオール電化が進んでいる。
2.近郊市街地を中心に都市ガス会社がマーケットを広げている。(都市ガスはLPガスと異種である)

 

■新規参入者

1.LPガス事業の参入は自由だが、初期投資が高額、保安基準が高いため、新規参入の障壁は高い。

 

■買い手の交渉力

1.インターネットによる、ガス機器製品の販売価格比較や情報収集。
2.量販店による、ガス機器製品の販売。

 

■売り手の交渉力

1.卸会社を競合させてガス及びガス機器製品と安価な仕入れをしている。
2.卸会社、メーカー共にガス機器製品の在庫を常にストックしている為、3日以内に納品可能である。

 

この分析結果を考察すると、省エネ、少子高齢化によるエネルギーの減少傾向と、エネルギーの競争、争奪戦が起きている事を考えます。この競争市場の中で、「SWOT」による分析方法を活用し、強みを活かし、主力のガス事業をどのように継続していくのか、2つの事業を主力事業とどうのように結ばせていくのかについて研究し、主力事業と2つの事業の経営戦略を確認します。

 

 

6.研究結果1-1

 

ガス事業の社内外環境を分析するため「SWOT」による分析結果を表1に示します。

 

表1.「SWOT」分析の結果

 

プラス要因 マイナス要因
Strength:強み Weakness:弱み
A:全てのガス機器製品(戸建住宅から業務用まで)販売、取付け、配管工事ができる。

B:ガス供給に特化した永年固定客がある。

C:年に1、2回販売した製品の訪問点検・使用アドバイス等を実施している。

D:保安点検(検針は毎月)の際、お客様宅内(敷地内)に入る事ができ、会話、接点が密接にとれる。

E:ガス保安に伴う24時間受付態勢を整えている為に瞬時に対応できる。

F:製品が故障、修理不可能時に代替器を仮設できるレスキュー体制を整えている。

あ:社員数が少ない。

い:自社のホームページがない。

う:最新のガス機器製品を体験できるショールーム、展示スペースが社屋にない。

え:顧客高齢化、若年層が少ない。

Opportunity:機会 Threat:脅威
a:消費者のガス料金高値の不満

b:ガスならではの製品提案(床暖房、衣類乾燥機、ガスファンヒーター)

c:暖房製品はガスが有利(速暖性が高く、暖房能力が高い)なため拡販しやすい。

d:オール電化に負けない省エネガス機器製品の登場

ア:電力会社、ガス外業者からのオール電化への切替え攻勢

イ:同業他社とのガス供給切替え、競争

ウ:省エネガス機器製品によるガス量減少

 

 

この分析結果を考察すると、当社の強みC、Dはお客様と顔を合わせての会話、交流ができE、Fを兼ね備えている事で当社とユーザーの信頼関係がさらに向上するので今後も継続して取組みたいと考えます。またBにおいては改めて魅力的だと確認ができます。それは、ガスを利用し、契約が続く限りメーターを設置するので毎月の基本料金+使用料の収益が固定収入としてある事です。

機会aついては、今後のガス事業を生かしていく上での経営戦略の中でも重要ポジションだと考えます。強みBで述べたように、基本料金+使用量が大半のガス事業者において通常の請求方法です。近年は通信、電力業界には料金メニュー(お得プラン)等があり、使用料金にも魅力を掻き立たせています。ガス料金の新しいプランとしての戦略は、最新のガスメーターと検針端末機を活用しお客様が製品別に使用したガスの使用量に対して個別に積算をします。

簡単な例を■図1へ示します。ガスコンロとガス給湯器(お湯をつくる製品)ではガスの消費量が全く違い、ガスコンロに対してガス給湯器はおおよそ4~5倍程ガスを消費します。その使用した製品のガス消費量の違いで使用料金の単価が同じであるとユーザー目線に切替えて見ると損をした気分になります。製品使用別に個別に積算する事でガスコンロとガス給湯器の使用単価を別々に設定する事により、製品使用者別(ガスコンロ、給湯器、ファンヒーター、床暖房等)にお得になり、ガスを沢山使ってくれるユーザーほどお得になるプランです。したがって検針票・請求書に使用状況とお得になった分の金額の見える化をする事で、ガスの使用付加価値をつけ、他ガス業者との差別化を図る事で脅威イの対策にもなると考えます。

また脅威ア、イの対策では強みC、D、E、Fを今後も継続して取組み、心からのお付き合いが出来る事で、他業者からの攻勢を受けた時に何かしらの相談をしていただくと考えます。お客様がオール電化を望まれるなら、当社自らオール電化を販売する事でガス外ユーザーとしては残り続けます。オール電化のユーザーに対してガスの強みC、E、F、のフォロー体制をとることで、衣類乾燥機、冬期のみでのガス暖房提案のチャンスが生まれます。季節限定契約が出来れば0(ゼロ)を1(イチ)にする事が可能であり、ガス量アップにも繋がります。ユーザーへ新ガス料金プランでのガスの使用付加価値を提供し、より親密な関係を作っていくことが今後のガス事業を生かしていく事業戦略だと考えます。

 

■図1.従来ガス料金プランと新ガス料金プランの違い

 

 

 

6.研究結果1-2

 

続いて2つの事業の社内外環境を分析するため「SWOT」による分析結果を表2に示します。

 

表2.床暖房、ウォーターサーバー事業における「SWOT」分析結果

 

プラス要因 マイナス要因
Strength:強み Weakness:弱み
A:全てのガス機器製品(戸建住宅から業務用まで)販売、取付け、配管工事ができる。

B:ガス供給に特化した永年固定客がある。

C:年に1、2回販売した製品の訪問点検・使用アドバイス等を実施している。

D:保安点検(検針は毎月)の際、お客様宅内(敷地内)に入る事ができ、会話、接点が密接にとれる。

E:ガス保安に伴う24時間受付態勢を整えている為に瞬時に対応できる。

F:製品が故障、修理不可能時に代替器を仮設できるレスキュー体制を整えている。

あ:社員数が少ない。

い:自社のホームページがない。

う:最新のガス機器製品を体験できるショールーム、展示スペースが社屋にない。

え:顧客高齢化、若年層が少ない。

Opportunity:機会 Threat:脅威
a:消費者のガス料金高値の不満

b:ガスならではの製品提案(床暖房、衣類乾燥機、ガスファンヒーター)

c:暖房製品はガスが有利(速暖性が高く、暖房能力が高い)なため拡販しやすい。

d:オール電化に負けない省エネガス機器製品の登場

ア:電力会社、ガス外業者からのオール電化への切替え攻勢

イ:同業他社とのガス供給切替え、競争

ウ:省エネガス機器製品によるガス量減少

 

 

この分析結果(床暖)を考察すると、強みA、B、Cは事業戦略における商品・サービスの強みとして非常に高いことが確認できます。簡単に商品説明をしますが、当社の取扱う床暖房商品は他メーカー商品の欠点を見直された新しい商品であります。他メーカーでは出来ない吹抜け住宅対応でエネルギーを選ばず、暖房パネルは耐久性30年程あり、自由設計で土足での空間にも対応できる温水式床暖房です。この商品を取扱っている会社は地域では当社だけで、県南地区でみても3社の内の1社です。現在、夏の冷房マーケットは、ほとんどエアコンが独占しており、部屋を涼しくしてくれる「主冷房」となっています。

しかし暖房マーケットにおいては様々な商品があり定着、独占がありません。暖房商材の中でも床暖房は、沢山のユーザーから、理想の暖房商品と好評があります。それは床暖房が足元から温めるからです。エアコンは足元が寒く上半身しか温めてくれません。当社の取扱う床暖房は他メーカーの床暖房と同じで足元から温めますが、もう1つ違うところがあります。それは遠赤外線効果による放射温度です。放射温度が高いと部屋全体を効率よく温めてくれます。

■図2にエアコンと床暖房の温度分布を示します。■図2のエアコンの温度分布とは逆に床暖房は2階天井まで暖かい温度が行き渡っているのが分かります。ここで床暖房は部屋全体を温める=「主暖房」としての位置付けができます。「主暖房」を床暖房事業の経営戦略の核として考え、機会a、b、cの様々なガス物件又はガス外エネルギー物件に攻め入ることができます。床暖房は温水式でお湯を作る機器がエネルギーを選ばないので、エアコンを使用しているオール電化物件(新築、既築戸建て住宅)、オール電化により離れていった顧客、様々な事業所にガスからではなく床暖房からのガスを提案することで、ガス事業と結ばせる事が可能と考えます。ガスが不可の場合でも床暖房の商品・工事費としての収益はあり、ガス事業に見習う販売後のアフターケアとして、製品点検、使用アドバイス、故障時の即対応等をする事で信頼関係作りができると考えます。

 

■図2.エアコンと床暖房の温度分布図

 

 

※エアコンは足元が冷え、人の位置(上下)に温度のムラができるので電気カーペット、ハロゲンヒーター、ストーブ等を兼用で使用しているパターンが多い(オール電化物件は、このパターンが多い。)

 

続いて分析結果のウォーターサーバー(WS)事業を考察すると、強みDは床暖房と共通していることが確認できました。簡単に商品説明を■図3に示します。当社のWSは、他社の取扱う商品と比べ水の容器がボトルタイプではなく圧縮パックタイプになっています。外部の空気を取り込まないため容器への浮遊菌の侵入等も抑える効果とサーバー本体にもクリーン機能があり衛生面での強みがあります。ボトルタイプの水が人工水と比べ、天然水と言うのも特徴です。強みD、EによるWSの他社との商品・サービスに差別化部分があり、エネルギーとは関係なく飲料水として視線で様々な物件、事業所等へのマーケットが広範囲であることも確認できます。

WSの事業戦略としては床暖房と共通戦略と考え、飲料水として季節を問わず攻め入る事が可能と判断できます。WSはユーザーと契約をするとガスと共通部分もあり毎月の固定収益があります。それは、サーバーのレンタル料です。サーバーは、ガスで例えるとガスメーターと同じで貸与品になるので、設置をしている限りレンタル料の固定収益があります。WS事業をガス事業と結ばせる戦略としては、ガス+WSのセット販売によるガス料金+WS料金のセット割プランです。

セット割することで、ガス+WSを使用する事に付加価値を持たせることができ、他社にはないサービスプランを提案することができると考えます。ユーザーにおいてもガス事業、WS事業においてもWinWinの法則が成り立つので、床暖房の共通戦略と共に取組みを行います。また脅威ウの対策として、強みFを活かすことで他社からのサーバー切替え防止に役立つと考えます。

 

■図3.WS商品説明図(左=他社  右=当社)

 

 

 

5.研究結果の考察

 

これからは他エネルギーの利用増により、ガスの使用量の減少が見込まれます。その様な環境下で主力のガス事業を継続していくには、お客様との親密な関係作りを活かし、ガスの利用付加価値を高めて行く活動が必要となり、冬季の「主暖房(床暖房)」、ガスを使っての暖房提案とWSのセット割りプランが事業戦略と考えます。

2つの事業からの若年層、新たな顧客開拓には「主暖房(床暖房)」、WS戦術を活用した目線を切替えての新たなマーケットに攻め入る事でガスと結ばせることが可能と考え、WSとのセット割りプランを提案し、ガス事業に見習う販売後のアフターケアとして製品点検、使用アドバイス、故障時のレスキュー対応を活用することで、親密な関係作りが新たな顧客開拓への道と考えます。したがってガス事業での顧客高齢化、若年層が少ない問題の解決策としては、床暖房、WSからの新たな顧客作りをガスからの目線ではなく、床暖房・WSからと目線を切替えることが重要であると考えます。

 

 

6.今後の取組みと監査方法

 

ガス事業の新料金プランでの付加価値を高める戦略では、ガスソフトシステム全体の変更改善、顧客先のガスメーター設置形態データを全て摘出し、製品利用者の選別と単価設定を行うと共に、新料金プランの実行へ向けてのメーター交換目標台数を割り出し、顧客へと周知を促します。新料金プラン実行後の進捗状況、クレーム、ユーザーの意見など、担当社員の報告を交えて、部門会議を行い検証します。床暖房、WS事業の戦略の取組みについては、担当者、事業別にガスとWSのセット割りプランを交えて新規目標件数(床暖房、サーバー契約件数)を掲げ、全体会議にて進捗状況、売上総利益を検証します。

また床暖房、WSについてはイベントでの出店にも積極的に参加し、沢山の人へPR活動、試飲、床暖房の体感をしてもらい新しい顧客作りの開拓へと取組みを行います。また、改善点として、ガス事業と床暖房、WS事業の共通の弱みである社員数を2名増員し、最新のガス機器と床暖房を体感できるショールームを社屋の増改築を行い、ホームページを作成して地域にむけたPR活動に取組みます。

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